経営ハッカー | 「経営 × テクノロジー」の最先端を切り拓くメディア
2022年10月24日(月)

仕事が・ビジネスが、はかどる。最新鋭スキャナー「ScanSnap iX1600」の持てる強みとインパクト

経営ハッカー編集部
仕事が・ビジネスが、はかどる。最新鋭スキャナー「ScanSnap iX1600」の持てる強みとインパクト
ビジネスを動かすことはすなわち、さまざまな書類が発生すること。領収書しかり請求書し かり、これらの適切な取り扱いは、安定的な事業経営のためには決してなおざりにできない一大事だ。様々な仕事現場において、書類を最大限に効率よく保存・管理する際に大きな味方となるのがパーソナルドキュメントスキャナー「ScanSnap」である。2021年1月に登場したフラッグシップ機種・iX1600は、その数々の充実機能であらゆるビジネスを強力に後押ししてくれる。開発元はスキャナー市場を常に先導してきた株式会社PFU。同社でプロモーション/パートナーアライアンスを担う平井 将也氏・鶴田 哲也氏の両名に、ScanSnapおよびそれが切り開く今後の未来について聞いた。


ScanSnapは、常にワンタッチのシンプルさ



-ScanSnap iX1600を使ってできることを教えてください。

平井(以下同様):ひとことで言いますと、手始めの簡単なカスタマイズ設定を経て、実際の利用シーンではスキャン自体はもちろん、その先に必要となる各種アクションまでもがごく簡単に行えてしまう、ということです。パネルをワンタッチするだけで①スキャニングも、また②読み込んだデータのその後の扱いも、オンラインオフライン問わず意図した場所に格納したりメール送信したり、といった風に済ませられるのです。


本機を見るとまずタッチパネルが目につきこれがまさしく特徴的なポイントなのですが、インターフェイスとしてごくシンプルなものになっています。取り込んだデータをどう処理するかは、使う人とその目的の種類だけ異なるわけですが、本機では「この手の書類はここへ格納」といった用途ごとのパターンを事前にプロファイル設定すれば、あとはパネルに最初から表示されているパターン毎のアイコンを押し分けるだけです。

オンラインの格納先としてはDropboxやEvernoteなど多数の選択肢から選ぶことができ、この点非常に汎用性があるものと自負しています。

-この製品には、デフォルトでクラウド連携できる機能もあるとのことですね。



鶴田:はい。「ScanSnap Cloud」というもので、当製品が登場する以前の2016年にリリースされています。名刺管理、会計・個人資産管理、ドキュメント管理、写真整理といったことが、これを介して各分野のデファクトスタンダードとなっているクラウドへとデータを送ることができます。

先立って述べたDropboxやEvernoteへの格納の話も本質的にはこれと同じでして、iX1600ではタッチパネルのインターフェース上から、ScanSnap Cloudを通じて連携しているクラウドサービス、つまり宛先を選んでスキャンすることが可能です。このように「スタンドアローン」で作動してくれるのもiX1600の優れたポイントです。

なおスキャナーを起点とするクラウドサービスを提供しているのは現状当社のみでして、ビジネス・プライベート問わず既におなじみの各種クラウドへとシームレスにつながり保存できる利便性は、決して小さくないと思います。

-スキャニングのプロセスそのものに関する強みとしては、いかがでしょう?

鶴田:iX1600には、ハードウェア企業としての当社が培ってきた技術の粋が集約されています。スキャン時のスピードは毎分40枚・80面、斜行や紙詰まりの発生しにくさといった長所も従来製品に輪をかけて安定しています。

こういった純粋に物理的なスペック面だけに限りません。例えばサイズも向きもバラバラという書類や写真を一緒くたに投下したとしても、iX1600はごくスマートに対応します。給紙された一つ一つが「文書」「名刺」「レシート」「写真」の4つに判別して振り分けられ、その種類別に指定の場所へスキャンデータが保存されます。そのデータを確認してみれば文字の向きまでちゃんときれいに統一されている、といった具合でして、給紙前の仕分けも生成データをわざわざ編集して向きを整えることも不要なのです。

加えてOCR機能も備わっているので、名刺上の住所でもレシートに書かれた金額でも、諸々のテキストが解読されてはスキャン画像に紐づいたかたちでテキストデータやCSVデータとして保存されます。

データ化したい書類はまとめて給紙、パネル上のアイコンを押せば「レシートなら会計freeeに、名刺ならEightに、これこれの書類ならEvernoteに」と文字のテキストデータ化も含め整理が自ずとなされるのであれば、書類をめぐる広範囲な作業もそれだけで大いにはかどりますよね。


PCで動くアプリ「ScanSnap Home」を利用し、ドキュメント類の管理活用が可能

- フラッグシップモデルにあたるiX1600のほか、用途やシーンに応じた関連モデルもあるそうですね。

鶴田:直接的な廉価版に当たるものとしてiX1400がありますが、よりご注目いただきたいのが昨年10月にリリースされたiX1300です。テレワークシーンを意識したコンパクトさが売りのモデルでトレー収納時の存在感がスマート。それにスキャン時の紙の吐き出しが手前方向ではなく垂直に近い上方へ向かってなされるから省スペース。自宅のオフィス環境を快適にしてくれます。


見た目にもスマートなiX1300(右)。モバイルモデルのiX100も(左)

このほか非接触で読み取るSV600もあります。これは希少価値の高い文献資料、あるいは複数の紙が別れないよう製本加工のなされた契約書など、断裁したくない(できない)書類のスキャン需要に対応するものです。


形状も異色な「SV600」はオーバーヘッド読み取り。LED照射によるスキャンののち、ページのしなり等も踏まえた自由度高いデータ補正ができる

テレワークも世の中も。ScanSnap が更新する世界

- テレワークというと、コロナ禍を機に一気に普及が進みましたが、スキャナーを利用する機会もやはり相応に増えたのでは?


平井:はい。「自宅にもオフィス環境を」との機運が高まる中で、省スペースも実現しつつ必要な諸機能を備えたコンパクトモデル・iX1300をメインにご注目いただいていることが、販売台数の動向等も含め見て取れます。スキャナーでの紙書類のデータ化とテレワーク普及との正比例の関係が、当然と言えば当然ですが、実体験としてもここ数年来確かさをもって認められます。

2020年の春に実施したScanSnap×テレワーク支援プロジェクトでは、一連のプログラムの最後にアンケートも実施したのですが、実に95%ものユーザーが「紙情報のデータ化が生産性の向上に繋がった」と実感していました。

これに続いてただ今、テレワークからさらに進んで「ワーケーション」シーンでの普及拡大を企図し、福岡市ワーケーション活性化支援プロジェクトにも取り組んでいます。全国から企業や個人事業主を募って福岡市内でワーケーションしてもらい、滞在中のiX1600利用で生じた業務状況の変化について、福岡滞在の感想と共にヒアリングするという趣旨の企画です。実証性のある取り組みを通じ、優れたスキャナーがあれば働き方もより柔軟に、また省資源という観点からもより良い社会をつくれることを実際に示していきたく思います。

- 世相という意味では、例えば10年と少し前の「自炊」ブームの際にもスキャナーは大活躍したことと思います。


平井:そうです。登場したばかりだったiPadへの注目も重なり「本を電子化し自由に持ち歩ける」と多くの人が興奮を覚えたあの時もまた当時の最新機種・S1500が自炊に不可欠なツールとして好評を博しました。持っている本をことごとく裁断してはスキャンして、と工数のかかる作業に取り組む上で、2009年リリースのS1500が持つ「傾き自動補正」「白紙ページ自動削除」等の機能が非常に多くのユーザーに役立つこととなりました。

自炊ともまた違ったかたちで、社会との関わりを強く感じさせたScanSnap活用事例としては、ボランティアによる被災写真のデータ保存活動があります。これは東日本大震災で被災した写真をスキャンしデータ保存することで被災者がこれを見つけやすくなる、というものです。砂を落とした上でスキャンデータを作成する一方、原本自体も水洗浄し乾燥処理を済ませた上で、被災地にある所定の会場へと戻され、そこで持ち主が現れるのを待つという手続きで行われました。

ほかにも、例えばエンタメ関連ではお絵かき水族館のような事例がありました。スキャニングそれ自体は極めて汎用的な営みですからその新たな活用事例は業界や分野を問わず大小さまざまなスケールで起こり得ます。流行だったり、適応することが求められる新習慣をきっかけに、新しい需要の波が生まれることもあるでしょう。今とてまさしく電子帳簿保存法と来年始まるインボイス制度への対応に向けて様々な動向が見られるフェーズ。これらのトピックに関しては目下、当社も色々と動き出している段階です。

医療、教育、官公庁、出版、物流等、数え上げるとキリがありませんが、これからもあらゆる業界の企業等とパートナーシップを組んで、プロモーションなり開発なりに臨む展開が予想されます。

世界シェアNo.1※の技術力。スキャナー開発のフロントランナー

- 現在あるスキャナー市場そのものを興し、新機種の開発においても常に業界をリード。欧州・日本・米州の三市場の全てでトップシェア。まごうことなき先導者たる株式会社PFUですが、これまで一貫して大事にしてきた観点や姿勢などはありますか。


鶴田:開発に関しては、あくまでユーザーと同じ目線に立ち「いかに手間なく使うことができるか」、そこに尽きると思います。その時々でユーザーが果たすべきジョブが、そのことを意識せずとも自然と達成できている状況を作れるマシンこそが究極の理想であり、そういった真に優れたユーザビリティの境地を目指しています。


平井:ScanSnapシリーズの第一弾機種がリリースされたのは2001年ですが、これに先立って今の話に関わるちょっとしたいきさつがあります。ScanSnapの先代ともいうべきスキャナー製品・Pragmaがその三年前の1998年にまず出たのですが、業務用としての性質が色濃く、スキャナーが具体的にどう役立つかという世の認知も低ければインターフェイス面の工夫もまだまだといったところで、結果が今ひとつなものに終わったのです。

そのことへの反省から、入念なマーケティングを経て、あらゆる点でバージョンアップを施した上、装いも新たに登場したのが現在まで続くScanSnapシリーズです。上述の意味での優れたユーザビリティが一貫して意識された設計がPragmaとの大きな違い。冒頭から述べてきたiX1600が掲げるキャッチは「カンタン・スピーディー・コンパクト」というものですが、イメージ的にScanSnapのそれまでの系譜に連なるものであることがお分かりでしょう。

- ものづくりの会社としての「イズム」のようなものすら感じられてきますね。



平井:どうしたらより良くできるか、そのことを愚直に追求する気風があるということなのかと。特に開発担当者がそうなのですが、納品先の現場で起こりうるリスクに対し極めて注意深く、ひとたび不具合が生じた際の原因究明であるとか、作動の安定性のための改良であるとか、そういった目の前の仕事に真正面から向き合うスピリットが通底しています。これは、当社がスキャナー開発に着手する以前、オフコンやサーバー開発を手掛けていた半世紀以上前から変わっていません。

給紙機構の不具合など製品トラブルの起こりにくさについても高い評価を得てきましたが、それはローラーであったりセンサーであったり、あらゆる部品にわたってごく微細なレベルで試行錯誤や調整を重ねた歴史ゆえであって、脈々と受け継がれる向上心のバトンなしには今日の実績はあり得ないのは確かです。

東大名誉教授・和田英一氏と四半世紀以上かけて共同開発を続けているHappy Hacking Keyboardなどは、こういったある種のストイックさがごくシンプルなプロダクトとして実を結んだという点で、象徴的かもしれません。


当社は、この9月から新たにリコーグループに参入し、60年余りの歴史から、また新しい一歩を踏み出しました。グループとしての広大な販売網とのシナジーで当社のスキャナー事業がどんな実を結ぶことになるのか、私たち自身、今から楽しみにしながら前進していきます。

※ドキュメントスキャナーを対象とする。日本・北米はKEYPOINTINTELLIGENCE社(InfoTrends)により集計(2020年実績)ドキュメントスキャナ集計よりMobile/Microを除く6セグメントの合計マーケットシェア(主に8ppm以上のドキュメントスキャナ全体)欧州はinfoSource社(2020年実績)の集計に基づき、西欧地区(トルコとギリシャを含む)におけるシェア

株式会社PFU
https://www.pfu.fujitsu.com/

英語表記:PFU Limited.
設立:1960年11月1日
資本金:150億円
従業員数:4,383名(PFUグループ、2022年4月現在)
所在地:本社 石川県かほく市宇野気ヌ98-2
横浜本社 神奈川県横浜市西区みなとみらい4-4-5 横浜アイマークプレイス
事業内容:コンピュータ開発で培った技術を基に、ドキュメントスキャナー、エンベデッドコンピュータなどのハードウェアおよび、セキュリティ・文書管理などのソフトウェアやサービス、ITインフラ構築や他企業と提携したマルチベンダーサービスなど、ICTに関する製品・サービスをトータルに提供

    関連する事例記事

    • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
      インタビュー・コラム2023年02月28日経営ハッカー編集部

      衆議院議員・小林史明氏×freee佐々木大輔CEO 企業のデジタル化実現のために国が描く未来とは?

    • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
      インタビュー・コラム2022年08月30日経営ハッカー編集部

      ギークス佐久間大輔取締役、佐々木一成SDGsアンバサダーに聞く~フリーランスと共に築くESG経営とは?

    • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
      インタビュー・コラム2022年08月28日経営ハッカー編集部

      サイバー・バズ髙村彰典社長に聞く~コミュニケーションが変える世界、SNSの可能性とは?

    • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
      インタビュー・コラム2022年08月05日経営ハッカー編集部

      バックオフィスをどう評価する? 経理をやる気にする「目標設定」と「評価基準」の作り方

    • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
      インタビュー・コラム2022年08月01日経営ハッカー編集部

      グラントマト 南條浩社長に聞く~農業生産者、消費者、協力企業間のアグリビジネス循環型モデルとは?

    関連記事一覧