2019年05月31日(金)2ブックマーク

働き方改革は、内省と他者との対話から始まる~鎌倉マインドフルネス・ラボ株式会社 代表取締役 宍戸幹央氏に聞く

経営ハッカー編集部
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働き方改革と言えば、とかく仕事の効率化をどうするか、多様性に合わせて就業規則をどう変えるかといった議論になりがちだ。しかし、その前に自分自身や企業の在り方が定まっていないと、働き方は変わらないと宍戸幹央氏は言う。今回、禅とマインドフルネスの国際カンファレンスである「ZEN2.0」を主催し、世界的なネットワークを持つ同氏にマインドフルネスの俯瞰的な動向や働き方改革における日本の問題について話を伺った。

目次

    世界的な禅やマインドフルネスの動向は?

    -近年の禅やマインドフルネスの状況についてお話しください

    今、禅やマインドフルネスは、世界の企業経営者、学校教育者だけでなく、地域行政にとって大きなムーブメントとなっています。

    産業界では、マインドフルネス研修を取り入れている企業は、Google、アップル、マイクロソフト、インテル、ゴールドマン・サックス、SAP、フォード、LinkedIn、Twitterなど、多数に上り、日本人が名前を知っている企業には大体入っているんじゃないかと言えるほどの活況ぶりです。

    特に米国西海岸を中心とした企業が数多くマインドフルネスを実施しています。例えば、アップルでは、1日30分間、自由に瞑想をしてもいい時間が確保されているなど、企業それぞれにプログラムを持っています。

    その中でもGoogleでは、チャディー・メン・タン氏が自社内で独自に「SIY」を開発しました。このSIY=Search Inside Yourselfとは脳科学の成果を活用した、マインドフルネスにもとづくリーダーシップやパフォーマンス向上のプログラムです。

    一方、ヨーロッパに目を向けると、世界のトップクラスのビジネススクールであるスペインのIEでは、グローバルな視点で、起業家精神の教育やリベラル・アーツを用いてイノベーションや組織の変革をもたらすリーダーを育成しています。こういった、リーダーシップ開発プログラムの中に、マインドフルネスが普通に取り込まれています。

    昨年、海外のMBAを紹介するフォーラムがあり、私も登壇する機会があったのですが、その中で海外のデモ授業のプログラムがありました。ここでも、マインドフルネスを取り入れたものが紹介されていて、世界のリーダーシップ教育の重要な要素となりつつあることを実感しました。

    -世界的にマインドフルネスの浸透が進んでいるのはなぜでしょうか?

    欧米ではマインドフルネスを科学的に解明していこうという志向が強いです。脳科学や心理学のみならず経営学におけるチームビルディングなどもすべてデータを取りながら検証をしていく。よって、その中でよい結果が出れば積極的に取り入れてみようとなるのです。

    さらに、浸透が加速化している背景として、もともとマインドフルネスは宗教の一つである仏教用語の英訳であり、宗教性を含んでいたものなのですが、GoogleのSIYのように科学的に実証された部分を上手く切り取って、誰でも抵抗なく参加できるようにしたということが大きいです。

    Googleのチャディー・メン・タン氏はWisdom2.0というマインドフルネスの国際カンファレンスの立ち上げにも関わり、マインドフルネスの普及にも大きく貢献しました。ここに世界のマインドフルネスの実践者や、関心のある企業が集まっています。こういったコミュニティで発表された成果を企業が社内に持ち帰り、実践していることでも、広がりを生み出しています。

    さらに遡ると、シリコンバレーのある米国西海岸では、1960年代からヒッピー文化の中で自然に、禅が取り入れられてきました。中央集権型ではなく、個を生かし合う社会づくりに禅が合っていたということだと思います。また、マインドフルネスの効果を1970年代後半には、実証している人もいました。例えば、マサチューセッツ大学医学大学院のジョン・ガバット・ジン教授はマインドフルネスを臨床的技法として体系化しました。

    少し飛びますが、2011年頃になると、ハーバード大学などからマインドフルネスの効果を脳科学から裏付ける成果が発表されるようになり、瞑想すると脳の中で記憶や自己意識、同情心、考察などの活動に関係していると言われる海馬部分の灰白質の密度が高まってくるなど、瞑想が脳に良いというデータが次々に出てくるようになった。

    また、グローバル・リーダーの中ではもともと瞑想をしている方々もいました。スティーブ・ジョブズは有名ですが、AT・カーニーの日本法人会長である梅澤 高明氏なども、30年間毎朝、瞑想をしているそうです。欧米企業の経営者、文化人の中で瞑想を日常的に行っているという人は枚挙に暇がありません。

    -マインドフルネスの原点はもともと禅にあるのでしょうか?

    もちろん、禅にもつながりはありますが、チベット仏教もあれば、ヨガもあり様々な流れがあります。ただ元は、上座部仏教の八正道が原点です。八正道とは悟にいたるための8つの徳の実践で、この中の一つ、正念の念の文字の英訳がマインドフルネスなのです。

    念とは意識の状態であり、正念とは観察によって今の自分に気づくということです。瞬間瞬間の自分に気づいていくために瞑想の実践が必要だということですね。

    日本でマインドフルネスが盛り上がらない理由
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