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2017年05月18日(木)

東京の開業率を10%に上げる! Startup Hub Tokyoにたったの4か月で1万人も集まった理由を聞いてみた

経営ハッカー編集部
東京の開業率を10%に上げる! Startup Hub Tokyoにたったの4か月で1万人も集まった理由を聞いてみた

東京の開業率を10%まで上げるべく、東京都主導で今年オープンした起業家応援施設「Startup Hub Tokyo(SHT)」。わずか4か月で来場者が1万人を超えたというニュースを受け、SHTの運営を委託されているテクノロジーシードインキュベーション株式会社ゼネラルマネージャーの鈴木英樹さんにその秘訣を聞いてきました。

(聞き手:freee株式会社 新設法人事業推進リーダー 木本俊光) ゼネラルマネージャーの鈴木英樹さん

そもそも、Startup Hub Tokyoとは?

簡単に言えば、起業を目指す人を支援する施設ですね。打ち合わせや作業ができるスペースの提供に加え、相談対応ができる「コンシェルジュ」や、創業したい人向けのイベントの実施、あとは情報発信も積極的におこなっています。

最近は各地で、「創業支援」をする行政施設ができていますが、他の施設とどう違うのですか?

実は、「創業を検討している人」までを対象にしている施設自体、あまり多くないんですよ。事業計画ができてから相談する場所や、具体的な創業手続きのサポートをする場所はあるのですが、もっと手前の「起業しようかな?」と考えている人まで対象にしている施設は珍しいかと思います。

実はこの10年間、創業率は少しだけ下がってるのですが、創業を考える人が約半分に減ってしまっているのです。法制度の改正や開業支援センターなど行政施設の設置など創業手続きを支援する試みはおこなわれてきましたが、SHTは「起業したい」という人自体を増やしたいと考えています。

※2014年度 中小企業白書より抜粋

行政主導というと、すごくおカタいイメージがあるのですが…

そうなんですよ。東京都も行政の施設特有のハードルを下げたいと感じていて、我々のような民間の企業に委託して運営をしています。そのような思いもあり、とにかく「カジュアルでオープンにする」ことは意識しています。働いている人でも相談できるよう、夜間や土日も開けていますし、東京駅の丸の内という好立地です。また、イベントも月に29回以上おこなっていますので、「ちょっと気になるイベントに参加してみる」という感じで、気軽に来場していただきたいと思っています。また、情報発信にも力を入れていて、施設の公式サイトやFacebookページでもイベントの様子が見られますのでぜひチェックしてみてください。

「月29回」ってほぼ毎日じゃないですか

そうですね。すべて主催でやってるわけではなく、自主企画でやっているのは1/3程度です。他のイベントは、民間企業やコミュニティなどの組織と連携して開催しています。起業に関連するものであってもジャンルは様々で、単独開催のものもあれば、シリーズもののイベントもあります。

ロールモデルになるような起業家の方や、お金を調達を考えている人向けにVC等の方、ビジネス展開を期待できるような大企業の方をゲストにお招きしたイベントなど、起業を考えている人の様々なニーズに応えられるものを実施しています。

短期間で10,000人の来場者があったのには、多彩なイベントを開催できていることも大きいと思っています。

女性の働き方に関するイベント:以前※経営ハッカーで取材した小安さんも登壇(写真:(c)AWSEN 2017)

結構、色々な他の組織や企業と共同する取り組みもあるのですが、行政主導の施設としては珍しくないですか?

おっしゃる通り、行政の施設ですので特定のサービスを積極的に勧めたりはしません。また、逆に民間の事業を圧迫するようなこともしないように心がけています。とはいえ、民間サービスを全く使わずに事業をすることは不可能であることも事実です。

行政施設といえど、便利な民間サービスの情報も把握していないと本当に役立つアドバイスはできません。イベントやプロモーションにおいても、施設単独ではできないことも多いので、開業率を上げるという志に共感してくれる方々とうまく協力して、利用者に貢献していきたいですね。

イベントや情報発信以外の取り組みについても教えていただけますか?

「利用者さんになるべく近い目線で働ける人」というコンセプトで人を集めています。相談員である「コンシェルジュ」には全員起業経験者を揃え、それだけでなく運営スタッフも起業経験者や起業検討者がほとんどです。このようなメンバーを揃えることで「起業検討してみたい」という気持ちも分かりますし、実際に起業を経験した立場での役立つアドバイスもできると思っています。

起業したい人にアンケートを取ると、相談したい相手として「家族や知人、友人」が上位にあがります。確かに相談はしやすいと思うのですが、必ずしも起業に役立つアドバイスができるとも限らないですよね?家族に登記手続きや創業の相談をしても、ちゃんと答えられる人はそれほど多くはないでしょう。

一方で、相談したいことを聞くと、創業手続きや資金相談が上位になります。つまり、相談したいことと相談できることのギャップが生まれているのです。SHTとしては、相談の敷居は下げつつも、ちゃんと力にもなれるスタッフでお迎えできるようにしたいと思っています。

起業経験者というと、「マネーの虎」のような厳しい人をイメージしてしまいますが、気軽に相談できるものなのでしょうか?

そこは安心してください(笑)。少なくとも、先ほどお伝えしたSHTの考え方に共感しているコンシェルジュが集まってますし、プロとして課題を見つける手伝いはしても、「相談者の意見や考えを否定したりはしない」という考え方は共有しています。上司やコンサルタントではなく、相談にお応えするコンシェルジュなので、相談者に厳しく指導するようなことはありません。相談の様子を見てもらえればわかる通り、非常にアットホームな場所ですよ。

実際には、どんな人が相談に来るのですか?

老若男女様々ですが、いまのところは会社勤めしている人が多いですね。夜も土日も開けているので、会社が終わった後に来てもらって良いですよ。また、託児スペースも用意しているので、お子さんがいらっしゃる人でも事前に連絡いただければ、預けながら相談することも可能です。

相談内容は様々で、起業を迷っている段階では事業アイデア、事業計画、それから起業の適性があるかどうかの相談が多く、起業を決意したが創業時期が未定の方は事業計画や資金の相談、そして創業の時期が決まった人は事業計画と資金に加え、人材についての相談が増えていきます。準備状況に応じて内容は違いますね。

また、実際に「起業しようか悩んでいる」「起業したいが時期は未定」という段階の方が相談者の半分以上を占めており、そのような方が相談できることこそSHTの価値ですので「そもそも何を相談すればいいかわからない」という方でも安心して相談に来てほしいです。

実際の事前記入シートを見ていただくと分かるのですが、非常に簡素に作っていて、具体的な相談内容が決まっていなくても相談できるようになっています。

確かに、このシートのような内容から相談していいのなら気楽ですね。

「アイデアが固まってなかったら怒られるんじゃないか?」という心配をされる方もいるのですが、そんなことは決してありません。漠然とした不安のまま自分にブレーキかけてしまって、耳年増のまま踏みとどまってやめてしまうほうが不健全だと感じています。「起業」の2文字が頭に浮かんだ時点から相談に来てほしいと思っています。

初期段階では、良くも悪くも1人で考えてしまいますよね。SHTには同じような仲間もたくさんいらっしゃっているので、「誰か他人にアイデアをぶつけてみたい」、「感想を聞いてみたい」という場合でも、遠慮なくお越しください。もちろん、「近くに相談相手がいない」という方もウェルカムです。

ちなみに、今後はどういうことをしていくのでしょうか?

相談に来る人がもっと増えてほしいです。そのためにも、起業検討者のニーズに合わせたコンテンツを拡充したいと思っています。最近では、飲食などの開業ニーズが意外と多かったので、開業に強いコンシェルジュも増員したところです。

現段階では、沢山イベントをやったり、SNSや東京の情報誌での情報発信など、仮説をもとに発信している段階です。今後はそれらの反響を見て、実際の創業検討者のニーズに応えられるようなコンテンツを増やしていきたいと考えています。

※SHTスタッフの皆さん

freeeもサービスをより良くし、ともに開業率アップに貢献したいと思います。本日はありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。地域や年齢、準備状況問わず、「起業」「創業」について考えている方は、ぜひ安心してSHTに相談しに来てくださいね。

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