2019年10月28日(月)2ブックマーク

IPOに導いた上場企業CFO13人が明かす「IPO虎の巻」

経営ハッカー編集部
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2008年以降、低迷していた国内IPO市場ですが、2014年を境に徐々に回復し年間のIPO企業数はおよそ100社程度まで伸びており、現在は活況といえます。

しかしながら、IPOスペシャリストの谷間真氏の著書『IPOビジネスの本質』の中で「70%の企業がIPOに失敗する」と登場しているように、IPOが狭き門であることは依然として変わりません。

IPOにおいて、資金調達から企業の内部統制まで幅広い業務を担う、企業価値の設計者とも言えるCFOの役割は非常に重要です。

そんな過酷な環境を乗り越えたCFOたちはIPO当時どのようなことに悩み、どのように課題を解決したのか、また当時を振り返って今どのように感じるのか。

今回は上場企業CFO13人から、IPOに導いた”虎の巻”について伺いました。

 

【目次】

※敬称略。企業名のアルファベット・五十音順で記載

and factory株式会社 水谷亮

【IPOに成功したポイント】

優秀な人材を揃えたこと、これに尽きます。当社は設立2年目から営業黒字で経営してきたので、コーポレートは可能な限りスリム化することが正しいという意識が頭の片隅にずっとありました。しかし、強固なコーポレート部門を作り上げ、健全な事業成長をサポートできる体制を構築することが、目先のコストを削減するよりも企業成長に必要だと気づけたので、会計士2名、上場企業の管理部長経験者を半年以内に続けて採用しました。そこから上場準備は加速し、設立4年でIPOを果たせたので、自分の決断は間違っていなかったと思っております。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

当たり前のことですが、初めての経験だったので、何をどこまでやればいいかわからないことと、決めたことを抜け漏れなく継続し続けることが大変だったと記憶しています。例えば、『勤怠管理をする』と言うと一言なんですが、フレックス制の有無を考えると雇用形態や就業規則にも関わってきますし、そもそもどのシステムを使うと従業員の負担が最小限になり、かつ会社としても管理しやすいかもわからない。導入後も、法律も変われば人数の増加に伴い最適なシステムも変わるので、自発的に運用方法のアップデートを実施しないといけない。審査の論点にならないよう、必要なものを整えて、それを運用し続けることが一番大変でした。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

コーポレートにもしっかりと人員を配置しましょう。ベンチャーは限られたリソースで運営しているので、コーポレートにコストをかけるのであれば、営業人員を増やして売上を作りたいと考える社長が多いと思います。しかし、それでは遅かれ早かれ業務の負荷に耐えきれず破綻する可能性が高いです。もし、本当にIPOしたいのであれば、早期にコーポレートの体制を充実させることをお勧めします。逆に言うと、それだけの人員を抱えてでもIPOしたいと思えた時が、本当にIPOするべきタイミングなのだとお伝えしたいです。

【プロフィール】

and factory株式会社 水谷亮

新卒で大和証券SMBC(現 大和証券)入社。社債の引受業務やプライベート・エクイティ・ファンドのカバレッジ業務に従事。
2014年9月にand factory株式会社の設立に参画し、同年11月、取締役に就任。コーポレート部門の管掌取締役として、経営企画/IR、経理、法務、総務、人事などコーポレート部門全体を統括。

Fringe81株式会社 川崎隆史

【IPOに成功したポイント】

IPOメンバー以外の社内メンバーが状況を理解してくれており、全面的に支援してくれたことが挙げられます。上場審査が大詰めになると事業の進捗が問われるのが通常ですが、その際回答する内容は多岐にわたります。当社では、事業に関する情報や分析、社外の関係者とのインタビュー設定に至るまで全面的にサポートを得ることができました。インタビューは依頼する審査側も実現するとは思っていなかったように思いますが、それが実現できた点は誇りです。上場準備チームだけではできないことを理解したうえで、協力を得ることができた点を挙げたいと思います。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

協力を得るために、どのように社内メンバーを巻き込むかに悩みました。情報管理に気をつけなければならないのは当然ですが、社内であまりに情報共有がなされないと、協力のしようがないという状況になります。当社では、情報共有と情報管理のバランスに細心の注意を払いながら、上場準備の進捗については情報共有を積極的に行い、社内メンバーからも状況がみえるよう意識していました。当社の社内ツール(Unipos)を使って、助けてくれた仲間にはきちんと感謝の気持ちを伝え、それが社内の他のメンバーにもわかるようにしたことも工夫の一つです。事業の情報を提供してもらうことや、電話を取り次いでもらうことなど、他部署のメンバーのお世話になることは意外と多いので、この点はとても助かりました。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

上場準備メンバーが抱えすぎないこと、でしょうか。上記の通りできること、できないことがある中で、きちんと状況を伝えて支援を求めることはとても重要です。
それとセットで、上述の通り情報をどこまで共有するかも大事です。情報管理をしすぎると、「あのチームは何をやっているんだろう?」となりますし、取引所など社外から電話が何度もかかってくるとなにかが起こってくることは明らかです。なので、一番健全なのは情報をオープンにすることだと思います。
また、証券会社さんに怒られるかもしれませんが、複数の証券会社さんと話すことを検討されると良いと思います。当時は各社に説明するコストを考え証券会社を絞りましたが、上場後は日々さまざまな投資家さんと話をします。それに比べれば説明はそれほど大変ではないので、さまざまな意見に触れてはいかがでしょうか。

【プロフィール】

Fringe81株式会社 川崎隆史

コーポレイトディレクション、野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て現職。 2014年にFringe81に参画しバックオフィスを立ち上げるとともに上場準備をすすめ、2017年上場。野村證券企業情報部ではM&Aアドバイザリー業務に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資銀行本部ではM&Aや資金調達等のアドバイザリー業務に従事。2社の間に米国ペンシルベニア大学ウォートン・スクールに留学、経営学修士号取得(MBA with Honors)。でもベンチャーの上場は学校では教えてくれなかったので、手探りをしながら上場に至る。

株式会社GameWith 伊藤修次郎

【IPOに成功したポイント】

1点目は、業績が好調かつ成長性が見込める事業を行っていることです。
2点目は、設立2期目にIPO準備に着手したため、社内にしがらみや慣習のようなものがなく、組織設計や規程などの導入が容易であったことが大きいと思います。
3点目は、上場準備を担うメンバーには、過去にIPOの実績があるメンバーを採用できたことだけでなく、それぞれがIPO準備において求められる会計や経営管理などの業務に強みを持ち、お互いの弱みをカバーすることができたことです。そのため最小限の人数で、最大限のパフォーマンスを発揮できたと思っています。
4点目は、会社の中長期の成長の土台となる管理部門の業務や主幹事証券や取引所との折衝時において、社長が全ての権限を任せられていたことです。これにより意思決定の手戻りがなく、迅速な意思決定を可能としたため、審査は非常にスムーズでした。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

IPO準備を通じて、管理部門のメンバーの育成を目的とし、若手やプロパーの社員を巻き込んで進めようとするも、確実に進めるために徐々に経験豊富なメンバーが中心となってしまいました。
IPO準備は、その業務を通じて学ぶことや体験することは非常に多岐にわたっており、ビジネスマンとしても、プロフェッショナルとして成長のためには厳しいながらも最高の機会だと思います。
その機会をベテラン勢が行なってしまったため、若手の成長機会を奪ってしまったのではないかという懸念はありました。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

プロジェクトオーナー(ベンチャー企業であれば創業オーナー)が不退転の決意をもってIPO準備に臨んでいるか確認することをお薦めします。IPO準備は長期に渡るプロジェクトであり、それまでは100%会社のルールで経営や事業を進められていた会社が、公開企業となるべく社会のルールに合わせなければいけないことが出てきます。そのためオーナーにとっては不自由と感じることや、いざIPO準備を始めてみるとこれまでは発生しなかった監査や証券会社とのミーティング、更にはIPOをリードするための人員などさまざまな管理コストが発生することに耐えきれずにIPOを止めると言い出す方が多い気がします。会社のトップの方は折れない心を持つこと、IPOの実務推進者の方は自社のトップが折れない心を持っているかを見極めることをお薦めします。

【プロフィール】

株式会社GameWith 伊藤修次郎

これまで4社のベンチャー企業に勤務し、内3社において上場実績を持つ。現職(株式会社GameWith)では、マザーズ上場と東証一部指定に携わり、現在は管理部門全般の管掌、IR、投資部門を担当。
・中央大学専門職大学院国際会計研究科 修了
・株式会社テレウェイヴ(元ジャスダック市場)
・株式会社ウィルホールディングス(東証二部→東証一部)
・株式会社GameWith(マザーズ→東証一部)

HEROZ株式会社 浅原大輔

【IPOに成功したポイント】

ビジネスモデルの確立(後述)と内部体制の構築の両方がポイントになります。弊社の場合、内部体制については、全体の設計図を描いてから上場準備作業に着手したため、効率的に構築できました。最初に(JSOXフローチャートのような)業務フローを見ながら、どこにコントロールを効かせるべきかを決め、それに基づいて、規程などの整備を行いました。私が参画するまではコーポレート部門はなかったため、ゼロベースで一貫した思想で管理部門を設計できました。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

弊社では将棋AIなどの開発を通じて機械学習の技術を蓄積しておりましたが、それを産業展開するために時間を要しておりました。技術的には社会実装が可能なレベルでありながら、なかなか世の中で受け入れられなかったことにもどかしい思いをしておりました。技術の変化は早い一方で、社会の変化はそれほど早くないと感じており、そこの繋ぎ込みのためにAIの提案をお付き合いのある金融機関に行なっておりました。最初に採用して頂いた金融機関には感謝しております。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

忍耐力は大事だと思います。私はプロフェッショナルファーム出身であったため、以前はディールベースで動いておりました。ですが、(少なくとも上場できるレベルの)事業を作り上げるために必要な時間は、投資銀行がディールメイクしてクロージングするまでの時間よりも長いです。そのため、プロフェッショナルファーム出身者は特に体内時計の調整は必要だと思います。

【プロフィール】

HEROZ株式会社 浅原大輔

将棋AI等を開発しているHEROZにおいて、CFOとして資本業務提携や東証マザーズへの上場を主導するとともに、AIを活用したBtoBサービスの新規立ち上げに従事。HEROZ参画以前は、ゴールドマン・サックス証券株式会社投資銀行部門資本市場本部に勤務。趣味では将棋三段・スキー1級。
京都大学工学部情報学科卒業、同大学院情報学研究科修了、ペンシルベニア大学ウォートンスクール経営学修士(MBA)

株式会社イーエムネットジャパン 村井仁

【IPOに成功したポイント】

IPOに成功した最大のポイントは、社長のリーダーシップと社員の頑張りだったと実感しています。
一方、CFOの立場としてのポイントですが、いかに「落としどころ」を見出すかだったと考えています。
企業がIPOを成功させるためには、当然、主幹事証券の上場審査及び日本取引所自主規制法人の上場審査に通過する必要があります。そのため、上場審査を通過するために求められる水準のガバナンス体制や社内管理体制を把握すること、すなわち上場審査を通過できる「合格水準」について、いかに上場準備の早い段階で理解し、IPOプロジェクトのメンバーに理解させられるかが重要なポイントだったと感じています。完璧を目指すことも大事ですが、いかに「落としどころ」を見出すかが、IPO成功のポイントのひとつだと実感しています。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

弊社の上場は、2018年9月21日でした。上場前からよく「上場日の9時の瞬間に上場企業になるから、その準備を怠らないように」と言われていました。そして、いざ上場日当日になって自分自身が準備不足だったことに直面したのをよく覚えています。まず、上場当日から大変ありがたいことなのですが、マスコミ等からの取材等の問い合わせや、機関投資家、個人投資家、アナリスト等からのお問い合わせを多数頂きましたが、IR体制が不十分だったこともあり、各方面の方々へご迷惑をおかけしたことを覚えております。
ぜひこれから上場を目指される方は、IR体制についても準備されることをお勧めします。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

ざっくりとしたアドバイスになってしまいますが、とにかく「強靭な精神力」が何よりも大事だったと思います。IPOを成功させるためには、まずCFO自らが「IPOを成功させる!」という強い信念を持つことが重要です。推測でしかありませんが、本来は上場できた企業でも、これがなかったために結果として上場できなかった企業は少なくないのではないかと感じています。IPOは非常に狭き門で、上場審査を通過するために比較的短期間に想像以上の準備が必要となります。そのため、これからIPOを目指す方々へのアドバイスとして、「絶対にIPOを成功させるんだ」と信じて疑わない強い心をもって下さい。私は幸運にも、弊社の社長や社員、主幹事証券の方々をはじめ多くの方々の支えにより、どうにか最後まで心折れずに頑張ることができました。

【プロフィール】

株式会社イーエムネットジャパン 村井仁

公認会計士。早稲田大学卒業後、デロイトトーマツコンサルティング株式会社(現アビームコンサルティング株式会社)、大手事業会社を経て、2006年に有限責任監査法人トーマツに入所し、IPO支援業務やM&Aのアドバイザリー業務に従事。トーマツ在職中にPEファンドへの出向等を経て、2016年に株式会社イーエムネットジャパン取締役CFO(現職)に就任。2018年9月東証マザーズ上場を果たす。会計教育研修機構 東京実務補習所委員、講師。

株式会社インフォネット 日下部拓也

【IPOに成功したポイント】

株主、主幹事証券担当者、監査法人、IPOチームメンバー、管理部メンバー、自社のボード等々、人的なリソースに恵まれたことです。社内のメンバーとの信頼関係、モチベーションの共有は勿論のこと、さまざまなステークホルダーが絡んでくるIPOのフェーズにおいては社外の関係者とも強固な信頼関係を築く必要があり、相性という意味でも非常に恵まれていたと考えております。社内のメンバーは組織体制の実務面で大いに頼ることとなりますし、社外のステークホルダーには応援してもらえる姿勢を持ってもらえることが成功のための大きなポイントになります。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

我々の時には商標権・特許等と言われましたが、審査ポイントにもトレンドはあり、正直論点は年々増えていると感じています。
現在はどのようなことがトピックスになっているのかのキャッチアップとそこに照準を合わせた管理体制づくりはマストになります。そのアンテナを常に張り巡らせていくにはいろいろな方のアドバイス等、情報収集の間口は大きく持っておく必要がありますので関係作りには非常に配慮しました。
一方で株主をはじめ、主幹事証券、監査法人、事業サイドの要請等、各々の譲れるもの譲れないものがありますのでそのバランス調整には苦慮しました。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

IPO準備中のCFO業務はとにかくハードワークになりがちです。そのような中で自分の管轄部門での日常業務を120%の力でこなしていくことは非常に困難なことです。
信頼できるメンバーを作ること、採用することは絶対条件になりますので信頼関係づくり、当社はギリギリになりハラハラしたのと同時に後ろが窮屈になりましたが、採用活動はなるべく早い段階から目一杯真剣に行なうと良いと思います。結果として、やるべきことが明確になりさえすれば手を動かすことは何とかなります。まずは論点の明確化とそれをやりきるリソースの確保、そこに注力してください。

【プロフィール】

株式会社インフォネット 日下部拓也

1981年東京都東村山市生まれ。公認会計士。公認会計士試験合格後、税理士法人トーマツ(現デロイトトーマツ税理士法人)に入所し、主に法人税務を担当。その後、有限責任監査法人トーマツに出向し製造業、卸売業、金融業等の監査業務に従事。
一般事業会社でのIPO業務、IR業務、財務経理業務等を経て、会計事務所にて企業再生、M&A等に係るデューデリジェンス業務等に従事。
その後、投資事業会社を経て2017年6月に当社取締役管理部長に就任。

株式会社カオナビ 橋本公隆

【IPOに成功したポイント】

最大の成功のポイントは主幹事証券との信頼関係です。
適切な相互牽制が十分機能することが前提ですが、主幹事証券はカオナビのことを真剣に考えたアドバイスを実施し、カオナビもその助言や指示を信じて全力で対応するという良いサイクルを築けたことで、審査上の課題に対して前倒しで対処でき、特段大きな問題もなく上場審査をクリアできたと実感しています。
もちろん、主幹事証券からのリクエストを迅速かつ的確に対処できるコーポレート部門スタッフのレベル・コミットメントの高さもIPOを成功に導いたポイントだと考えています。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

VC持分のオーバーハング解消については、上場時のバリュエーションがVCの目線に合わず、苦労したポイントです。上場時にVCが持分を処分しない場合、上場後にVCの売り圧力で株価が軟調に推移することがあります。上場後の株価形成を踏まえると一定の売出サイズを確保することが望ましいのですが、VCも利益確保が優先されるため発行体との間でコンフリクトが発生します。
カオナビの場合、バリュエーション目線の違いがありましたが、VCと粘り強く交渉を重ねることで一定の理解を示して頂き、必要最低限のオファリングストラクチャーを組み立てることができたと考えています。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

IPO時のCFOの役割としては、やはり上場審査対応の比重が大きくなりがちですが、単なる事務対応だと割り切って、上場後の企業価値を高めていくことにフォーカスすることをお勧めします。
もし上場前に戻れたら、プライベートでの資金調達時にセカンダリーの海外機関投資家に資本参加して欲しかったです。最近はこのような事例が増えてますが、グローバルで評価される会社を目指す上では重要なアプローチであり、中長期での成長魅力を訴求するためのエクイティストーリー構築など、上場後に必要なアクションを上場前に実施することの意義は非常に大きいと思います。

【プロフィール】

株式会社カオナビ 橋本公隆

名古屋大学卒業後、三洋電機株式会社の本社財務部門で資金調達や金融機関との渉外業務を担当。その後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社にて、主にテクノロジー領域の顧客を対象にM&Aアドバイザリーや資金調達等の投資銀行業務に従事。2018年8月に株式会社カオナビへ執行役員IPO準備室長として入社し、2019年3月の東証マザーズへの上場を牽引。2019年6月に取締役CFOに就任。現在に至る。

株式会社ギフティ 藤田良和

【IPOに成功したポイント】

①いい管理部門のチームを作れたこと、②現場の理解を得られ、巻き込むことができたことの2点が成功したポイントだと考えています。IPO準備が開始された当初は管理側も事業側も含めて会社全体を見ている余裕がありましたが、審査も終盤に差し掛かると忙殺されてその余裕がなくなってきました。その際、管理側に信頼して業務を任せられるチームが
あったことと、現場の理解を得られ、現場メンバーの協力を得られたことが大きかったと思います。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

①日々の業務とIPO準備とのバランス、②上場後の資本政策、について特に悩んでおりま
した。
①について、IPO審査の終盤になると審査対応で忙殺される一方で、日々の業務にも取り組む必要があり、現業に影響を与えることが本末転倒だと考えておりましたので、両立をするために最善を尽くしました。また、②について、上場後の資本政策について相談をできる相手が限られ、これまで様々な相談をさせていただいていたVCの方々とも利益相反が発生し、上場後の資本政策について理解いただけるVCと理解いただけないVCがおり、理解いただけるVCの協力も得ながら理解いただけないVCとの交渉を行いました。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

「審査を通す」という観点からは、IPOの責任者がきちんと自分で会社の事業や内部管理体制について理解して説明できるようにしておくことが重要だと考えています。ベンチャー企業のCFOは、財務だけでなく、経理、法務、労務等のコーポレート機能の理解を始め、ビジネス理解、営業、採用、システム理解も全て理解して証券会社や東証に説明を行えるようにしておくことがIPOへの近道だと思います。
また、IPOはあくまでも企業価値向上の手段であり、目的ではないので、資本政策をはじめとしたIPO後の戦略について、正しい相手に相談すること(大抵の関係者は利害関係が生じ、ポジショントークが入る)がとても重要だと考えています。

【プロフィール】

株式会社ギフティ 藤田良和

一橋大学経済学部卒業後、2009年4月より野村證券株式会社にて、M&Aのアドバイザリー業務に従事。主にテレコム・メディア・テクノロジー業界の企業買収や合併のエグゼキューションを担当。2013年8月より、オリックス株式会社にて、自己勘定投資業務に従事。
投資先企業のソーシング、レバレッジド・バイアウトスキームによる投資実行、バイアウト先企業のPMIを担当。2017年2月より、株式会社ギフティの取締役CFOに就任。

クックビズ株式会社 岡本哲郎

【IPOに成功したポイント】

景気や時流などさまざまな要因はありますが、1番は「仲間に恵まれた」の一言に尽きます。
上場準備においては私を含め3名のチームで、正に少数精鋭でした。
各自が自分の専門性を把握しそれをフルに活かし、足りないところはお互いで補填し合うという、チームワークができていたことが大きなポイントでした。
1人でできることは限られていますし、一緒に課題に対して誠実に向き合う最高のメンバーで掴んだ成功だと思っています。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

上場準備を始めた当初、社内の規定や規則が全く整っておらず、そこから整備を始めました。
社内のスタッフからすると新しい規定や規則などができると、面倒な手間や工数が増えるので「なせしないといけないのか」ということから説明しないといけませんし、少なからず反発が起こります。
一定の基準に達するためには、管理部だけが頑張るのではなく社員の協力を得ることが不可欠です。全社に協力を得るために、なぜその手間や工数を掛けないといけないのかを丁寧に説明するとともに、なるべく早い段階でIPOまでのスケジュールを引き、いつまでに何をしないといけないのかを明確にするよう心がけました。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

IPOを目指していると、どうしてもそこがゴールになってしまいがちですが、あくまでもIPOは過程の1つであってゴールではありません。
上場後の2〜3年も視野に入れた事業計画を描き、長期の目標を経営陣、またスタッフととも共有することで、より一層強固で結束力のある組織ができると思っています。
ぜひこれからIPOを目指す方は、IPOということのみに囚われず、その先も見据えた視点をもって取り組んで欲しいです。

【プロフィール】

クックビズ株式会社 岡本哲郎

明治大学卒業後、2002年に株式会社東京三菱銀行入社(現株式会社三菱UFJ銀行)に入社、法人営業を経てシンジケートローン業務を担当。
その後2006年に株式会社insproutに入社し、ベンチャー企業への投資やインキュベーション業務に携わる。
2011年には株式会社リクルート(現株式会社リクルートホールディングス)へ入社し、ベンチャーキャピタリストとして国内及び中国におけるベンチャー企業への投資業務を経て、2014年にクックビズへ入社し執行役員に就任。CFO、管理部門の責任者として、2017年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たす。

株式会社マネジメントソリューションズ 福島潤一

【IPOに成功したポイント】

成功したポイントは、準備チーム全員が最後まであきらめずやりきったことです。働き方改革が声高に叫ばれるこのご時世、時代に逆行しますが、最後は気合と根性でしたね。準備期間中、2度の基準期後ろ倒し、証券会社から事業の根幹にかかわる部分やどうしても譲れないことについての指摘で審査がストップしたり、毎日深夜までやっても終わらない準備作業等、心身ともに疲れ果てましたが、誰一人欠けることなくやり切ったからこそIPOできたと思っております。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

IPO準備の経験者がおらず、証券会社の指摘が本当に正しいのか、どこまで改善させれば良いのかが判断できなかったことです。上場後、同じような業態でIPOをした方と話をした際、証券会社によって指導内容が随分と違うことに驚きました。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

準備中はさまざまな困難や心が折れそうになることが何度もあると思いますが、上場日に味わう達成感はこれまでの人生で一番のものになると思います。上場後は見える世界もこれまでとは全く違うものになりますし、準備中の困難も笑い話になりますので、是非頑張ってください! 

【プロフィール】

株式会社マネジメントソリューションズ 福島潤一

愛媛県出身。慶應義塾大学商学部卒。大学卒業後、日立造船株式会社に入社。 その後ベンチャー企業にて、主に財務・経理部門を担当。 原価計算、決算業務、有価証券報告書作成、監査法人対応などの業務を経験。その他に人事、総務等、管理部門の幅広い業務に従事。 2007年株式会社マネジメントソリューションズに入社、同年、財務担当取締役に就任。

株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス 安東俊

【IPOに成功したポイント】

当社はIPOの準備を始めてから実現するまでに6年強もの年月を要しました。途中、主幹事証券会社から見放されIPOを断念しかけたこともありました。それでもIPOできたのは、「タイミング」と「運」を掴めたためだと感じています。そして、それらを呼び込むのは従業員のIPOに対する「理解」と「強い思い」なのではないかと思います。IPO準備はどうしても限られたメンバーで進めるため、関与する人としない人との間で意識の差が生まれてしまいます。その差を埋めるため、どうしたら理解してもらえるかをひたすら考え、経営トップがIPOの必要性やメリットを繰り返し丁寧に説明し、理解してもらえたことが最後に大きな力となりました。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

当社のIPOにおける最大の課題は、直前々期から申請期にかけて増収増益を達成しなければならないことでした。当社は中小食品企業の集合体で、大きな収益の柱があるわけではないため、各子会社の業績がさまざまな外部要因(原材料の市況等)に影響されます。にもかかわらず、主力子会社は毎期増収増益を達成し、全体でも成長を求められていたので、いつIPOできるかが最後の最後までわからなかったことが苦しかったです。しかし、いざIPOが近づくと、会社全体が不思議なムードに包まれ、グループ一丸となって力を合わせ、目標とする業績を達成することができました。その時の喜びは今でも忘れられません。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

IPOの準備作業に終わりはありません。どの会社でも、IPOに向けた体制の整備や書類の準備などに苦戦されると思います。私は初めての経験だったので、どこまでやれば良いのか(合格点)がわからなく、回り道をし、時間や労力をかけすぎた部分が多くありました。すべてのことに100点を取る必要はないはずなので、主幹事証券会社と密に連携し、始めに最短ルートを見つけてから、効率的にリソースを使うことがIPOへの早道だと思います。CFOとして、IPO準備、IPO後に得られる経験はかけがえのないものとなっています。

【プロフィール】

株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス 安東俊

2002年慶応義塾大学経済学部卒業。事業会社にて営業に従事した後、金融機関においてM&Aフィナンシャルアドバイザー業務に携わり、2008年に当社へ入社。2012年に当社取締役CFOに就任。IPOまでは、資金調達、IPO準備、国内のM&Aを担当し、IPO後は国内外のM&A及び海外子会社のPMIを主に担当している。

ログリー株式会社 岸本雅久

【IPOに成功したポイント】

IPOはCFOやIPO準備事務局だけでは実現しません。IPOに対するトップの決意が明確であり、それに向けて予算達成や内部統制の構築・運用など、全社員が行動した結果がIPO成功に繋がったと考えられます。
また、準備の面では設立第1期からIPOを前提とした資本政策を策定し、その実施途上の調達ラウンドで株主となっていただいた事業会社やVCと良好な関係を築くことができたのも、IPO成功の要因として挙げられます。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

IPO準備時期に、特別悩んでいたことや困ったことというのはありませんでした。現実性のある計画と、経営陣の覚悟および社員全員の目標達成行動があれば、たいていの課題は解決できるものです。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

IPOを含む資本政策というのは、すべからくゴールからの逆算でシナリオを描くものだと思います。ゴールはそれぞれの事業会社のビジョンなので、経営トップが描く経営ビジョンが最も大切です。それを無くしてIPOを計画すると、IPO自体がゴールになってしまいますので、そうなってはいけません。
IPO準備を担当する方々や経営幹部は、トップの経営ビジョンを理解し、それを具体的な計画に落とし込み、その計画を達成することで、結果として資本政策(IPO)を成功させることができるのです。

【プロフィール】

ログリー株式会社 岸本雅久

前職にて営業企画、経営企画、新規事業、品質管理、システム開発などの業務を担当し、企業戦略やM&Aに従事。2007年、ログリー株式会社に取締役として参画し、事業計画・資本政策の策定や資金調達を担当。現在は取締役CFOとしてIRや財務基盤強化に取り組む。

ロードスターキャピタル株式会社 川畑拓也

【IPOに成功したポイント】

IPOに成功したポイントは2つあります。
1つ目は、事業活動を優先し、IPO準備が事業推進の足枷とならないよう配慮したことです。IPOは1回限りのプロジェクトでありナレッジを溜める必要はないので、社内の必要最小限のリソースと社外のIPO支援会社をうまく使い、本業への影響を抑えました。具体的にはIPO準備の社内主担当は2-3名に絞り、証券会社や東証の要請を前捌きし、IPO支援会社を最大限利用し、事業部に協力を依頼する事項は最小限に留めるよう努力しました。
2つ目は、IPOについての社内の理解を得ていたことです。社長には社内一丸となってIPOを目指す旨、繰り返し繰り返し社内で発信してもらい、社内の協力が得やすい体制を構築しました。

【IPO当時に悩んでいたこと・困っていたこと】

IPOについて社内の理解があったので、あまり悩んでいたこと・困っていたことは記憶にないですが、強いて挙げるなら、コーポレートアクションが取りづらかったことです。社歴の浅い会社や急成長している会社はどこも同じと思いますが、組織構造や社内手続(人員配置・権限変更、各種管理系システム導入など)は毎日のように見直し、M&Aや組織再編の検討など事業展開について色々模索しているのではないでしょうか。しかし、申請期においては内部体制の整備と運用について証券会社から細かくチェックを受けるため、これらのコーポレートアクションを見送る、もしくは一時的に止めることになります。

【これからIPOを目指す方々へのアドバイス】

IPOできるか否かは資本市場の影響を強く受けます。リーマンショック後の2009年のIPO社数は19社でしたが、2018年は95社でした。よって、行けるときに行ってしまいましょうというのがアドバイスです。そのためには、主幹事証券会社から細かく内部体制の構築や、提出資料について指示について素直に対応し、東証審査に臨むことが肝要かと思います。
また、初期段階としては主幹事証券担当者の力量のチェックも大事です。数年間、IPOというプロジェクトを共にしますので、経験豊富で力量があり信頼できる担当者を選びましょう。

【プロフィール】

ロードスターキャピタル株式会社 川畑拓也

ロードスターキャピタル株式会社(会社:https://loadstarcapital.com/ja/index.html サービス:https://www.ownersbook.jp/)という不動産×クラウドファンディングの会社でCFOを務めております。IPO直前期でジョインし、IPO準備~財務経理部を統括し、今は財務経理全般~IRまで担当しております。
また、グロービスの講師(https://gms.globis.co.jp/faculty/ea/kawabata_takuya.html)も務めております。
新日本有限責任監査法人では、公認会計士としてREITや投資信託の監査に従事後、大手製薬会社に出向しIFRS導入支援・連結決算を担当し、帰任後はメガバンクの現場主査を務めました。

IPOを支援するfreee株式会社

弊社は2019年7月より、新しくIPOを目指すお客様のご支援に特化したIPO事業部を創設いたしました。
現在、会計・人事労務システムにて各種ワークフローを実装し、内部統制に対応したプランを提供させて頂いております。
上場準備、上場企業様での導入事例も増えておりますので、ご興味がある方はぜひ下記よりご覧になってください。

会社を伸ばす攻めのバックオフィス クラウドERP freee

freee導入企業 IPO事例集

 

 

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