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2019年09月18日(水)

会社設立のプロも戸惑うNPO法人設立のプロセスを初心者にもわかるよう解説

経営ハッカー編集部
会社設立のプロも戸惑うNPO法人設立のプロセスを初心者にもわかるよう解説

work place concept in flat design

NPO法人の設立方法について詳しく知る人は少ないもので、会計士や税理士のような会社設立のプロでも慣れている人が少ないほどです。
 
NPOとは特定非営利活動法人のことで、Non・Profit・Organizationの略称です。
 
そこで今回は、NPO法人の設立方法についてまとめた情報をご紹介します。
 

 

NPO法人とは

そもそもNPOとはどのようなものなのかについての理解があいまいかもしれません。
 
NPOとは、利益を得ることを目的にすることなく社会貢献活動を行うための法人です。
 
ただし、ここでいう非営利とは完全ボランティアのことを指すのではなく、利益をあげることはできます。
 
社会貢献活動を組織的に行っていくためにはある程度の活動資金が必要です。
 
そのような資金は、NPO法人としての活動で得た利益から捻出するというのがNPO法人の運営方法です。
 
やってはならないのは、NPO法人の活動によって得た利益を組織の構成員で分配してしまうことです。
 

“NPO法人とは、特定非営利活動法人のことをいいます。特定非営利活動とは、以下の20種類の分野に該当する活動であり、不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的とするものです。”
 
<引用元>経営ハッカー:NPO法人とは?設立要件から費用・給料・税金などの基本知識まとめ 

 

NPO法人を設立するためにかかる費用

NPO法人を設立する際にかかる費用には以下のような項目があります。
 
・設立登記申請時に使用する法人の実印:数千円から数万円
 
・役員住民票を取得する際にかかる手数料:1通につき300円(自治体によって誤差あり)
 
・法人設立届や銀行口座を作成するために必要となる登記簿謄本:1通につき数百円
 
・会社の印鑑証明:数百円
 
株式会社を設立することに比べると、NPO法人の設立費用はそれほど高くありません。
 
最低限かかるのは、法人の実印関係や住民票や印鑑証明を取得する際にかかる役所での手数料、登記簿謄本など全部をあわせても数万円程度です。
 
行政書士に書類作成を依頼する場合は15万円から30万円ほどの費用がかかるものの、法人をひとつ設立する費用としてはかなり安く済ませられる印象を持つのではないでしょうか。
 
設立までに6ヶ月かかり、不認証後の再申請にさらに時間がかかることを考えると、最初からプロに任せてしまったほうがいい場合もあるでしょう。
 

 

NPO法人を設立するプロセス

NPOの活動として認められている17の分野から活動内容を決めます。
 
複数の分野を選択することは可能ですが、いくつも選択してしまうと活動目的がぼやけてしまうので、しっかりと方向性を絞り込んでおきましょう。
 
NPO法人の設立に際して開催されるのが「設立発起人会」という集まりです。
 
設立発起人会では、NPO法人を立ち上げる人たちが集まって今後の活動方針を話し合いつつ文書にまとめていきます。
 
設立申請書類の作成
NPO法人の認可を受けるためには、「設立認証申請書」を提出する必要があります。
 
準備する書類はさ「NPO法人設立認証申請書」をはじめ「定款」「役員名簿」「各役員の就任承諾書及び宣誓書の写し」など全部で11種類もの書類を作成しなければなりません。
 
これらの書類は法人を設立する人たちで作成できますが、提出書類が多く記載内容も細かいため、自力での作成が進まないようであれば行政書士に任せるという方法もあります。
 

“特定非営利活動法人(NPO法人)を設立するためには、法律に定められた書類を添付した申請書を、所轄庁に提出し設立の「認証」を受けることが必要です。”
 
<引用元>内閣府NPO認証制度について

 

審査は約2ヶ月かかる

設立認証申請書を提出すると約2ヶ月間にわたる審査が開始され、認証されると認証書が届きます。
 
認証書の到着から2週間以内に法務局で登記を完了すれば、NPO法人が設立されたことになります。
 
登記申請書類は、「NPO法人設立登記申請書」「定款」「NPO法人設立認定書」「代表権を有するものの資格を証する書面」「資産の総額を証する書面」など、必要書類がいくつもあります。
 
万が一不認証だった場合には、書類を修正して再度申請することも可能です。
 
NPO設立までには最大で6ヶ月ほどかかるため、準備開始時期は設立したいタイミングからさかのぼって考える必要があります。
 

 

NPO法人を設立した後に必要な作業のまとめ

NPO法人の設立後も、各種書類を関係各所に提出する必要があります。
 

所轄庁に提出する書類

設立から2ヶ月後に提出する書類

 
・設立登記完了届出書
・登記事項証明書
・登記事項証明書の写し
・定款
・設立時の財産目録

 

毎年事業年度の始めから3ヶ月以内に提出する書類

・事業報告書等届出書
・前事業年度の事業報告書
・前事業年度末日現在の財産目録
・前事業年度末日現在の貸借対照表
・前事業年度の収支計算書
・前事業年度の役員名簿
・前事業年度の社員のうち10人以上の名簿

 

都道府県税事務所・市町村役場に提出する書類

 

設立から2か月以内に提出する書類

・法人設立届出書
・定款の写し
・登記簿謄本の写し
・認証指令書の写し
・法人市町村民税の課税免除申請書(収益事業を営まない場合)

 

税務署に提出する書類

 

収益事業を開始し給与を支払う場合、設立から2か月以内に提出する書類

・収益事業開始届出書(収益事業の概要を記載した書面、収益事業についての貸借対照表、主たる事務所の所在地の略図を添付する)
・棚卸資産の評価方法の届出書
・減価償却の償却方法の届出書
・消費税課税事業者選択届出書
・青色申告の承認書(青色申告控除を受ける場合)
・給与支払事務所等の開設届出書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(給与等の支払を受ける人の人数が常時10人未満で、源泉所得税の支払いを年2回でまとめて納める場合)

 

 

労働基準監督署に提出する書類

有給職員を雇用する場合に提出する書類

・労働保険料申告書
・適用事業報告
・保険関係成立届
・登記簿謄本

 

公共職業安定所に提出する書類

有給職員を雇用する場合に提出する書類

・登記簿謄本
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届
・労働者名簿
・保険関係成立届
・法人設立届出書の写し

 

社会保険事務所に提出する書類

1人以上従業員を雇用しているNPO法人は「強制適用事業所」に該当するため、社会保険に加入する必要があります。 

 

有給職員を雇用する場合に提出する書類

・新規適用届
・新規適用事業所現況書
・被扶養者(異動)届
・被保険者資格取得届
・保険料納入告知書送付(変更)依頼書
・登記簿謄本

 

法務局(登記所)に申請する必要があるもの

毎年事業年度始めの2か月以内に、資産総額の変更登記を行う必要があります。

一定期間ごとに理事の変更登記を届け出る必要があり、 理事が変更しなかった場合であっても、2年に一度は理事の変更登記を行わなければなりません。

 

まとめ

NPO法人の設立にはコストがかからないものの、かなりの手間と時間がかかります。
 
無事NPO法人を設立した後も、所轄庁、都道府県・市区町村、税務署、労働基準監督署、職業安定所、社会保険事務所、法務局と、さまざまなところに膨大な書類を提出しなければなりません。
 
設立することが目的ではなく社会貢献活動が目的なので、設立にあまりにも労力がかかるようならさまざまなサービスを使ってプロセスを最適化していく努力も必要です。
 
NPO法人となってからの決算は、会計ソフトを活用すれば最大限に効率化させることができるので、便利なツールはうまく取り入れながらNPO法人としての役割を果たしていきましょう。
 

 

 

また、法人カード(クレジットカード)は作っておくと便利だと思います。 なるべく本業にフォーカスするために、会計作業などで無駄な時間を浪費したくない方は、クラウド会計ソフトを活用し、経理・会計に関するバックオフィスにかかる作業時間は効率化することをおすすめします。

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