2020年04月27日(月)0ブックマーク

出張業務をまるごと効率化!ビジネストラベルマネジメントで出張を変えるBORDER細谷智規代表

経営ハッカー編集部
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米国スタートアップ界隈でも注目を集めるBTM(ビジネストラベルマネジメント)という考え方をご存じでしょうか?BTMとは海外・国内の出張手配から管理業務までを一元管理する新たなマネジメント手法のこと。ビジネストラベルの市場規模は海外・国内出張を含めると年間6兆円を超える巨大市場といわれている。出張手配は多くの時間と手間がかかり、出張申請、経費精算、社内規程との整合性チェック業務など多様な業務をこなさなければならない。その管理も紙とハンコのアナログ式が多く、出張件数が増えるほど面倒な事務作業が発生していたのが現状だ。こうした非効率業務を限りなくゼロにするために出張支援クラウドBORDERを立ち上げたのがボーダー株式会社細谷智規代表だ。事実、多くの企業で、チャットでの出張手配や情報の一元管理で、これまで膨大に時間を要していた事務作業を半減もしくはほぼゼロにすることができている。社員が本来業務に集中できるようになるため働き方改革でも有効なサービスだ。「限りなく出張手配や管理にかける時間をゼロにしたい」という細谷氏に、BTMが日本企業の経営にもたらす効果と、BTMプラットフォーム構想について聞いた。

 

目次

    出張手配も管理もまるごと効率化できる!出張支援クラウドBORDERとは?

     ー事業内容をお聞かせください

    私たちは、出張の手配と管理を同時に行うことができる法人向け「出張支援クラウドBORDER」を開発・運用する会社です。BORDERはBTMのクラウドサービスとして、出張者本人や出張情報の管理している管理部門向けに、海外・国内の出張手配から出張情報の一元管理までを提供しています。

    現在、企業の総務部門を中心に400以上の組織に利用されており、出張手配などの面倒な業務を劇的に削減し、本業に集中できる環境づくりのお手伝いをしています。
     

    ―BORDERにはどのようなサービスの特長があるのでしょうか?

    私たちのサービスでは、手配業務の効率化と管理業務の効率化という2つのバリューを提供しています。

    まず、手配業務の効率化についてですが、BORDERはチャットを活用していますので、手配のスピードが早くなる点が特長です。たとえば、電話の場合、手が離せなくて出られない時があったり、メールの場合、他のメールに紛れてしまうといった難点がありました。しかしチャットを使えば、スキマ時間で会話をするように業務がサクサクと進むので非常に出張手配業務と相性がよいのです。

    管理という視点では、出張にまつわる付帯業務をすべて丸投げできるのが特長です。出張には、出張申請、承認、チケットやホテルの手配、経費精算など、様々な付帯業務が発生します。特に日本ではこれらの事務が紙とハンコの場合も多く、非常に手間と時間がかかっています。そこで、BORDERでは、出張のワークフローをシステム化することで、こうした事務手続きや管理業務の手間を限りなくゼロにしていきます。

    また、安全管理面では、外務省が発信する海外渡航者向けの安全管理情報配信サービス「たびレジ」の情報や国際通信社の情報も出張エリアにあわせてユーザーに配信しています。

    このような手配と管理の情報をまとめて管理していますので、今、誰が、どこにいるのかもダッシュボードを見れば一目瞭然で、会社全体の出張情報を一元管理することができます。出張業務の効率化を図り、出張にまつわる全ての困ったことを解決していくのが私たちの役割であり、サービスの特長です。

     

    6.4兆円のビジネス出張市場に着目、日本企業の海外出張支援サービスで起業

    ー創業の経緯をお聞かせいただけますか?

    私は学生時代は実はビジネスにあまり興味がなく、応用数学やコンピュータシミュレーションの研究をしていました。しかしながら、数理を極めようすればするほど科学はもっと社会的に働きかけるものである必要があると考えるようになりました。そこで、社会システムを最適化できるようなインパクトがある仕事をしたいと思い、シンクタンクの日本総合研究所に入社し、政府系プロジェクトに参画するなど、パブリックの仕事を中心に携わってきました。

    当時は、パブリックの仕事も官民連携のPPP(Public Private Partnership)の考え方が普及し始め、「民間の経営手法に学べ」というのがその頃の行政の潮流でした。そのため私自身がパブリックだけでなく、その先にあるビジネスやマネジメント手法についてもう一度体系的に学ぶ必要があると感じていました。そこで、2012年に米国UCLAに留学し、MBAを取得しました。

    UCLAは米国西海岸にありますので、米国の起業文化やハイテク系のベンチャー企業の活動に大いに刺激を受け、同期の留学生の中からも起業する人たちが多くいました。そういった空気もあり、私自身も日本に帰国して出張支援サービスでの起業を決意したのです。

    ―出張支援サービスに着目した理由は?

    私は留学当時から海外に進出する日本企業を支援したいと考えていました。現地の日本企業や旅行代理店に話を聞く中で、日本で起業するなら海外出張支援サービスが有望なのではないかという手ごたえを感じていたのです。

    出張支援サービスに着目した理由は、その市場性です。日本のビジネス出張市場は6.4兆円と言われています。
    旅行業界は2000年頃にエクスペディアや楽天ビジネスなどのOTA(オンライントラベルエージェント)がサービスを開始して以降、インターネット予約にシフトし、大きく潮目が変わりました。一方で、日本企業は出張申請や経費精算が未だアナログで、印鑑と紙での手続きが一般的で煩雑でした。こうしたアナログで非効率な業務をデジタルに置き換えてくことでユーザーの不便を解消することができるのではないかと考えたわけです。 このような背景から、海外ビジネス出張支援サービス事業を立ち上げるためBORDERを設立したのです。

    ただ、当初構想していた事業は、企業が海外出張に出かけた後に現地での困りごとをサポートするというものでした。具体的には、大手旅行代理店を通さず、国内の中小企業と現地の旅行会社を直接マッチングするサービスで、顧客の要望にあわせて現地での行動プランを提案するといった内容でした。

    しかしながら、実際にサービスインしてみると、海外出張中にいざ困ったことが発生したときに、日本から現地に連絡しようとしても、時差や現地事情によってレスポンスが翌日になってしまうこともあり、即時性に欠けることがわかってきました。そのため、海外出張支援サービスを改め、日本企業の社内スタッフの代わりに出張まわりの業務全般をサポートする「ビジネストラベルマネジメント(BTM)」型のビジネスモデルにピボットしたわけです。

     

    BTM(ビジネストラベルマネジメント)であらゆる出張業務をデータに基づき最適化

    ーBTMとはどのようなマネジメント手法なのでしょうか?

    BTMとは近年米国で話題になりはじめた出張を最適化するためのマネジメント手法です。海外ではビジネストラベルマネージャーという職種もあります。

    一般的に1回の海外出張手配には、細かい業務を積み上げると2時間かかると言われています。しかし、1件2時間を年間100件手配していたとしたら200時間、つまりほぼ1か月分の時間を手配業務に使ってしまっていることになります。これは企業にとって大変なロスであり、時間の無駄を少しでも無くしていきたい。こういう観点から、まず全体最適化を図るための仕組みを構築したい。それがBORDERであり、BTMのためのツールなのです。
    しかも、出張経費は、それぞれ企業によって出張規程が定められており、地域や役職によって上限金額が異なったり、移動方法が指定されているケースもあります。規程に合致した出張であったかどうかをチェックする業務も、企業の負担になっています。このような煩雑な業務をBORDERでは自動でチェックしてフラグを立てて管理画面に表示しますので無駄なチェック業務を限りなくゼロにすることができるわけです。

    また、出張費は販管費に占める割合が高いにも関わらず、その妥当性や改善可能性が分析されているわけではありません。誰がいつどこにいくらの費用をかけて出張しているのか、さらにコストを最適化する方法については企業内に知見がない場合があります。BTMは、こうした現状に対して、データを蓄積して経費を分析、フィードバックして、コスト最適化を提案していくマネジメント手法です。 

    ―どのような導入事例があるのでしょうか?

    現在、メルカリさんをはじめとする400以上の組織に導入いただいています。その中で出張コストが50%削減、社内確認業務が90%削減されたといった成果が出ています。

    たとえば、ある企業さんの場合、月間100件以上の出張を手配されているそうですが、その出張手配の業務がほぼゼロになりました。また、請求書の処理などの事務などは一部社内で対応する必要があるため、全体の出張関連業務としての工数は約半分になったそうです。

    ―料金体系はどのようになっているのですか?

    出張の手配が完了したら、1出張あたり1,000円をいただく従量課金制です。業界的には1出張あたり5~6,000円が平均だと思いますので、大変リーズナブルにご利用いただけていると思います。

     

    ビジネストラベルプラットフォーマーとして日本企業の生産性向上に貢献

    ―今後の展開はどのように考えていますか?

    短期的には、まず日本企業にBTMについての認知を広め、普及していきます。日本は10年ほど米国から遅れていると言われていますので、まずはクラウドBTMの分野のNo.1企業として市場を牽引していきたいと考えています。

    そのために、今後は企業毎の利用データに基づき、出張の手間を限りなくゼロにする方法についてコンサルティング型のサービスが提供できるようにシステムを強化していきます。

    たとえば、前回同様のホテルが良いか、代替案として他のホテルが良いか?といった選択肢を提供しつつ、厳選された情報を提供できるようにします。実際に、オンラインの旅行予約サイトを利用し、タイのバンコクでビジネスホテルを検索すると1,000件ものリストが出てきてしまいます。その中からお客様の出張目的や出張規程に応じたホテルや移動手段を3つ程度に厳選して提案できれば、グッと出張手配が楽になるはずです。

    現状のサービスでもユーザーアンケートでは満足度94.7%の高評価をいただいています。しかし、これに満足せず、今後もさらにサービスを洗練させて、ベストプラクティスを追求していくのがプロの仕事だと思いますので、ここを徹底的に突き詰めていきます。

    また、中長期的にはグローバル展開をする企業に対して、地域ごとに、ビジネスに最適なホテルなどの情報が蓄積される「ビジネストラベルプラットフォーマー」としてのポジションを確立したいと考えています。出張のことならすべてBORDERで解決できる、出張手配に困ったときにまず最初にご利用いただけるタッチポイントとなるのが目標です。

    ビジネスにおける出張者は年間400万人のポテンシャルがあります。ユーザーの出張時の口コミデータも集積することでサービスの価値も高まりますし、よりお客様に最適なプランが提供できるようになります。今後は、こういった情報がサービスの強みになってくるはずです。

    また、最近は、国内の出張管理もBORDERでマネジメントしたいという声も多くいただくようになったことから、国内向けの出張手配と管理も2019年からサービスを開始しており、国内出張業務にも力を入れていきたいです。

    働き方改革でも、本来業務以外の付帯業務の効率化など、企業の生産性向上の必要性が高まってきています。国内外の出張業務を問わずBTMという考え方を日本で普及させ、私たちは出張コンシェルジュのような黒子となって、日本企業の生産性向上にも貢献していきたいと考えています。

     

     

    <プロフィール>
    細谷智規(ほそたに・ともき)

    1980年7月3日東京都生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、株式会社日本総合研究所にて官公庁向けのコンサルタントとして従事。気象衛星打ち上げ・運用プロジェクトなど、技術系プロジェクトのマネジメントを担当。2012年に同社を退職し、UCLA Anderson(MBA)へ留学。在学中、米国にて旅行プラン作成支援サービスを立ち上げた。MBA取得後、2014年8月、日本にてボーダー株式会社を設立。
     
    ボーダー株式会社
    URL   https://border.co.jp/
    所在地  〒160-0022 東京都新宿区新宿1-3-8 YKB新宿御苑903
    設立   2014年8月
    代表者  代表取締役社長 細谷智規
    事業内容 出張支援クラウド「BORDER」の企画・開発・運営・販売

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