2020年06月30日(火)2ブックマーク

金融教育で世界のパブリックカンパニーを目指す~ABCash Technologies児玉隆洋代表

経営ハッカー編集部
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日本人の金融リテラシーが低い理由としてしばしば「金融教育の欠陥」が指摘される。しかし、義務教育で金融を教えてもリテラシーが高まるかどうかは議論の余地があるところ。この点、「日本人のお金に対するネガティブな価値観を払拭しなければこの問題は解決しない」と指摘するのはABCash Technologies代表の児玉隆洋氏だ。そんな児玉氏が日本の金融教育に革命を起こすべく立ち上げたのがお金のトレーニングスタジオ「ABCash」である。まるでおしゃれなジムに通うように一生モノの金融リテラシーを専属コンサルタントからマンツーマントレーニングで学べるだけでなく、毎日家計簿を見ながら目標達成までオンラインでコーチングしてもらえるという、その徹底ぶりは、まさにジムトレーニングそのもの。ここまでやれば、確かに金融リテラシーが身につきそうだ。日本の金融教育の第一人者との偶然の出会いに導かれ、サイバーエージェントから金融教育の世界に転身した児玉氏が生み出した、この金融教育×フィンテックの新業態は、果たして日本を金融教育先進国へと変貌させることができるのか?創業の背景と、今後のビジョンを聞いた。

 

目次

    3か月でお金に強くなる。専属コンサルタントとマンツーマントレーニングの「ABCash」

    ーはじめに企業概要をお聞かせください。

    ABCash Technologiesは、金融教育×金融テクノロジーで金融教育に革命を起こすフィンテック企業です。時代が大きく変化を遂げようとする、先行きの見えない今、「お金の不安に終止符を打つ」ために、ジムに通ってトレーニングするように金融リテラシーを身に着けていくことができる、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営しています。トレーニングスタジオは、現在、都内で6店舗に加え、直近のコロナ禍の影響もあり、全国的にオンラインで受講生が急拡大しており、約4,000人の方にご利用いただいています(2020年4月現在)。

    ーABCashのサービスについて教えてください。

    ABCashは、老後、年金、お金のことに対して漠然と不安を持つ方が、生涯使える金融リテラシーをファイナンシャルコンサルタントからマンツーマントレーニングで集中的に学び、数年後の貯蓄額をゴールに日々実践していくトレーニングサービスです。

    サービスの主な特長は、5点あります。

    1点目は、中立性です。私たちは、どこかのサプライヤーに紐づいた金融商品の販売や紹介をすることは一切ありません。あくまでも、受講者がご自身の将来の不安を解消するために、貯蓄がしやすく、資産を形成しやすい金融リテラシーを身に着けることが目的です。

    2点目は、金融リテラシーを網羅的に学べることです。日本を代表する金融教育機関の「ファイナンシャルアカデミー」のプログラムをベースにした体系的なカリキュラムです。主な内容は、年金、資産形成、家計管理、保険、住宅と、バランスよく学ぶことができます。

    3点目は、ジムのようなマンツーマントレーニングが受けられることです。プログラムは1年間ですが、「3か月でお金に強くなる」ことを目指して、当初の3か月に10回の集中講座でみっちり金融リテラシーを学びます。専属のファイナンシャルコンサルタントが毎日オンラインで家計簿アプリを見ながら伴走し、自ら立てた目標の達成に向けて1つひとつ課題をクリアしていけるようにコーチングをしていくという実践的なトレーニングです。もちろん、4か月目以降もその後の推移をフォローしていきます。

    4点目は、ゴールを貯蓄額にしている点です。ABCashは投資をして資産を増やすのが目的ではありません。学んだ金融リテラシーを駆使して、どれだけ自分で考え、効果的にコストカットをして、貯蓄額を増やせるかをゴールにしています。

    5点目は、お金を自己実現のための道具としてポジティブに考え、スタイリッシュに自分を磨いていくことができるということです。タレントのローラさんにアンバサダーに就任いただき、もちろんローラさんにもABCashのトレーニングも受けていただきながら、そのライフスタイルをSNSでも発信していただいています。

     

     

    金融リテラシー問題に向き合うきっかけとなった運命の出会い

    ー当社を設立するに至った経緯をお聞かせください。

    学生時代、サイバーエージェント藤田社長の著書「渋谷で働く社長の告白」を読み、直接、藤田社長のもとで起業の勉強したいと思い、新卒で同社に入社しました。事業分野としては、Abemaブログ、AbemaTVの立ち上げなど、主にメディア事業の新規事業開発に携わってきました。この間、私は独立ありきで同社に入社をさせていただいていたので、自ら起業する事業の社会的大義やアイディアを探しながらも事業に邁進していました。気づけば11年間、最高の仲間にも恵まれ、大変やりがいのある仕事をさせていただきました。そんな中で、私が金融教育で起業しようと決めたのは、実は偶然の出会いがキッカケだったのです。

    私は学生時代からサーフィンの魅力にのめりこみ、海沿いの一軒家を借りてサーフィンに没頭する暮らしをしていた時期があります。それからというもの、社会人になっても、サーフィンがない生活は考えられず、忙しい仕事の合間を見つけては、毎週のように海に通っていました。

    今から3年ほど前の夏、某所の海で仲間とジェット・サーフを楽しんでいたところたまたま共通の友人がいたことがきっかけで、ある方とサーファー仲間になったのです。やがて、ときどきご一緒するようになり、その日も海から上がり、その方とくつろぎながらたわいもない雑談をしていました。ふと、話題が将来のことに及び「自分はいつか社会の問題解決につながる事業で起業をしたい」「しかし、良い事業分野が中々ないんですよ」などと、何とはなしに話してみたんですね。すると即座に「それならいい話があるぞ」と。「えっ、何ですか?」聞くと、「金融教育だ」と。何と、その方こそ、日本の金融リテラシー教育の第一人者、フィナンシャルアカデミーの泉代表だったのですね。

    それまで一切仕事の話はしたことがなく、その日はたまたまそのような話題となった勢いでしたので、お互いに水着、ビーチサンダル、サングラスという姿で(笑)。まさか趣味のサーフィンが縁でこのような出会いがあるとは思いもよりませんでした。この運命的な出会いが、私の人生を大きく変えたのです。

    ーそれはまさに金融教育との必然的な出会いですね。それで、どうされたのですか?

    その後早速、日米の金融教育の現状を調べました。私自身、それまで金融リテラシーがほとんどなく、まずは国内の金融セミナーに参加したり、ファイナンシャルアカデミーの泉代表にメンターになっていただき海外の事例を調査していきました。

    するとグローバル社会における日本の現状が見えてきました。例えば、米国では、義務教育に国語・算数・理科といった教科と同列に金融という科目があります。さらに、ビジネスとしての社会人向け金融教育の業態も実に様々なものがあります。しかし、日本は学校でお金のことは誰も教えてくれません。社会人になって、自分で学ぶためには本やネットで調べる程度で、金融セミナーはあっても、結局、金融商品を売るための内容で、体系的・中立的に金融のことを学べる場が、ほとんどないことがわかりました。

    「貯蓄から投資へ」という政府の政策もありますが、この10年、日本人のマインドはほとんど変化がありません。ようやく2022年から高校の家庭科の指導要領に「経済計画」「金融商品、資産形成」という項目が追加されることになりました。一歩前進ですが、そもそも「お金って何?」というお金に対する考え方や体系を網羅的に学ぶ必要があると思います。お金は生活を成り立たせ、人生を楽しみ、自己実現をするための「道具」であって、「投資」は目的ではありません。一方で、ファイナンシャルアカデミーが提供しているようなお金のプロになれるような本格的なトレーニングプログラムは非常に充実しています。ところが、一般の大人がお金のことを実践的に身に着けられる場はほとんどありません。日本人には、お金に関して、触れてはいけない汚らわしいもので、知り合いの誰かに聞くのも恥ずかしい。そんなネガティブな価値観がハードルになっていて、学ぶ機会さえもないのが実際なのです。

    でも、お金は人生を自分らしく生きるために大切なものです。少なくとも誰しも生きていくために避けては通れない最低限の金融リテラシーが必要なはずです。そこで、米国のある業態を一部参考に、スポーツジムでトレーナーとマンツーマンで目標を立てて、なりたい自分になれるような感覚で、自分にあったお金のトレーニングが実践的にできる「お金のトレーニングジム」というコンセプトで起業しようと決意したのです。

    ーなるほど。一般の人がお金について先入観なしにゼロから学べ、しかも自己実現のためにポジティブに学べるようにする意識改革が重要と考えたわけですね。では、立ちあげのときに重視されたことや、エピソードがありましたら教えてください。

    実は創業当時から、事業展開を考える過程で、事業理念を体現するようなシンボリックな方の協力を仰ぐ必要があると考えていました。その時、私が待っ先に頭に想い描いたのはタレントのローラさんでした。前職時から、ローラさんが自らの意思で行動し、世の中を動かすようなメッセージを発信しており、ファンから彼女の様になりたいと憧れるような生き方をしていることを知っていたのです。そこで事業を立ち上げたばかりの私は、まず自分で直接ローラさんに直筆で手紙を書くことにしました。普段はパソコンで文章を書いているので、本当に何回も書き直して、ようやくできた!と思ったら、最後に、自分の名前の漢字を間違えてしまって、、結局、最初から書き直したり(苦笑)。その気持ちが通じたのかもしれませんが、ローラさんには私たちの事業コンセプトに共感してくださり、その後、ABCashのアンバサダーに就任いただくことができました。おかげさまでマスコミにも多く取り上げていただけるようになり、その後、一気に認知度が高まりました。

    ー「女性のためのお金のトレーニングジム」というキャッチコピーを採用されていますが、まず女性にフォーカスされたのはなぜですか?

    私たちが女性にフォーカスしている理由は、サイバーエージェントの藤田社長からのある教えからヒントを得ています。その教えとは、「吉野家の牛丼は美味い理論」という藤田社長の持論です。つまり、吉野家の牛丼が美味しく、これだけ多くのファンに愛されているのは、牛丼に特化して商品を磨いてきたからだ、という考え方です。最初からあれこれメニューを増やしてはお客様の圧倒的な信頼を獲得できるような商品やサービスは作れません。特にスタートアップはリソースがありませんので一点突破するしかありません。

    私がAmebaブログの責任者に抜擢されることになり、藤田社長と初めて会食させていただいたのは、渋谷にあるイカセンターという居酒屋でした。その時、「イカセンターという飲食業態はイカに特化しているからそ、これだけ安くておいしい料理が提供できる。個性も際立ち、お客様の心に刺さる。道玄坂という居酒屋激戦区で生き残るには、こうした一点突破が必要なんだ。」ということを伝えるために、私をイカセンターに招待してくださったのだと理解しました。つまり、Amebaブログなどの新規事業も同様で、スタートアップの成功の要諦は一点突破なのだということを実例をもって伝えたかったからなのですね。そのため、私はABCashでも、まずは女性にとって本当に役に立つサービスにすることだけに特化して商品・サービスを開発してきたのです。

     

     

    日本の金融教育に革命を起こす。日本を代表する世界的なパブリックカンパニーへ

    ー今後の展開をお聞かせください。

    世界に誇れる会社を創る。これが当社のビジョンです。このビジョンの実現に向けて、全ての意思決定を行っています。

    私は創業当時から、日本を代表するパブリックカンパニーを創りたいと考えています。それはたとえば、ソニー、ホンダ、トヨタのように、時代を超えて存続していくような世界の公器です。金融教育先進国と言われる米国でも金融教育のパブリックカンパニーはまだありません。私たちは金融教育後進国と言われる日本から、独自のモデルでグローバルに展開していきたい。日本から世界に飛躍する企業となり、意欲溢れる若手が私たちの後姿を見て後に続いてくれるような存在になっていきたいのです。

    そのために最も大切なのは人財で、全ては人に尽きます。スタートアップですので人財に大胆に投資します。今、私たちには若手が思う存分挑戦できる環境があります。入社後、数か月でも大胆な抜擢をすることもあります。おかげさまで、ここ数か月でオンライン受講者も飛躍的に拡大し、全国展開のスピードも加速しています。現在、積極的に採用活動を行っており、日本の金融教育に革命を起こしていく仲間を募集しています。受講生からも社員として採用するケースも増え、様々な形でネットワークが広がってきています。2100年、2200年を見据えて、私はこれまで学んできたこと、これから学んでいくことをすべて人に与えていきたい。「魚を釣る方法を教える」という言葉もありますが、私は1人ひとりが自分で考え、状況を打破し、自分で道を切り拓くことができる人財を育てていきたいと考えています。これはサービスのコンセプトにもつながる一貫した考え方で、日本人が金融リテラシーを磨いていくためにも必要な能力だと思うのです。

    ーウィズコロナの世界は、お金に対する価値観も大きく変容するのではないかと思います。如何なる環境下でも自ら道を拓くことができる。そんな金融教育が1人でも多くの方に届くことを願います。本日はありがとうございました。

     

     

    <プロフィール>
    児玉 隆洋(こだま・たかひろ)

    株式会社ABCash Technologie代表取締役社長
    大学卒業後、2007年サイバーエージェントに入社。Amebaブログアプリを責任者として立上げ、appstoreランキング1位を獲得、国内最大のブログアプリへと成長させる。 その後、Amebaブログ事業部長に就任し、Facebook/Instagramとの事業提携を実現。プラットフォーム統括責任者、テクノロジーイノベーション室長、インターネットテレビ局であるAbemaTVの広告開発局長を歴任。 2018年、自らの経験から網羅的かつ中立的なファイナンシャルリテラシーの必要性を強く感じ、株式会社ABCash Technologies (旧bookee) を設立。代表取締役社長に就任。

    株式会社ABCash Technologies
    https://www.abcash.co.jp/company/
    (エービーキャッシュテクノロジーズ)
    設立日:2018年2月2日
    資本金:2億1350万3000円
    代表者:代表取締役社長 児玉 隆洋
    本社:東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア38F
    スタジオ:
    東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア38F
    東京都渋谷区神宮前6-12-18 icebergビル5F
    東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX13F
    東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング9F
    東京都豊島区西池袋1-11-1メトロポリタンプラザビル14F
    東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-5 リンクスクエア新宿16F
    電話番号:050-3160-0466(代表)
    事業内容
    ・ファイナンシャルコンサルティング事業
    ・ファイナンシャルトレーニングカリキュラムの構築
    ・ファイナンシャルトレーニングスタジオの運営
    ・企業研修プログラムの構築・コンサルタント派遣
    ・インターネットメディア事業
    税務顧問
    日本クレアス税理士法人
    法律顧問
    代官山綜合法律事務所
    取引銀行
    三菱UFJ銀行 渋谷支店
    三井住友銀行 渋谷支店
    みずほ銀行 渋谷支店

     

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