2020年04月08日(水)0ブックマーク

日本の農業で世界を驚かす!日本の農産物は海外輸出でまだまだ伸ばせる~日本農業 内藤祥平氏

経営ハッカー編集部
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農業の衰退に歯止めをかけるべく「攻めの農林水産業」政策を掲げる農水省は、農産物等の海外輸出1兆円越えを目指している。そこでGFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)を立ち上げ、グローバル産地づくり、HACCP等対応施設の整備、海外需要の発掘、商流構築等を行うことで、国産農林水産物・食品の輸出促進を狙う。

このような機運の中、日本の農業をもっと盛り上げていきたいと活動しているベンチャー企業がある。それが今回ご紹介する株式会社日本農業だ。対外競争力のあるフルーツを中心とした農産物を日本の輸出品目として世界に展開。グローバルビジネスとしての農業再興のフロントランナーたろうとしている。今回、同社代表取締役の内藤祥平氏に農業や果物に辿りついた経緯や、今後の事業展開などについてお話を伺った。

 

目次

    農業への目覚め

    -早速ですが、日本農業を創業された経緯をお聞かせください。

    当社は2016年11月に設立した会社で、今年でちょうど4年目を迎えます。当初は高校の同級生と二人でスタートし、その後高校や大学・前職でつながりのあった方が賛同してくださり、現在のような組織へと成長しました。

    数ある産業のなかでなぜ私が農業にこだわったのかと言いますと、高校時代に自転車で地方を方々巡った事があり、そのなかで出会った農業の魅力に惹かれたからです。大変面白そうな産業にも関わらず農家の方々が困っておられる姿をみるうちにこれは何とかしないといけないと思い立ちました。このため将来は農業をテーマに起業しようと思い、大学時代にはアメリカのイリノイ大学農学部で学んだりしました。また、新卒入社したマッキンゼー・アンド・カンパニーでは農業部門のコンサルタントとして知見を積みました。この経験から農業の中でも、農産物のグローバル展開ができないものかと考えるようになりました。

    他の産業が輸出志向であるにも関わらず、農業においては農産物輸出を手掛けているプレイヤーがほぼ皆無でした。なにか致命的な問題があるのかと調査した結果、本気を出せばこれは行けるんじゃないかという結論に達しました。

     

    耕作放棄地になりかかった梅畑

    -創業当時のエピソードをお聞かせください。例えば日本の農業に対する課題をどう感じていたかなどがありましたら是非伺いたいです。

    社会人になる前に小田原で梅農家をやられている方と知り合いました。この方がご高齢で山奥には行けなくなっており、耕作放棄地になりかかっているところをヘルプしようと現在共同経営をしている友人とともに出向きました。この活動のなかで実際に梅を育てて販売するためのオペレーション計画を立て、収穫した梅を高速道路のサービスエリアなどで販売しました。

    大学時代から「いずれは起業したい」と思っていた私にとっては非常に刺激的な体験で、農業関連でのビジネスを目指すきっかけともなりました。またITベンチャーではよくある華々しいスタートアップ的な起業には全く興味がなくて、もっと地に足の着いたような起業を目指していたんですね。

    マッキンゼーではコンサルタントとしての生活を送っていましたが、この起業に対する思いが断ち切れず、ある日出張先のベトナムから「すぐにでも起業しようと思うんだよね」というメッセージをこの梅栽培を共に手掛けた友人(後の共同創業者、永田)に伝えたところ、「いいよ」と賛同してくれました。こうして2016年の11月に、この友人とふたりで日本農業を立ち上げたのです。

     

    厳しさを増す農業ビジネスのなかで、着目したのが農産物の輸出

    -販売農家の大半が赤字経営と言われているなか、輸出にシフトすること自体ステークホルダー含めかなり難しいとは思いますが、そこに目を向けた理由をお聞かせください。

    私自身コンサル企業で農業ビジネスの厳しさを把握していました。そのなかであえて国内需要には注目せず、伸びしろのある海外マーケットへの進出で流通量を拡大させることを考え、目を付けたのが東南アジア向けのリンゴの輸出でした。リンゴは他の農産品に比べて痛みづらく、東南アジアでもニュージーランド産やアメリカ産・中国産などの輸入リンゴが流通しており、これはいけそうだと考えました。そこでまずは東南アジアの中でもタイに着目し、タイ国内でのリンゴの流通経路を調べたり、望まれるリンゴのサイズ、小売店情報などをリサーチするために5~6回現地に足を運び、スーパーの仕入れ担当や店長などに営業を仕掛けていきました。それと同時進行で長野や新潟・山形・秋田・青森などのリンゴ農家を巡って、リンゴを海外輸出するビジネスの話をして回りました。電話もしまくってアポが取れた農家の方々とかに「とにかくものを集めてください」と言うお願いをするわけです。

    いずれも大変だったのは、これまで前例がなかったビジネスモデルを理解してもらうことで、日本の生産農家さんはリンゴと言うと大玉を取扱いたがるのですが、海外では小ぶりのものが求められているということをお伝えするのが大変でした。分厚いプレゼン資料を持っていきましたが見向きもされず、結局のところ思いを伝えるようなところからアプローチしました。

     

    常識を打ち破り伝道者になることで、新しい需要を生み出すことに成功

    -いまではタイへのリンゴ輸出で成功を収めていらっしゃいますが、ブレイクスルーするまでに苦労されたことをお話しください。

    小ぶりのリンゴが海外では売れるという事実も、独自に掴んだことです。日本のみならず世界の農産業のバリューチェーンには、消費者のことを理解しようとしている人が正直少ない。日本の流通業者も消費者のニーズではなく流通のしやすさを重視し、既存の考え方でもっと赤いリンゴがいいとか大玉の方がいいなどといった観点で動くので、理解してもらうのに苦労しました。生産者の中にも「小玉リンゴなんか輸出したくない」という人もいて、「輸出していいよ」と賛同して頂ける方に出会うまでに1ヶ月以上もかかりました。

    タイの市場でも同じような勘違いがあり、日本産のりんごは大玉で美味しいが、ものすごく高いと思われていました。彼らからすると高根の花で、扱いづらい商品と映っていたようです。そのためにまずはタイのスーパーマーケットに出向き、決裁者につないで欲しいと日参。安価で輸入できる日本産の小玉リンゴがあることをアピールしました。こうした地道な営業活動を繰り返した結果、柔軟な発想を持つ経営者と出会う機会を得、思いの丈を伝えることで契約が成立。初めてリンゴを出荷できるようになりました。また貿易実務のノウハウがなくインボイスがどうのとか全く分からなくて、最初は大変だったんですね。


     

    リンゴの輸出を手始めに、新たなマーケットの創出を目指す

    -現在はリンゴ以外の果物も取り扱い始めているようですが、日本ブランドとしてフルーツのほうが売りやすいのでしょうか?

    そうですね。リンゴを手始めに、現時点では葡萄、桃、さつまいもと、取扱品目も増えています。輸出を始めた当初はワンプロダクト特化でブランドを作るのか、 それとも日本産ということでブランドを作っていくのか悩みましたが 、マーケットの規模や生産性を考えると、やはりリンゴをブランド化していこうという結論になりました。またリンゴに次ぐスター品目は何かという商品をいま模索しており、葡萄や桃あたりをトライ&エラーを繰り返しながら輸出し始めているところです。

    今後の展開では、リンゴで何となく勝ちパターンが見えてきたので、今後はそこから生産・流通・販売・マーケティングという部分に対してしっかり投資を行い、輸出でのポジションをより強くして行きたいですよね。また私たちはリンゴに限っては競合相手をニュージーランド産やアメリカ産、中国産と捉えているので、国産リンゴでのシェアの奪い合いは考えてはいません。私たちが日本産のリンゴのけん引役となって、世界の消費者に支持されるよう結果を出していきたいです。いま現在、国産リンゴはその90%が日本国内で消費されていて、残りの10%が輸出されています。これから人口がどんどん減っていくなか、国内のリンゴの消費が上がるとは考えられないので、今後は輸出にその活路が求められていくことでしょう。そしてこの市場規模をもっと拡大して行くことが我々の役割だと考えています。

     

    東南アジア市場の深耕を経て、最終的には中国の巨大マーケットに挑みたい

    -今回のこの農産品の海外輸出ビジネスを通じて、最終的にどのような世界を目指されているのでしょうか?

    そうですね。日本の農業って赤字経営が話題に上がるくらい、現在はあまり産業として認められていないところがあります。そもそもマーケット自体がシュリンクし始めていますし、高齢化が進んでいたりと先が見えない形になってしまっている。でも世界に目を向ければ、今後食料はどんどん足らなくなっていくはずです。ということで日本の農産業が国内に留まらず世界と真面目に戦って勝てる状況を作れば、大きな産業に生まれ変わる可能性があるはずです。私たちのミッションステートメントは、「日本の農業で世界を驚かす」というもの。これからの未来において「日本の農業って本当に凄いね」と、世界中の人々にビックリしてもらえるように、私たちの手で大きく育てていきたいですね。

    またちょっと先の話になりますが、中国マーケットにも進出したいと考えています。現段階では権益的な問題でお取引が出来ない中国ですが、その市場規模は少なく見積もっても数兆円で、私たちが東南アジアへのとっかかりを作ったタイのリンゴ市場の市場規模300億円とは桁が違う。中国がどれだけ大きな可能性を秘めているかがこの数字を見れば判るはずです。ということで今後は東南アジアマーケットを粛々と深耕しつつ、中国に進出することを最大の目標に頑張っていこうと考えています。もちろんその事業計画の中には、マイルストーンとして、数年先のIPOも含まれています。

    -日本の農業に希望が見えてきました。ありがとうございます。

     

     

    <プロフィール>
    内藤祥平

    株式会社日本農業CEO
    高校時代に自転車で日本を縦断し、農業に魅了される。後、イリノイ大学農学部に留学。鹿児島やブラジルの農場でもインターン。卒業後、マッキンゼーにて農業セクターメンバーとして活動。2016年に当社設立
     
    株式会社日本農業
    https://nihon-agri.com/
     
    東京都品川区西五反田1丁目13-7 マルキビル101
    設立:2016年11月28日
    資本金:4億4,500万円
    取引銀行:みずほ銀行 築地支店
    従業員数:25名

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