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2014年12月16日(火)

役員賞与をうっかり支給したらどうなる?税の素朴な疑問まとめ

経営ハッカー編集部
役員賞与をうっかり支給したらどうなる?税の素朴な疑問まとめ

役員賞与には思わぬ税金がかかってしまう!

うっかり 役員賞与をうっかりと支給してしまうと、税金の面で思わぬ問題が起きてしまうことがあります。会社が従業員に対して支給する賞与や、会社の役員に対して支給される報酬や退職金であれば、会社の費用として認められて節税対策にもなります。

ところが、役員に対して支給される賞与は、従業員への賞与とは税金の扱いが異なっており、思わぬ税金がかかってしまうことがあるのです。ここでは、役員賞与をうっかりと支給してしまうとどうなるのかという、税の素朴な疑問について考えてみたいと思います。

[目次] ■1)役員賞与って何? ■2)役員賞与を支給したらどうなる? ■3)役員への給与が損金となるための条件 ■4)役員賞与を支給したとされないために

■1)役員賞与って何?

まずは役員賞与の意味について確認しておきましょう。役員賞与とは、取締役や監査役などの会社の役員に対して支払う賞与のことで、規定されて支給される給与以外のものをいいます。つまり臨時的に支給される給与のことで、これらの給与には債務の免除による利益や経済的な利益も含まれています。

役員賞与を考えるにあたりポイントとなるのは、役員賞与と役員報酬では税金の扱いが異なるという点です。役員賞与は役員に対して臨時的に支給される賞与であり、役員報酬は一定の時期に決められた金額で支給される給与のことです。

■2)役員賞与を支給したらどうなる?

役員賞与をうっかり支給してしまうと、どうなるのでしょうか。上場企業であっても中小企業であっても、役員賞与をうっかり支給してしまうと、法人税や所得税、住民税などが課されてしまいます。ポイントとなるのは、役員への給与や従業員への賞与は損金として計上できるものの、会社役員への賞与は一定の条件以外に法人税がかかってしまうことです。

会社で働いているという点では、役員も従業員も同じように見えますが、税務上では両者が厳格に区分されます。なぜなら会社役員の場合には、個人的な利益と会社の利益とが密接に結びつく可能性が高いためです。ですから、役員に対して支給する賞与に関しては原則、損金として計上することができないのです。

役員賞与をうっかり支給してしまうと税金がかかってしまいますから、役員報酬として支払うようにすることで節税することができるのです。会社が役員に対して支払う給料や退職金は、その金額が過大でない限り、必要費用として認められます。

■3)役員への給与が損金となるための条件

法人税においては、役員に対する給与が損金として参入される条件が規定されています。役員への報酬は、法人税の課税逃れの手段となる可能性を有しているため、法人税法では役員への賞与に一定の条件が規定されているのです。役員への給与が損金とされるための条件は以下の通りです。

・定期同額給与…一定期間ごとに同額が支給されること。 ・事前届出賞与…税務署に事前に届出を行い、一定期間ごとに同額が支給されること。 ・利益連動給与…会社の利益に連動した報酬で、有価証券報告書に記載されていること。

例外として会社役員の立場であっても、代表取締役や監査役以外の一般の取締役で、実際には従業員と同じ立場で仕事をしている人の場合には、支給された賞与を損金とみなすことができるのです。

■4)役員賞与を支給したとされないために

役員に対して報酬を支給する際には、役員賞与とされてしまわないようにする必要があります。役員賞与として支給したつもりがなくても、役員賞与に該当すると税務上で判断されてしまうことがあるのです。一例として、役員に対して物品などの資産を贈与した場合には、現金を支給していなくても、経済的利益を供与したとして取り扱われることがあります。現金で役員賞与を支給していないからといって、安心はできません。

役員に対して賞与を支給する際には、定期的に定額で支給することで、役員賞与ではなく役員報酬として扱われます。そのため役員賞与とみなされないために、臨時に支給しないようにする必要があります。また、特定の月だけ給与を増額してしまうと、役員賞与とみなされますから、一定金額の給与にする必要もあるでしょう。常に会社の利益を予想して、前もって報酬の資金計画を立てることで、節税対策をすることができるのです。

■役員賞与をうっかり支給のまとめ

役員賞与をうっかり支給してしまうと、法人税や所得税、住民税などが課されてしまいます。役員の毎月の報酬は損金として計上できますから、役員報酬として支払うようにすることで節税することができるのです。

役員への給与や従業員への賞与は損金として計上でき、会社役員への賞与は法人税がかかってしまうので、分けて会計管理をすることで、思わぬ税金が課せられるのを避けることができるのです。役員所与をうっかりと支給してしまわないように、きちんと対策をするようにしましょう。

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