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2019年08月21日(水)

1日わずか約230円で会社にミニ法務部のような機能!弁護士費用保険リガールBizとは?

経営ハッカー編集部
1日わずか約230円で会社にミニ法務部のような機能!弁護士費用保険リガールBizとは?

コンプライアンス意識の高まる昨今では、法務担当者を置いたりインハウスロイヤー(企業内弁護士)を雇用したりする会社が増えている。5年毎に行われている「法務部門実態調査」によれば、法務担当者総数は2005年では6,530名、2010年では7,193名、2015年は7,749名と増加傾向にある。また、法務部門に属する弁護士の数も、2005年では53名、2010年では168名、2015年は530名と加速度的に増えている(※)。しかし、法務担当者や企業内弁護士を雇用する余裕がない企業も少なくない。そんな企業の心強い味方ともいえるのが、フェリクス少額短期保険株式会社の事業者向け弁護士費用保険「リガールBiz」だ。今回、同社代表取締役社長で弁護士の多田 猛氏に、弁護士費用保険とは何なのか、この保険に入ることでどのようなメリットが得られるのか、話を聞いた。
(※経営法友会「企業法務における人材確保の動向とニーズ―─『会社法務部【第11次】実態調査の分析報告』から」)

コーヒー1杯分の値段で「ミニ法務部」をあなたの会社に

―御社は、2019年7月に事業者向け弁護士費用保険「リガールBiz」というサービスをローンチされました。これはどんなサービスなんですか?

リガールBizとは、2つの弁護士費用補償(法律相談料補償・示談交渉訴訟費用等補償)と、3つの付帯サービス(弁護士直通ダイヤル・弁護士紹介サービス・ドキュメントサービス)の5本柱からなるサービスです。弁護士費用補償とは、弁護士との法律相談料や、示談交渉や訴訟費用を弁護士に依頼した際発生する費用を補償するもの。弁護士直通ダイヤルとは、企業法務の経験のある弁護士に直接電話相談ができるもの。弁護士紹介サービスとは、日本全国の弁護士会から弁護士をご紹介するものです。弁護士費用保険は日本ではまだまだ知名度が低いのですが、ヨーロッパでは、企業だけでなく個人でも当たり前に使うようなサービスなんですよ。

―弁護士費用保険はヨーロッパではどれくらい普及しているのでしょうか?

たとえば、ドイツだと弁護士費用保険に入っている企業は200万社あると言われています。大手の企業は弁護士費用保険には加入していないものの、高いフィーを払って顧問弁護士のような形で雇っているのだそうです。「かかりつけ医」ならぬ「かかりつけ弁護士」みたいなものですね。ドイツでは、自動車を運転するときに損保に入るのと同じ感覚で、事業活動をするなら弁護士費用保険に入るのが当たり前になっているんです。事業者だけでなく、一般国民にも弁護士費用保険は広く普及しているんですよ。

―どういうことですか?

世帯割合でいうと40%以上の世帯が弁護士費用保険に加入しているというデータがあります。たとえば一般のご家庭の方が不動産の賃貸契約を結ぶときに、弁護士費用保険を使って、弁護士に契約書をチェックしてもらうのが当たり前になっているそうです。それだけ、ドイツでは国民生活や事業活動に弁護士費用保険が根付いているんですよ。

―それはすごいですね。中小企業にとって、実際にリガールを導入するメリットとは?

手軽に自社に「法務部」機能を持てるということですね。通常、法務部を立ち上げようとしたら人件費が高くつきますし、顧問弁護士を雇っても毎月何万円ものランニングコストが発生します。ただ全ての中小企業がそのような費用を支払えるとは限りません。でも、リガールBizなら1日約230円*、コーヒーチェーン店のコーヒー1杯分くらいの値段で、「何かあればすぐ弁護士に相談できる」という安心感を持てるイメージです。

―非常にコストパフォーマンスがいいですね。具体的にどんなご相談が多いのですか?

中小企業の法律相談で一番多いのは、債権回収や労働問題と言われています。「支払期日を過ぎても代金を払ってもらえない」とか「辞めた従業員から残業代を請求されている」とか。あと、取引先との契約トラブルも多いです。たとえば、ITベンダーが仕様書の通りに作ったソフトウェアを納入したのに、欠陥があってユーザーのビジネスがストップしてしまい巨額の損害賠償や逸失利益を請求されているとか。そういうときに弁護士を利用していただくのが、問題解決への一番の近道になると思います。

「中小企業の社長を救いたい」その思いから企業法務の弁護士の道へ

―そもそも、多田先生はどうしてこのサービスを始めようと?

まだ弁護士ではなかった頃に、勤務先でトラブルが発生したことがきっかけです。私は京都大学法学部を卒業後、上京してある学習塾に就職しました。塾長には大変かわいがってもらっていて、僕にとって父親のような存在でした。ところが、ある日その塾でトラブルがあって、塾長が社内外で対応に追われることになったんです。そのときに弁護士さんが入って手助けしているを見て、自分も弁護士になって、塾長のような中小企業の経営者のサポートをしたいと強く思うようになりました。

―弁護士に転身された多田先生が会社を設立されたのは、どういう経緯があったのでしょうか?

私が弁護士になったのは2012年。その後半年で独立しました。翌年2013年頃、弁護士費用保険がドイツを中心にヨーロッパで普及していること、日本でも単独型の弁護士費用保険が始まったことを知りました。そのときはそれで終わったのですが、のちにリガールBizの構想のきっかけとなる出来事があったんです。

―何があったんですか?

ロースクール支援や司法制度発展のためのロビーイング活動などを行う「ロースクールと法曹の未来を創る会」に事務局次長としての活動をさせていただくことになりました。代表理事 久保利英明先生と副代表理事 岡田和樹先生が、企業と弁護士を結ぶ雇用労働相談センターの代表に就任されたことで、同センターの運営にも関わらせてもらうことになりました。このセンターの活動を通して、企業にとって弁護士のニーズが高いことに気がついたんです。

―どういう意味ですか?

企業の経営者からよくお話を聞いてみると、雇用問題だけでなく、日常的にトラブルや悩みを抱えておられることがわかりました。でも、経営者にとって弁護士への相談はハードルが高かった。だったら、「弁護士と企業を結びつけるサービスがあればいいのではないか」と思い至ったのです。
 
そこで、弁護士に相談するハードルが高い最大の理由、「コスト」の問題を解消する方法を模索。そのときに、弁護士費用保険のことが頭に浮かんだんです。ちょうど当時、日弁連でも企業が弁護士にアクセスしやすくするために弁護士費用保険を普及させるべきという機運が高まっていたこともあり、2016年12月に弁護士費用保険の会社を創ろうと決意しました。そこで、2017年初頭から準備を開始し、2017年4月に今のフェリクス少額短期保険を創業した、という経緯です。

―保険業っていろいろな申請をクリアしなければならないんですよね。そこではどのような苦労があったのでしょうか?

日本には前例の少ないサービスなので、関東財務局の方に説明してもなかなか納得してもらえなくて苦労しました。しっかり考えて契約者を保護できるような事業計画を作ったものの、世の中に普及していない商材ゆえに客観的なエビデンス探しが難しくて。それでも事業を行うにあたってはしっかりとしたエビデンスは必要なので、類似のサービスや販売戦略を丁寧に検証し、当局にご説明しました。そうして2019年5月7日にようやく関東財務局から少額短期保険業者として登録が認められたのです。おそらく令和の時代になって最初の登録業者になれたので、幸先のいいスタートを切れたと思います。

フェリクス少額短期保険が誇るリガールBizにおける3つのサービス

―「リガールBiz」のサービス内容について、もっと具体的に教えてもらえますか?

先程もお話した通り、リガールは2つの補償と3つの付帯サービスから成り立っているのですが、多くの方にご好評をいただいているのが、「弁護士直通ダイヤル」です。これは、弁護士とダイレクトに電話ができ、トラブルの相談を15分間できるというもの。当社は日本弁護士連合会(日弁連)と協定を結んでいるからこそできるサービスだと自負しています。
 
当社の弁護士直通ダイヤルは、弁護士にすぐに電話で相談できるという即時性が強みです。業界ではこれを初期相談と呼んでいます。例えば、顧客対応などの法的トラブルは初動の速さ、正確さは重要かと思います。このスピード感が大切だと思っています。また、のちほど詳しくご説明しますが、弁護士への法律相談料も保険金で補償されるので、弁護士直通ダイヤルで初期相談したのち、対面での法律相談が必要になったときも費用の心配をすることなくご相談いただけると思います。

―次の「弁護士費用補償」とは?

お客様に月額料金を支払っていただくと、当社が、弁護士への法律相談料の実費と、示談交渉や訴訟費用等にかかる弁護士への着手金手数料の70%を補償するものです。「Lite」「Basic」「Hi」の3つのプランがあり、プランが上がるほど補償額が上がる仕組みになっています。また、「Hi」プランの場合、報酬額(成功報酬)や、日当、実費等が35%補償されます。

―また「弁護士紹介サービス」とは?

これは全国から弁護士をご紹介するサービスです。ここでも日弁連と協定を締結しており、北海道から沖縄まで、企業法務に対応できる弁護士を、各地の弁護士会を通じてご紹介します。全国の中小企業様を対象にこのようなサービスを提供できるのは、日弁連と協定を締結できた強みです。

トラブルが大きくならないよう弁護士保険で「火種」のうちに対処する

―実際に弁護士の方に何かを依頼するときは、どういう流れになるのでしょうか?

日々の事業活動の中で、「あれ?」と思った法的なお困りごとがありましたら、まずは、先ほどもお話ししました「弁護士直通ダイヤル」にお電話していただき、弁護士に依頼すべき法律問題であるかどうかなど判断してもらいます。これは、病院で例えると初期診断のような役割です。

そこで、弁護士に相談すべき法律問題にあたると判断されたら、当社にご連絡ください。ご相談内容が保険金の支払い対象かどうかを審査・判断します。支払い対象になると判断されましたら、次に、相談したい弁護士が決まっているかをお聞きします。決まっていれば、その弁護士に当社が必要書類をお送りし、必要事項を書いていただき提出してもらえれば、直接弁護士に法律相談費用をお支払いします。相談したい弁護士が決まっていない場合は、「弁護士紹介サービス」で弁護士をご紹介します。

法律相談後、示談交渉や訴訟を弁護士に依頼する場合は、弁護士に改めて費用の計算根拠などを必要書類に記入してもらい、それを当社にて審査した後、示談交渉や訴訟費用などの弁護士費用の一部を当社から弁護士へお支払いすることになっています。

保険金支払いに必要な書類は、基本は弁護士に書いてもらう仕組みですので、被保険者の方は書類を確認してサインしていただければと思います。

―それは非常に助かりますよね。今後リガールBizをどのように成長させていこうと考えていらっしゃいますか?

もっと付帯サービスを充実させていきたいと考えています。現在提供している、ITを使った契約書サービスだけでなく、私たちは、先進的な「リーガル・インシュアランスカンパニー」であり続けたいと考えています。弁護士が代表である当社だからこそできるサービスをもっと拡充させていきたいですね。

―最後に、中小企業の経営者のみなさまへメッセージをお願いします。

リガールBizは、中小企業の経営者を応援するための保険です。実際に問題が起こってから対処するためのものではなく、日頃から法的リスク予防のための備えとして持っていただける「かかりつけ弁護士」のようなもの。普段から備えをしておけば、いざトラブルに巻き込まれたときも、大きな出費なく弁護士に対応してもらうことができるんですね。「弁護士って使いづらいし、敷居が高い」と思われる方も、トラブル予防のためと思って気軽に入っていただけるとうれしいですね。当社も、そういった中小企業経営者の方々に寄り添えるような、より質の高いサービスをつくっていきたいと思っています。

【プロフィール】 
多田 猛(ただ たけし)
1979年兵庫県姫路市生まれ。2002年京都大学法学部卒業。一橋大学法科大学院(ロースクール)修了。
弁護士としては、政府のベンチャー企業・グローバル企業支援事業である雇用労働相談センターの運営にあたるなど、中小企業・ベンチャー企業の法務を中心とし、様々な企業法務案件を手がけてきた。
司法アクセスの改善などをライフワークとし、フェリクス少額短期保険株式会社を設立。弁護士費用保険を通じて、中小企業にとって弁護士が身近で使いやすい存在になることを目指す。
 
フェリクス少額短期保険株式会社
所在地:東京都千代田区平河町2-10-4 2F
設立:2017年(平成29年)4月7日
登録:2019年(令和元年)5月7日 関東財務局長(少額短期保険)第90号
事業内容:少額短期保険業及びこれに付随する業務
まず当社にご連絡ください。ご相談内容が保険金の支払い対象かどうかを審査・判断します。支払い対象となれば、そのご連絡をするときに、相談されたい弁護士が決まっているかをお聞きします。決まっていれば、その弁護士に当社が必要書類をお送りするので、弁護士先生に必要事項を書いて提出してもらえれば、直接弁護士先生に費用をお支払いします。
 
その後お客様がその弁護士に問題解決を依頼されたい場合は、その弁護士のところにすでに一括でお送りしている書式に、改めて費用の計算根拠などを書いてもらって、審査をして費用を当社からお支払いすることになっています。基本書類は弁護士に書いてもらうので、被保険者の方は書類を確認してサインしていただくだけでOKです。

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