2019年04月03日(水)5ブックマーク

工場でパイプを作っていた青年が年商68億円の社長へ!その裏側にある会社を成長させるヒントとは?~株式会社ダイブ代表取締役庄子潔氏に聞く

経営ハッカー編集部
シェア0
ツイート
ブックマーク0
後で読む

「自分が会社の社長になるなんて、派遣社員として工場でパイプを作っていた頃は思いもしませんでした。そもそもボク自身、人に自慢できる経歴もないし、自分に自信があるタイプでもありませんでしたから」。

そうお話する庄子潔さんが代表を務める株式会社ダイブは、リゾートバイトに特化した派遣会社としては業界トップ企業です。今日では派遣事業に留まらず、人材紹介や海外留学支援、旅行サービスなど多岐にわたるサービスを手掛けて、年商68億円(2018年度)、社員数150名を要しています。

はたして、派遣のスタッフから急成長企業の経営者になるというサクセスストーリーはなぜ実現できたのでしょうか。「ボクらにはスーパーヒーローはいません。どちらかというと、人生で挫折や躓き、道草を経験している仲間達が多いんです」という庄子さんの言葉を信じるならば、この会社を急成長させている求心力の正体を探ることで、会社を成長させるヒントが見つかるハズです!

目次

    クラブのDJから工場の派遣スタッフへ

    ―世の中には色々な社長がいますが、派遣スタッフだった側から、人材派遣企業の社長になった庄子さんの経歴は珍しいですよね。そもそもどういった少年時代を過ごしたのですか?

     

    ボクは、宮城県仙台市で寿司屋を営む両親の元に生まれました。小中高とずっとサッカーをやっていて、家庭環境は極めて健全、何不自由なく育ててもらっています。

    人生の転機となったのは、高校1年の時、1つ上の姉に誘われてのクラブ通いでした。地元仙台にあるHIPHOP系のクラブだったのですが、熱気が凄くて、あの場にいるオーディエンスの一人ひとりが高校生の自分にはイケて見えて、世の中にこんなカッコいい空間があるんだって一発で虜になりました。

    「これだ!」と思った翌日にはサッカーを辞め、早速ターンテーブルを購入してDJを始めたんです。自分なりに本気で取り組んで、仙台ではそれなりのコミュニティになったんですよ。高校卒業後も音楽の熱は冷めやらず、本場のHIPHOPカルチャーにどっぷり漬かりにいくため、アメリカへ武者修行の留学までしたんです。


    ―派遣の作業員に行くまでも濃い人生ですね。留学後はどうされたんですか?

     

    カレッジへの留学だったのですが、学校にはほとんど行きません。クラブでDJをしながら、それこそ遊びまくりました。このアメリカ留学時代は本当に楽しかったですね。

    ただ、学校をさぼって親からの仕送りで音楽をしながら遊び続けたツケは、案外と早くにまわってきたんです。ある時、大きな交通事故を起こしました。車を大破させてしまい、学校に通うことができなくなったんです。

    バイトをしてもお金が足りない状態になりまして、もうアメリカで元の生活を送ることはできなくなりました。


    ―潮時かなと。夢の世界がタイムアップを迎えたのですね。

     

    結局アメリカには2年いて、それで仙台へ帰ってきました。当時のボクは「アメリカ留学した俺ってイケてる」と本気で思っていたんです。けれどもそんな浮ついた感情はすぐに打ち砕かれました。帰国して間もなく、生活のために職探しを始めた時のことです。

    仙台駅前で留学支援サービス会社のオープニングスタッフ募集の広告が偶然目に付き、「仙台×留学なんて自分しかいない!」とすぐに応募しました。自信満々で面接に臨んだのですが、集団面接で一人ずつ自己紹介が始まると、周りはみんなマジメな留学経験者で有名大学出身の人間だということがわかってきました。

    とうとうと自分の学歴とかを立派に語る人達を前にして、高卒でしかない自分がなんだか恥ずかしくなってしまって、それで順番が近づき焦って何を思ったのか、トイレに行くふりをして会場から逃げ出してしまったんです。

    あの日、自分のこれまでの経歴が仕事を探すという観点では世の中的に評価されないことが身に染みてわかったんです。履歴書に何も書けることがなくて、自分の勘違いがダサいというか悔しかったですね。

    その後もいろんな会社を受けましたが、見事に落ち続けました。最終的に見つけたのが、派遣会社のスタッフとして工場作業員となりパイプを作るという仕事でした。

    ―派遣で働くというのは自信満々の庄子さんから考えると不本意でした?

    いいえ。むしろありがたかったですね。こんな自分でも働ける環境があるんだって。何より楽しかったんですよ。与えられた仕事に全力で取り組んでいくうちに、まわりとも溶け込めるようになって、自分の居場所が見つかった感覚でした。

    その派遣会社の営業担当に佐藤さんという方がいて、わざわざボクに毎週声を掛けに来てくれたんです。「最近どう?頑張ってる?」とか、他愛もない会話だったと思います。でもその佐藤さんの声掛けによって、初めて一人の大人として認めてもらえたように感じて、自分の居場所を感じたんです。

    いつしか、佐藤さんのような人になりたいと思うようになりました。また、自分が変われたようにボクも誰かを変えてあげる存在になりたいとも思うようになって。結局それがきっかけで派遣会社へ転職しようと思うようになりました。

     

    支え抜くというスタッフへの向き合い方

    -お伺いしてわかりましたが、ダイブの原点は、自分が変われたように人も変えてあげたいという想いがあって、それが原動力になっているということなんですね?

    そうです。2002年に渋谷区のマンションの一室でアプリを立ち上げてからも、自分達は何ができるかを考えた先に、挑戦したいという人にきっかけを提供できる会社になりたいなという想いが一番にありました。


    ―そもそもリゾートバイトとはどういったサービスなのですか?また、御社のスタンスは他の派遣会社とどう違うのですか?言葉は悪いですが、どの会社もそういった派遣社員に寄り添うような言葉を掲げているものですよね。

    リゾートバイトは、ホテル・旅館・スキー場といったリゾート地でのアルバイトのことを言います。当社では、毎年約1万人の派遣スタッフをリゾート地へ送り出しています。仕事内容は旅館の仲居さん、ホテルのフロント、スキー場のスタッフなど様々です。

    また、他社さんとのスタンスの違いをどうこう言うのは避けますが、自分たちについて言えることがあるとすれば、リゾートバイトから始まったボク達のサービスの誕生の経緯そのものが挑戦する人を支え抜きたいという姿勢ゆえに生まれたと言えます。

    一つひとつのサービスが、リゾートバイトの延長線上から始まっているんです。スタッフさんをただ、派遣して終わりなのか。彼、彼女たちはいったいリゾートバイトにどういった目的で来ているのか。そこを紐解くと、自分が変わりたいという想いや夢を持っている方が多いことに気づきました。

    そういった方の夢をリゾートバイトという空間や時間だけサポートするのではなくて、きちんとその先もサポートする責任が僕たちにはあるんじゃないのか。そういった問いから現在の各種サービスは生まれていきました。


    ―例えば、どういったサービスがあるのですか?

    リゾートバイトに行った先で留学をしたいという方が多かったので、留学支援のサービスを始めたり、あるいは地方から都会に出て就職したいという方も当然いるので働き口と共に居住環境も提供するサービスなども増やしました。また、もっと旅にでている人材を世間的に評価してもいいのではというところから生まれた「旅人採用」支援サービス、これらはすべてスタッフさんを支え抜くという向き合い方から生み出されていったものです。
     

    優秀な人材を集めるために情報発信

    ―スタッフへ寄り添った結果としてサービスが生まれてくるなど、確かに他の会社のスタンスとは異なるようですね。しかし、御社がここ数年飛躍的に成長している要因の説明としては、まだわからない点があります。派遣会社の成長には優秀な人材を集める必要があると思います。この点から、人が集まってくる理由はどこにあると考えていますか?

    ボク達は特別なメンバーが集まっているわけではないんです。ただ、会社として挑戦したい人を徹底的に「支え抜く」ということを内外に発信し続けるようになりました。この変化が大きかったように思います。

    同社の売上推移 WEBサイトより

    ―自分達が社会に何をしていきたいのか、ミッションやビジョンを高々と掲げるということに関しては、自信をもって行っているということでしょうか?これはいつ頃から行い始めたのですか?

    2014年から15年頃でしょうか。象徴的なのは15年から実施しているプロジェクトで、スタッフさんを支え抜くことを内外に強くアピールするために、定期的に「あなたの夢叶えますキャンペーン」と銘打った夢を本気で応援する企画を開始していることです。

    これまで、象使いになりたい女性に、ラオスで実際に免許取得までを支援したり、歌手になりたい人には舞台を用意したり、パートナーにプロポーズしたいという人には、サプライズでのプロポーズのお膳立てをしたり、結構徹底的に色んな応援をしています。


    ―そうした話題作りに長けていることが大きいんですね?確かに2015年あたりから、売り上げも大きく伸びていますね。

    インバウンド需要も要因として言えますが、会社として共感性の高い物語や話題を意識的に作っていくことで求心力が生まれていることには間違いありません。スタッフさんもこの会社は他の会社と違うぞと思っていただけますし、一緒に働くメンバーも深く共感してくれる方が集まってくれるようになります。


    ―ズバリ共感のポイントは?

    人生って挫折や躓き、道草がつきものですよね。そうした遠回りで学べることはたくさんあります。でも今の社会では履歴書に書き表せないそうした価値を評価してくれる受け皿がありません。

    ライフスタイルや価値観の多様化がこれだけ言われて、働き方も多種多様な形態が生まれてきているのに、肝心の働くための入り口は昔から何も変わらないというのはおかしいですよね。いまだ学歴や職歴といった表層的な部分で人の価値が推し量られてしまっている。

    ボクたちの前提にあるのは、人の価値ってどこにあるんだろう、履歴書に書き表せない部分にだって人としての価値はあるよね、それをサポートしていくのがボク達だよねという考え方です。

    上述した旅人採用では、バックパッカーが世界中を旅したとして、その期間は履歴書では空白の期間になります。でも実は海外を巡るなかでその人が見たり感じたり、学んだことというのが、たくさんあるはずです。そういった経験をもっと評価してあげられる社会を創り出すというのが、当社のミッションですね。

    そういった使命感みたいなものがあるから、多くのメンバーが人を変えたいという想いを強く持っています。実際に変わるのは一人ひとりのスタッフさん自身の力だけれども、ボク達はそのために環境を用意することはできます。

    実際に今までに10人・・・100人と人が変わっていく様を目の前で見てきました。単純かもしれませんが、もし10万人、100万人という人々が気づきを得て変わることができたなら、日本はもっともっと良くなっていく。そうなるはずだと信じています。


    ―そこに共感する仲間が集まってくるというイメージですか?

    そうです。本気で支え抜きたいんです。こうした姿勢を尚一層強く発信し続けていくためにも、3月末で社名やビジョンなどを一新することにしたんです。
     

    社名変更アプリからダイブへ

    ―それで社名を株式会社ダイブへと一新するんですね!今後ますます事業性を高めて拡大していくのだと思いますが、この社名やビジョン、ミッションなどの変更にも庄子さんはじめ、ダイブの社員の方たちの想いが込められているのでしょうか?

    新社名「ダイブ」には、新しい世界へ飛び込んでいくすべての人を最後まで支え抜きたいたいという想いと共に、ボクたち自身も未知の領域へ果敢に挑んでいくという強い決意を込めています。

    たいていの人が自分の人生を振り返った時に「あの日」があったからこそいまの自分があると思える時期を持つものです。でもそのきっかけを掴み取るためには、いまを変えないといけない。新しい世界に飛び込まないといけない場合が多くて、その一歩踏み出す勇気を持てるかどうかが重要と思っています。

    ダイブへの社名変えはそうやって勇気を持って新しい世界へ飛び込んでいこうとするすべての人を最後まで支え抜くことを使命としているので、それを強調するための変更です。


    ―でも、何故このタイミングだったのでしょうか?

    働き方改革が言われて、最近は人と会社をはじめとした組織との関係性って劇的に変わりつつありますよね。働き手が会社に何を期待するのかを考えたときに、これからの会社は規模や給与という数字で見える側面だけではなく、「何をやっている会社なのか」ということで共感し合えることが、今以上により重要になってくるハズです。


    ―そういったビジョンにフィットした人材を採用していきたいために変更を行ったと。

    はい。社員となった人が会社で過ごす時間も、人生の中の大切な時間の一部です。個人のやりたいことの方向性と会社の方向性のベクトルが合致してもらうのと同時に、ボク達もダイブとして、どういった世界観をこの社会に対し実現していきたいのかをわかりやすく表明する必要性を感じたんです。 


    ―それはどういった世界ですか?

    誰もがジブンの人生を愛せる世界へ、というビジョンを実現するものです!


    ―なるほど。社名からビジョンやミッションなど、そのすべてに共感性を詰め込んでいくというのが重要なのですね。ありがとうございました。
     

    【プロフィール】
    庄子 潔(しょうじ・きよし)
    1979 年宮城県仙台市生まれ。高校卒業後、音楽の勉強のため2年間アメリカへ留学。帰国後、派遣会社に登録して工場勤務を経験する。その後仙台市の派遣会社へ転職。2002年株式会社アプリの創業メンバーとして参画。2012年代表取締役に就任。夢はバックパッカーとして世界一周すること。

    【企業情報】
    会社名:株式会社アプリ→株式会社ダイブ(2019年3月29日〜)
    電話番号:03-6311-9833
    代表取締役:庄子 潔
    本社所在地:〒160-0022東京都新宿区新宿3丁目1-13京王新宿追分ビル9F 
    従業員数:152名(2018年3月時点) 
    年商:68億円(2018年度)
    URL:https://apptli.co.jp/

    シェア0
    ツイート
    ブックマーク0
    後で読む

    関連する事例記事

    • インタビュー・コラム06月27日経営ハッカー編集部

      BlueMeme松岡真功社長に聞く~ローコードとアジャイル、そして教育で日本のシステム開発を変革する

      0ブックマーク
    • インタビュー・コラム05月19日経営ハッカー編集部

      ワンダープラネット佐藤彰紀CFOに聞く~地元名古屋からエクイティ・ストーリー実現に向き合う

      0ブックマーク
    • インタビュー・コラム05月17日経営ハッカー編集部

      サーキュレーション山口征人取締役に聞く~プロ人材のスキルシェアで、知が循環する社会を創るとは?

      0ブックマーク
    • インタビュー・コラム05月12日経営ハッカー編集部

      クルーバー石田誠社長に聞く~システムを基盤にあらゆる車周辺ビジネスから深掘る成長ストーリーとは?

      0ブックマーク
    • インタビュー・コラム04月28日経営ハッカー編集部

      ジィ・シィ企画矢ヶ部啓一社長、坂井正人取締役に聞く~キャッシュレス決済事業の成長力と新規事業展開

      0ブックマーク
    関連記事一覧