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2017年10月24日(火)

【保存版】人事労務関係書類の保存期間(総まとめ)

経営ハッカー編集部
【保存版】人事労務関係書類の保存期間(総まとめ)

企業が取り扱う文書には、法律で保管期限が定められているものがあります。一方で、保管期限が定められておらずとも、自社内の判断で数年にわたって保管しているものもあるでしょう。

企業のコンプライアンス遵守に対する世間の目が厳しさを増す中で、人事・労務に関わる書類、中でも履歴書、雇用保険などの社員の個人情報に関する書類は、個人情報の観点から厳重な保管・管理が求められます。

 

また、働き方改革の声が高まる中で、労働組合、労使協定などに関する書類も重要度が増しています。今回は、人事・労務関係書類の保存期間(2017年8月時点)についてまとめましたので、ぜひご参考にしてみてください。

永久保存が望ましいもの

・定款 会社の目的や商号など、会社を運営する上で必要とされるルールを定めた定款は、株式会社を設立するために必ず作成しなければなりません。企業は、本店および支店に定款を置くとともに、株主などからの請求があった場合は、定款を閲覧させる、定款の謄本を交付するといった対応をしなければならないからです。

定款は、法令等によって保存期間が定められているものではありませんので、破棄をしても法律上罰則はありません。しかし、その性質上、会社が存続している限りは永久的に保存する必要があるでしょう。

・株主名簿 株主名簿には、その会社の株主の氏名・住所・保有する株式数などの情報を記載します。すべての株式会社に対して、作成が義務づけられています。株券不発行会社では、株主名簿へ記載されていることが株主であることの証明になることため、株主名簿は非常に重要であると言えるでしょう。

また、株主名簿は、法令によって保存期間が定められているものではありません。破棄をしても法律上罰則はありませんが、その性質上、会社が存続している限りは永久的に保存する必要があるでしょう。

・就業規則、社内規定、労働組合との協定書、雇用契約書など これらの書類は、労働基準法では3年保存とされています。労使間での取り決めに重要な変更があり、トラブルが発生した場合などには、過去の書類を提出する可能性も出てきます。

その他、以下の書類もその性格上、会社が存続している限り永久保存するべきでしょう。

・登記済書(権利証)など登記・訴訟関係書類 ・官公庁への提出文書、官公庁の許可書、認可書、通達など ・製品の開発・設計に関する書類 ・特許、実用新案、意匠、商標など工業所有権に関する特許料・登録料納付受領書、特許・登録証などの書類

経理に関する書類

経理で扱う文書は、会社の業績や株式に関するもの、商品の取引や支払に関するものなどが主になります。

<保存期間10年> 貸借対照表・損益計算書・営業報告書・利益処分案・付属明細書・監査報告署 総勘定元帳・各種補助簿・株式割当簿・株式台帳・株主名義書換簿・配当簿・印鑑簿 倉庫証券簿・判取帳など商業帳簿および営業に関する重要書類 ※帳簿閉鎖の時を起算日とします。

<保存期間7年> ・取引に関する書類:仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳、経費帳 ・決算で作成する書類:棚卸し票 ・現金の受け渡しや預貯金の移動で作成する書類:領収証、預金通帳、借用証、小切手・手形控、振込通知書など ・有価証券の取引で必要となる書類:有価証券受渡計算書、有価証券預り証、売買報告書、社債申込書 ・取引証憑書類:請求書、注文請書、契約書、見積書、仕入伝票など ・納品書、送り状、貨物受領証、入庫報告書、出荷依頼書、検収書など ・資産の譲渡、課税仕入れに関する帳簿

※帳簿閉鎖日もしくは、書類の作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2ヶ月を経過した日を起算日とします。

人事・労務に関する書類

人事・労務で取り扱う書類には、社員の個人情報に関するもの、採用や退職に関わるもの、社内の人事規定や雇用保険などの社会保障、労使間で話し合われた内容に関するものなどがあります。

社員の個人情報に関するものは、個人情報流出を防がなくてはなりませんので、処分時にも細心の注意が必要です。

<保存期間7年> ・源泉徴収簿、扶養・保険・配偶者特別控除に関わる書類

・退職者のマイナンバー 基本的にマイナンバーは、法律で定められた用途のみに限定されます。会社は社員のマイナンバー提供を求めることはできますが、利用目的を明確にしなくてはなりません。

従業員のマイナンバーの保管は、雇用が継続している限り可能です。退職した場合はすみやかな削除が求められますが、退職後も事務処理の都合上マイナンバーが必要になる場面があるでしょう。そうした場合は、明確な利用目的がある場合に限り7年間の保管が可能です。扶養控除等申告書などのマイナンバーを記載した書類の法定保存期間が7年であることから、退職者のマイナンバーの保存期間も7年までとされています。

また、マイナンバーを保管したデータだけでなく、マイナンバーを記載したすべての書類も7年間で廃棄しなくてはなりません。ただし、マイナンバーを切り取ったりマスキングしたりと、番号が見えないように処理をしておけば、文書自体を7年以上保管することは可能です。

<保存期間5年> ・従業員の身元保証書、誓約書 ・健康診断個人票

<保存期間4年> 雇用保険の被保険者に関する書類: 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書、同転勤届受理通知書、同資格喪失確認通知書(離職証明書の事業主控)など

<保存期間3年> ・賃金台帳、労働者名簿 ・給与明細 ・雇い入れ、退職に伴う書類 ・災害補償に関する書類 ※労働災害により負傷をして療養補償給付などの保険給付を受ける場合に提出する請求書等 ・身体障害者雇用関係書類 ※障害者手帳、診断書など、身体、知的、精神障害者であることを明らかにすることができる書類 ・労災保険に関する書類 ・労働保険の徴収・納付等の関係書類 ・派遣元、派遣先管理台帳 ・出勤簿 ・企画業務型裁量労働制についての労使委員会の決議事項の記録 ・労使委員会議事録 ・社内教育に関する文書 ・募集、採用試験の日程等実施に関する文書 ・賃金のその他労働関係の重要書類:タイムカードなどの勤怠記録、残業命令書、残業報告書など

<保存期間2年> ・雇用保険に関する書類:雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任、解任届 ・健康保険・厚生年金保険に関する書類:健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認通知書、同資格喪失確認通知書、標準報酬月額決定通知書、同改定通知書など

<保存期間1年> ・休暇届、欠勤届、休暇使用記録票

総務に関する書類

<保存期間30年> ・クロム酸等の空気中における濃度の定期測定記録 ・特別管理物質についての作業の記録 ・放射線業務従事者の線量の測定結果記録、電離放射線健康診断個人票 (※上記は5年保存した後、厚生労働大臣が指定期間に引き渡す場合を除きます。) ・特別管理物質を取り扱う業務に携わる労働者の特定化学物質健康診断個人票

<保存期間10年> ・株主総会議事録(本店のみ。支店分は5年保存) ・取締役会議事録 ・重要会議議事録 ・監査役会議事録 ・指名委員会、監査委員会、報酬委員会などの委員会議事録 ・満期または解約となった契約書 ・製品の製造、加工、出荷、販売の記録

<保存期間7年> ・じん肺健康診断記録、じん肺健康診断に係るエックス線写真 ・粉じん濃度の測定記録、測定結果の評価記録 ・一般健康診断個人票

<保存期間5年> ・契約期限を伴う覚書、念書、協定書などの文書 ・重要な内容の受信、発信文書 ・事業報告(本店分のみ。支店分は謄本を3年保存) ・産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し ・産業廃棄物処理の委託契約書

<保存期間3年> ・一般の社内会議記録 ・簡易な契約関係書類 ・書留・内容証明等の重要文書の受発信記録 ・業務日報 ・什器、備品台帳 ・消火設備点検書類 ・参照の必要がある文書 ・官公署関係の簡易な認可、出願等の文書 ・企画、広告、宣伝、市場調査など関する日常的・軽易な書類 ・購入品、消耗品の受け入れ、払い出し、保管に関する書類 ・規定の改廃、通達に関する書類 ・管理、監督者の打合せ会議記録 ・軽易な統計書類 ・部門業績評価に関する書類 ・押印に関する申請書類 ・普通の文書(文書受/発信簿、収入印紙、出納簿、書受領書、送金案内書、日計表、月計表、用度品受払簿保管/移管関係文書、債権残高証明証など)

<保存期間1年> ・株主総会委任状 ・来客記録 ・催事出品承認申請書 ・当直日誌 ・住所・氏名変更届

不要なトラブルを避けるためにも文書保管は適切に

法令で保存期間が定められている企業の取り扱い文書について、保存期間をまとめました。業種によっては、その他の法令により保存が義務づけられている文書もあります。

企業の法令遵守が強く求められる昨今、不要なトラブルを避けるためにも、法定保存文書の種類や保存期間について改めて認識することが大切です。文書を破棄する際は、会社の税理士・弁護士など、その書類に関連する士業の専門家に確認することをおすすめします。

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