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2018年12月20日(木)

Web制作会社が自らサービスしたくなるクライアントとは?

経営ハッカー編集部

株式会社ユーティルの岩田と申します。
弊社はWeb制作会社のマッチングプラットフォーム「Web幹事」を運営している会社です。

Web幹事による連載第三回。本記事では「Web制作会社がサービスしたくなるクライアント」をテーマにご紹介します。

※第二回「【専門知識不要】中小企業の経営者が優良なWeb制作会社を見極める方法」もぜひご覧ください。

Web制作会社によっては、「クライアントによって見積もり金額を変えている」という事実があることをご存知でしょうか?

理由は簡単で、クライアントの「Webに関するリテラシ」「付き合いやすさ」などによって、制作会社のWebディレクターが使う時間(工数)が大幅に変動するからです。ホームページの制作費はほとんどが人件費です。Webディレクターが使う時間が大幅に増えると、それにともなって見積もり金額も高くなります。

逆に「良いクライアントだ!」「ぜひ制作を受けたい!」と思ってもらえれば、制作会社が自ら提案やサービスをしてくれることも。

本記事では、そんな「サービスしたくなる良いクライアント」についてご紹介します。

 

クライアントによって見積もりが変わるワケ

まずはWeb制作に関する、見積もりのカラクリからご紹介していきます。
クライアントによって、見積もりが変わるのは何故なのでしょうか?

1.制作費のほとんどは人件費

ホームページを作成するための制作費のほとんどは「人件費」です。
Web制作に携わる人員は主に3種類。

  • Webディレクター: クライアントとのやり取りやプロジェクトの進行管理を行う人
  • デザイナー: ホームページのデザインを行う人
  • エンジニア・コーダー: 実際に開発を行う人

制作会社は、この3種類の人員がプロジェクトによって「どれくらい時間を使うか(工数)」によって、見積もりをしています。規模の大きなホームページを制作するため、制作メンバーの時間を長く使うということであれば、当然見積もり金額は大きくなります。逆も然りです。

しかし、「制作するホームページの規模」とは別に、大きく工数が変動する要素があります。ここに「クライアントによって見積もりが変わるワケ」が隠れています。

それは「クライアントとのコミュニケーション」です。


2.ホームページ制作におけるコミュニケーションコスト

「コミュニケーションと言っても、メールとかミーティングをするくらいじゃないの?」と思われるかもしれません。

ホームページの制作は、発注をした後も制作会社と相応の「やり取り」を行う必要があり、最低でも、下記のようなやり取りが発生します。

  • 要件のヒアリング
  • デザインの確認
  • ホームページに掲載する原稿や画像の作成・確認
  • 最終的な納品物の確認

そのため、クライアント側からすると「発注した後は、完成を待つのみ!」というわけにはいきません。

制作会社側からすると、各工程におけるクライアントのやり取りは非常に重要な意味を持ちます。制作会社のWebディレクターの主な業務は「クライアントとのやり取り」「プロジェクトの進行管理」です。そのため、やり取りがしやすいクライアントか否かによってWebディレクターの工数が大きく変動します。

Web制作がどのような流れで進むかイメージがつかない方はこちらをご覧ください。
10分で分かるホームページ制作の流れ・期間

 

3.コミュニケーションコストが高いと見積もりも高くなる!?

クライアントとのコミュニケーションの取りやすさによって、Webディレクターの工数は大きく変動します。

  • プロジェクトの目的がはっきりせず、何を制作したいか分からない
  • クライアントの方針がコロコロ変わり、適切な提案ができない
  • 一度確定したはずの要件があとから変わる

上記のようなものが要因で、「納期が大幅にずれてしまった」「作成したデザインに大幅な戻り(やり直し)がでてしまった」「開発したプログラムに大幅な戻りが出てしまった」といった事が起こることがあります。このような苦い経験をしたWebディレクターは少なくなりません。

また、コミュニケーションコストは、クライアントのリテラシーやキャラクターによって変わるため、事前に正確に見積もる事が極めて難しいコストです。

そのため、クライアントとの初回打ち合わせや受注までのやり取りを勘案し「このクライアントはやり取りが大変そうだ・・・」とWebディレクターが判断すると、あらかじめ金額を高めに設定した見積書を提出することがあるのです。


制作会社から気に入られると良いことだらけ!

逆に、Web制作会社から「一緒に取り組みたいクラアントだ!」「この担当者はやり取りがスムーズにできそう!」と思ってもらえると、色々な特典があります。以下では、制作会社と上手に付き合うメリットを解説します。

1.適正な見積もりが出てくる可能性が高い

これまでご説明してきた通り、「コミュニケーションコスト」はWebディレクターの工数を見積もるための重要な材料になります。このコミュニケーションコストが小さいと判断してもらえると、Webディレクターの工数を少なめに見積もってくれる可能性が高くなります。

具体的には、下記のような費用項目が当てはまります。

  • ディレクション費用
  • 進行管理費
  • プロジェクト管理費

制作会社によって上記の費用の見積もり方がバラバラなので、一概に比較はできないのですが、コミュニケーションコストが高いクライアントに比べて安くなっているはずです。

※Web制作に関する見積もりの内容を知りたい方はこちらをご覧ください。
リアルな金額も公開!ホームページ制作会社の見積書をお見せします。

 

2.提案が増える

そもそもWeb制作は、言われた物をそのまま作るのではなく、ホームページを通してクライアントの課題を解決するのがゴールです。与えられた要件以外にも課題を解決する方法があれば、制作会社としてどんどん提案すべきです。

コミュニケーションコストが低いクライアントと仕事をしていると、余裕が生まれ、提案の数が増えるのです。そもそも、自社で制作するノウハウや体制がないために制作会社に外注してるのですから、制作会社からの提案はぜひ欲しいもの。

筆者も過去に、いくつか提案しても「結構です」「そのままで大丈夫です」などと言われた経験があります。こちらから提案しても柔軟に対応してくれないクライアントの場合、残念ながら段々と提案しなくなっていきます。(もちろん、こちらの提案の質が低くて却下されるケースもあるので簡単に判断はできないのですが…)

 

3.スコープ外の作業も相談に乗ってくれる

「提案が増える」にも通じるのですが、余裕があると制作以外の相談にも乗りやすくなってきます

例えば、「ホームページ公開後のリスティング広告を検討しているんですが、どうすればいいですかね?」というケース。制作会社であれば、しばしばいただくご相談です。

制作会社が良いクライアントだと思ってくれていれば、知り合いの優良なリスティング広告の運用業者を紹介してくれるかと思います。Web制作しか行なっていない会社でも、インターネット広告の運用・SNS運用代行・SEO対策など、同じWeb関連の会社とは繋がっているもの。

逆に「このクライアント大変だな」と思っていると、なかなか知り合いの会社に紹介しにくいのも事実です…。とくに優良な会社は、優良な会社と繋がっているケースが多いので、ぜひとも紹介を受けられる関係を築きたいです。

リスティング広告とは
インターネット広告の1種。Yahoo!やGoogleなどの「検索エンジン」と連動し、ユーザーがあるキーワードで検索した時に表示される広告の事です。

 

サービスしたくなるクライアントとは……?

コミュニケーションコストの重要性と、制作会社と上手に付き合うメリットをご紹介してきました。
ここでは、実際に「制作会社が付き合いたいクライアント」の特徴をお伝えします。

筆者がこれまでWeb制作を行なってきて「素敵なクライアント!」と思った3ポイントをご紹介します。基本的には「会社」で判断するのではなく、「担当者」で判断しています。

1.成果への目的意識が強い担当者

仕事をご一緒させていただいて、個人的に最もサービスしたくなるのがこのタイプのクライアントです。目的意識の強い方は、課題も明確です。

「今のホームページだと、訪問した人が実際に問い合わせしにくい構成になっているから、リニューアルしてお問い合わせ数を増やしたい」

「そもそも、ホームページに訪問してくれる人が少ない。訪問数を増やすための施策を提案して欲しい」

勉強熱心で、Webに関するリテラシも高めです。そのため、成果を出すための提案であれば、しっかり聞いてくれ・議論もしやすい印象です。

また、提案した際の判断基準もしっかりしています。しっかりとした判断基準を持っていると、「何をクライアントに相談して、何を制作会社側で独自に判断していいのか」も見えてくるため、やり取りも最小限で済みます。

プロジェクトの回数を重ねれば重ねるほど、コミュニケーションコストも減っていくので、長期的にご一緒させていただきたい!と思えるクライアントのタイプです。

2.ある程度の裁量を持たせてくれる担当者

Web制作会社もプロである以上、「プロとして頼られたい!」と思っています。そのため、ある程度裁量を任せてもらえると燃える、制作会社の担当者も多いのではないでしょうか。

先ほども述べましたが、「良かれ」と思って提案したことが、ことごとく却下される事があります。あまりに要件どおりで「遊び」の部分がないと「提案しても徒労に終わるし…」と思われるかも。それはもったいないことです。もちろんプロとしてやってはいけないことなのですが、担当者も人間。あまりにモチベーションを削がれ続けると、提案もなくなっていきます。

ちなみに、この「任せる」という行為、やりすぎると「丸投げ」ととられてしまうので非常にバランスが難しいです。部下と付き合う際のモチベーション管理と近いのかもしれません。

3.やり取りが丁寧な担当者

Web制作に関するリテラシがない場合、だれでもすぐ実践できるのが「丁寧なやりとり」です。コミュニケーションを取る際に、可能な限り丁寧にやり取りしてくれるクライアントは非常に心証が良いです。(上から目線で申し訳ありません…)

仮にリテラシが低く・ときに的外れでも、一生懸命やり取りしてくださるクライアントには「何とかして力になりたい!」と思うのが制作会社です。(コミュニケーションコストの高い会社との制作経験があるWebディレクターほど、丁寧にやり取りしてくださる担当者の価値を理解しています)

とくにメール(&チャット)のレスポンスが早い方は、制作会社にとって非常に助かります。請け負いとして制作を行なっている以上、どうしても「クライアントに判断を仰ぎたい部分」が発生するからです。この際に、比較的早く・しっかりと返信してくれるクライアントととは、非常にプロジェクトがスムーズに進みやすいです。

まとめ

  • Web制作会社はクライアントによって見積もりを変える(こともある)
  • コミュニケーションコストが高いクライアントは、見積もりが高い傾向に
  • 逆にコミュニケーションコストが低いと思われると良いことが!

お金を払う側のクライアントが、なぜこんなに制作会社に気を使わないといけないんだ!と思われるかもしれません。もちろん、過剰に気を使っていただく必要はありません。お互いが気持ちよく仕事ができる環境にあれば、制作会社のパフォーマンスはきっと上がります。

同じ金額を支払うなら、ちょっとした一工夫で大きな成果を得た方が得ではありませんか?
ぜひ実践していただけると幸いです!

また制作会社と上手に付き合うために、ホームページの発注の「準備」は非常に重要です。こちらにホームページの発注方法をまとめましたので、是非参考にしてください。

ホームページ制作の見積もり・発注完全マニュアル

 

岩田真
株式会社ユーティル代表取締役。
2015年にWeb制作会社として株式会社ユーティルを設立。Webディレクター・営業担当として、3年で上場企業を含む50社以上のホームページ制作に従事しました。現在はWeb制作会社のマッチングプラットフォーム「Web幹事」を運営しております。

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