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2016年09月26日(月)

年末調整の金額が間違っていた場合の対処法

経営ハッカー編集部
年末調整の金額が間違っていた場合の対処法

pixta_24289491_s 企業では10月から12月の時期にかけて、年末調整を行うことと思います。年末調整のやり方というのは企業によって若干変わるかもしれませんが、だいたいが社員に年末調整のための書類を記載してもらって会社側でチェックするという方式ではないでしょうか。

従業員に書類を記載してもらってからチェックするという作業は、従業員が多ければ多いほどその分工数がかかってしまいます。さらに、この年末調整の業務は通常業務と並行して行うわけですから、結構大変です。業務が増えることでミスをしてしまうこともあります。

筆者が企業の管理部門に勤めていた際は、もともと管理部門の人数が少ないということもあって、年末調整の時期は全員でチェックする体制をとっていました。そんな中、生命保険や地震保険など提出者が多いものは慣れもあってか見落としは少ないのですが、住宅ローン控除など提出者が少ないものはミスが出やすいなというのが経験上の感想です。

実際、筆者が入社1年目の頃、年末調整の時期に、社員より3年前の住宅ローンの計算が間違っているという電話がありました。微妙な間違いでしたが、税金にも関わってくることなので、こうしたミスは深刻です。

それでは、今回ご紹介したように年末調整の額に間違いがあった場合、どのように対処するのが正しいのでしょうか。対処法と、年末調整でミスをなくすための工夫についてご紹介します。

1.年末調整の金額が間違っていたら?(源泉徴収票の発行前&後のパターン)

年末調整の金額に誤りがあった場合、誤りが分かった時期によって対処法は変わってきます。

翌年1月31日までもしくは源泉徴収発行前の場合

翌年1月31日までもしくは源泉徴収票が発行される前であれば、会社側で修正対応をすることができます。単純に計算ミスであれば二重線を引くなどして分かりやすいようにしておきましょう。その後、源泉徴収の給与計算に反映させることも忘れずに。扶養の変更などが正常に行えていない場合や生命保険などの漏れがあった場合は、従業員から証明となる書類を送ってもらったうえで修正を行いましょう。

翌年の1月31日を超えた場合

源泉徴収発行後、または翌年の1月31日を越えてしまった場合は、残念ながら会社側で修正をすることができません。もし、期限を過ぎてミスが分かった場合は、素直に従業員にその旨を伝えましょう。会社側では修正の手続きを行えませんが、従業員側で確定申告を行って、税金の還付を行うことができます。確定申告となるとその分手間がかかってしまいますから、可能であればできる限り会社側でのチェックミスは防ぎたいところです。

2.年末調整でミスが出やすい部分とは?

扶養関連の間違い

これまでの経験を踏まえると結婚したばかりの人や子どもが生まれた家庭など、扶養親族などへの記載が漏れていることが多く感じました。ただこの場合は、新しい家族が増えたということで健康保険などの申請を行っていることが多いので、健康保険や厚生年金を扱っている担当としっかり連携することが大切です。

住宅ローン控除

住宅ローンの控除適用のためにはまず確定申告が必要ですので、1年目に年末調整をするということはありません。住宅ローンなどの書類が添付されている場合は、その旨を従業員に伝えると親切かもしれませんね。ちなみに、2年目以降は年末調整可能ですが、年末残高や取得価格などが分かる書類の添付が必要になります。

生命保険の新と旧の計算違い

生命保険の区分には、新と旧があり、それぞれ計算方法が異なります。生命保険の控除証明をよく見れば記載されているのですが、従業員によって間違った部分に記載が行われており、そのまま見過ごしてしまうこともあるので注意が必要です。また、同時にこれまでの控除額ではなく12月31日までの確定額分であるかも確認しておきましょう。

3.年末調整のチェック漏れをなくすためには

とにかく早く提出してもらう

チェック漏れをなくすには、とにかく社員に提出を早くしてもらうこと、これに尽きます。提出が遅いと、その分予定もずれ込んでいってしまうためです。さらに、書類の提出があっても添付書類がないというのも結構厄介です。

金額は計算されているのに控除証明などの添付書類がなく、提出も遅かったことで、全体的な年末調整の進捗に影響が及び、ほかの業務もずれ込んでしまったことがあります。メールや電話などで早めに呼びかけ、ある期限を過ぎたら自分で確定申告してもらうよう周知しておくのも対策として良いかもしれません。年末調整はあくまで会社が確定申告の代わりに代行して行っているものですので…。

二重三重でチェックをする

基本的なことにはなりますが、やはり一人でチェックをするとミスが出やすくなります。二重三重でチェックを行って、できるだけ漏れがないように心がけましょう。チェック体制が甘いと感じる場合は、一度チェック体制について部門内で話し合うことが大切です。

改正された部分はしっかり念頭に入れる

年末調整については、毎年と言ってよいほどかなりの頻度で改正が行われています。例えば、2017年における年末調整についてはすでにマイナンバーに絡んだ改正で変更が行われる予定です。年末調整の国税庁発行の冊子には、改正の内容もしっかり盛り込まれていますので、まずは変更があった部分をしっかり読み込むということが大切です。

年末調整でのミスは、ほとんどが人為的なミスですので、ミスが起こらないようにしっかりと体制から見直すことが大切だと言えます。

参考URL 国税庁 年末調整のしかたpdf 2年目以降の住宅ローン控除 年末調整の書き方はコレ

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