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2020年07月17日(金)

確定申告の控除額が変わる?注意するべきポイントと控除額を増やす方法

経営ハッカー編集部
確定申告の控除額が変わる?注意するべきポイントと控除額を増やす方法

はじめに

2020年度(令和2年度)、つまり2021年に行う確定申告から、確定申告の基礎控除・青色申告特別控除の金額が変更されます。

2019年度までと同様のやり方で確定申告を行っても、場合によっては控除額が変わる場合もあります。

この記事では令和2年度からの変更点と、どのような場合に控除額が変わるのかについて説明します。条件を満たすことで控除額が増える可能性もあるので、変更点をしっかりと確認していきましょう!

2019年度までの基礎控除・青色申告特別控除

まずは、2019年度(2020年の確定申告)までの基礎控除・青色申告特別控除についてみていきましょう。

 

①基礎控除

確定申告を行う際、申告の方法に関わらず「基礎控除」を受けることができます。

2019年度までの基礎控除額は、38万円でした。

 

②青色申告特別控除

基礎控除に加えて、確定申告を青色申告で行うと青色申告特別控除を受けることができます。

2019年度までの青色申告特別控除の金額は65万円でした。

青色申告で確定申告を行うと基礎控除と青色申告特別控除をともに受けることができるため、2019年度までは合計で103万円の控除を受けることができました。


2019年度までの控除額まとめ

申告方法 基礎控除 特別控除 合計控除金額
白色申告 38万円 なし 38万円
青色申告 38万円 65万円 103万円

2020年度からの変更点

2020年度の確定申告からは、基礎控除・青色申告特別控除の金額が変更されます。

新しい制度をみていきましょう。

 

①基礎控除

基礎控除額は2019年度まで一律で38万円だったのが、2020年度からは48万円を上限に所得に応じて控除額が決まります。

所得ごとの控除額は以下の通りです。

合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

 

②青色申告特別控除

青色申告特別控除の金額は、55万円に変更されます。ただし、以下の2つの条件のうちいずれかを満たした場合、65万円の控除を受けることができます。

65万円の控除を受ける条件

  • その年の確定申告書と青色申告決算書の提出をe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと
  • その年の事業にかかわる仕訳帳と総勘定元帳を電子帳簿保存をおこなっていること

控除額が変わる場合、変わらない場合

上記の変更により、2019年度までと同じ方法で確定申告を行っても、控除金額が変更される場合があります。

それぞれの場合を見ていきましょう。

 

①控除額が増える場合

まず、控除額が増える場合について解説します。

控除額が増えるのは、以下の2つの場合です。

  • 白色申告を行う場合
    白色申告を行う場合に適用されるのは基礎控除のみです。
    白色申告を行っていてかつ所得の合計が2,400万円以下の場合、控除額は2019年度までの38万円から48万円に10万円多くなります。
  • 青色申告を電子申告で行うor電子帳簿保存を行う場合
    これまで青色申告を電子申告で行っていた人、または電子帳簿保存を行っていた人は、2020年度から10万円多く控除を受けることができます。


②控除額が減る場合

次に、控除額が減る場合です。

控除額が減るのは、所得の合計が2,400万円を超える場合です。

所得が2,400万円を超えると、2020年度からは基礎控除額が減少します。

 

③控除額に変更がない場合

最後に、控除額が変わらない場合です。

青色申告を電子申告以外(郵送、窓口、投函)で行う場合、控除額に変更はありません。

基礎控除額48万円と青色申告特別控除額55万円の合計が103万円となり、2019年度以前に青色申告を行った倍に適用される控除額と同額になります。
 

2020年度からの控除額まとめ

所得の合計 申告方法 電子申告・電子帳簿保存 基礎控除 特別控除 控除額合計
2,400万円以下 白色申告 - 48万円 なし 48万円
青色申告 48万円 65万円 113万円
× 48万円 55万円 103万円
2,400万円超
2,450万円以下
白色申告 - 32万円 なし 32万円
青色申告 32万円 65万円 97万円
× 32万円 55万円 87万円
2,450万円超
2,500万円以下
白色申告 - 16万円 なし 16万円
青色申告 16万円 65万円 81万円
× 16万円 55万円 71万円
2,500万円以上 白色申告 - 0円 なし 0円
青色申告 0円 65万円 65万円
× 0円 55万円 55万円

どの所得帯でも最も控除額が多くなるのは青色申告を電子申告で行う、もしくは電子帳簿保存を行う場合です。

電子申告と電子帳簿保存

電子申告または電子帳簿保存を行うことによって、控除額が10万円増えることがわかりました。

ここでは電子申告と電子帳簿保存について、簡単に説明します。

 

①電子申告

電子申告は、その名の通り確定申告をオンラインで行う方法です。

e-taxシステムを用いて申告書類のデータを送付することで、税務署に行ったり郵送したりすることなく確定申告を完了することができます。

電子申告についてより詳しく知るにはこちらから
https://www.e-tax.nta.go.jp/

 

②電子帳簿保存

電子帳簿保存とは、税務関係書類を電磁的記録(電子データ)によって保存することです。

電子帳簿保存はただ領収書や請求書などの書類を画像データとして保存するだけでは認められません。

電子帳簿保存帳簿保存に必要な設備をそろえて申請を申告の3か月前までに行い、認可を得る必要があります。

電子帳簿保存について、もっと詳しく知るにはこちらから
https://keiei.freee.co.jp/articles/p0200027

電子帳簿保存はあらかじめ機材を揃えて認可を取る必要があるなど、やや複雑な制度になっています。

そのため、特別な申請がいらずオンラインで完結できる電子申告がおススメです。

電子申告用の書類の作成ができる会計ソフトもあるのでぜひご活用ください!

※電子申告にはマイナンバーカードが必要になります。まだ取得されていない方はこちらの記事も併せてご覧ください。

どれがおススメ?マイナンバーカードの申請方法を全て試してみた

まとめ

  • 2020年度から基礎控除額・青色申告特別控除額が変わる
  • 2019年度までと同じ方法で申告しても、控除額が変わる可能性がある
  • 電子申告で控除額up

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