2021年01月06日(水)1ブックマーク

プロダクトで解決できない中小企業の課題を解決 freeeが進めるプロフェッショナルサービスの真価と期待をチームマネージャーに聞く

経営ハッカー編集部
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プロフェッショナルサービスの事業リーダーの葛西隼也さん

freeeはクラウド会計ソフトなどの導入を通して、中小企業のバックオフィス最適化を支援してきた。しかし、「スモールビジネスを、世界の主役に」という事業ミッションはプロダクトのみで達成されるものではない。プロダクト以外でもきめ細やかなサービスを提案し、クライアントに価値を提供していくことが求められる。
 
そこでキーワードになるのが、SaaS業界で注目される「プロフェッショナルサービス」である。開発チームを先導する葛西隼也さんは、2018年3月にfreeeに入社。以来、カスタマーサクセスの担当としてプロダクトの導入支援に携わってきた。そこでfreeeプロダクトの知見を積み重ね、プロダクトのみでは解決しきれない点に踏み込むプロフェッショナルサービスの必要性に行き着いた。
 
コロナ禍によって事業環境が激変する中、中小企業の課題をいかにして解決していくのか。freeeがプロフェッショナルサービスに取り組む意義とは。2020年7月の始動以来、マネージャーとしてチームを支える葛西さんに語ってもらった。
 

目次

    ビジネス環境が激変する中、プロフェッショナルサービスが求められる背景

    インタビューに答えるfreeeマネージャー、葛西隼也さん

    ──freeeがプロダクトを届けるお客さまは、どのような環境変化にさらされていますか?
     
    売上高が激減するなど、コロナ禍はあらゆる業種に深刻な影響を及ぼしています。さまざまな経営課題が降りかかり、ビジネスの変革は規模の大小を問わず喫緊の課題になっていることは自明です。
     
    しかし、freeeが主に支援する中小企業は資本や人材などのリソースが少なく、大企業と比べて選択肢が限られています。迅速かつミスのない選択をし続けなければならず、課題解決の難度は増す一方です。
     
    freeeには、「バックオフィスの強靭化」を目指すお客さまから多くのお問い合わせが寄せられています。そこでは大企業のようなコンサルティングサービスはフィットせず、かといってマニュアルを渡すだけでも足りない。中小規模にふさわしい課題解決サービスとして浮上したのがプロフェッショナルサービスだったのです。
     
    ──freeeが考えるプロフェッショナルサービスは、お客さまの課題に対してどのようにアプローチしていくものでしょうか?
     
    お客さまの課題に対し、プロダクトだけによらない方法で解決を図る。これがプロフェッショナルサービスの主旨です。私は入社以来、freeeプロダクトの導入支援に携わってきました。お客さまとやり取りして感じるのは、プロダクトで解決できる課題がある一方、それだけでは解決しきれない課題も山積していること。
     
    そこで大きなアシストになるのが、人の手によるサポートです。解決方法を限定しないことで、プロダクトだけでは達成できないスピード感、柔軟性の向上も視野に入ります。私たちの事業ミッション「スモールビジネスを、世界の主役に」は、プロダクトを通してのみ実現するものではありません。あらゆる手段を検討して達成を目指していくべきものなのです。

    ──プロダクトだけによらない解決策を提供するにあたり、チームのメンバー構成も重要かと思います。プロフェッショナルサービスのチームメンバーはどのような方がいらっしゃいますか?

    チームの構成として、会計士試験合格者や会計コンサル、経理、システム営業など多様かつ専門性の高いメンバーを配置しました。独立した組織を作ることで、プロダクトのオプションではなく、freeeの新しいサービスとして提供することを意識しています。
     

    プロダクト外からアプローチする、freeeの新サービス

    インタビューに答えるfreeeマネージャー、葛西隼也さん

    ──あらためて、「プロダクトだけでは解決できない中小企業の経営課題」について掘り下げてお聞かせください。
     
    中小企業のお客さまは経営層から現場まで、おしなべて課題感を持っています。しかし、それは往々にして漠然としたもの。私たちは中小企業のバックオフィスが抱える問題を次の3点に整理しました。
     

    そもそも課題の深堀りができておらず、可視化や言語化ができていない状況です。判断する指標もなく、客観的な業務評価や競合との比較もできません。

    1. 課題が見えない
      そもそも課題の深堀りができておらず、可視化や言語化ができていない状況です。判断する指標もなく、客観的な業務評価や競合との比較もできません。

    2. 打ち手が見えない
      課題が見えても、どうしたら解決に至るか、どんなアクションを取ればよいかがわからない。どのようなスケジューリングで、どのくらいリソースを投入したらいいかも見えていない状況です。

    3. 終わりのない課題解決に息切れしてしまう
      課題を可視化し、打ち手が見えたとしても、ゴールまでの果てしない道のりに心が折れてしまうこともあります。足元の課題を解決できたとしても、経営状況や環境の変化により、新たな課題が立ちはだかってくることもあるでしょう。体制、仕組みづくりを自前で考えるのが困難な場合、課題に向き合うことをあきらめてしまうケースもあります。

     
    ──これらの3つの課題について、プロフェッショナルサービスはどのように解決を図っていくのでしょうか。
     
    STEP 1 現状を可視化する
    STEP 2 課題を整理する
    STEP 3 課題を踏まえた打ち手を提案する

    ※STEP1~3をサイクルしていく
     
    中小企業であっても、なんとなくの数字、なんとなくの仕組みしか見えていないケースも少なくありません。
     
    STEP 1として、ビジネスのプロセス、議論の状況を徹底的にヒアリングし、ドキュメントに落としていきます。この過程を経ることで、同じ名前の業務でもまったく違うことをしていたり、事業部によって業務をこなす時間がまったく異なっていたり、という業務の齟齬が見えてきます。業務時間の相関関係、事業部間の共有について掘り下げることも可能になるでしょう。
     
    現状を可視化した後、課題を整理するのがSTEP 2、それを踏まえた打ち手を提案し、優先順位を考慮した上で施策に移していくのがSTEP 3です。たとえば、紙資料が膨大だったら整理するアプローチを考え、freeeのプロダクトに紐づけたり、外部のプロフェッショナルを紹介したりといった策も考えられるでしょう。
     
    STEP 1~3はぶつ切りではなく、一連のサイクルにすることに意味があります。STEP 3では効果測定も取り入れ、フィードバックしてSTEP 1につなげていく。問題発生から解決までを1つのサイクルとし、問題が起こったらプロフェッショナルサービスを受けてもらうという流れです。
     
    freeeのプロダクトでは経理状況を数値化できる仕組みもありますが、まずはKPIの設定からのサポートを想定しています。将来的には、このサイクルをお客さま自身で回せる仕組みにつなげていきたいですね。
     

    「カスタムエクスペリエンス」を合言葉に、お客さまに新たな価値を提供していく

    インタビューに答えるfreeeマネージャー、葛西隼也さん

    ──サービス開始前に、テスト稼働として何社かにプロフェッショナルサービスを提供したとのことですが、お客さまのリアクション、そしてチーム内での手応えはいかがでしょうか。
     
    STEP 1の「業務の可視化」だけでも大きなインパクトがあったと好評で、手応えを感じています。中小企業であっても、会社の意思決定を行う経営層と現場の議論のやり取り、情報共有が足りないことが多いからです。
     
    そこに第三者であるfreeeのプロフェッショナルサービスが入り、それぞれの業務プロセスや工数を可視化することに、大きな実効性があります。客観的なデータに基づいた提案にも重みがあります。現状に対し、どうにかしなければと意志決定の喚起にもつながるのです。
     
    チームとしては、通常の導入支援よりも徹底して深堀りをして進めていかなければ、という思いです。成果物はもちろん、議事録一つをとっても情報量が圧倒的に違うわけですから。
     
    私たちの合言葉は「カスタムエクスペリエンス」。これはカスタマーエクスペリエンス(顧客経験)をもじったもので、お客さまの経験を創っていく、まったく新しいサービスとして考えています。「お客さんにとって、今何が必要なのか?」を意識し、突き詰めることで、サービスの幅は限りなく広がっていくでしょう。

    インタビューに答えるfreeeマネージャー、葛西隼也さん

    ──プロフェッショナルサービスをどのようにスケールさせていくのでしょうか。
     
    スケールとしては事業部規模には持っていきたいと考えています。それだけの価値がある事業ですね。「プロダクトだけでは解決できないことを何とかしなければ」という思いは、多くの事業部、営業などが抱えているfreee共通の課題感でもあるからです。
     
    freeeのプロダクトは、終わりなき進化を続けていくもの。その途上で、プロダクト外で解決すべき事項も次々に出てくるでしょう。そのスペースに、プロダクトカンパニー・freeeならではのプロフェッショナルサービスが駆け上がっていきます。
     
    ──freeeがプロフェッショナルサービスを手がける意義、提供できる価値も見えてきました。
     
    私たちはスモールビジネスに特化し、多くのお客さまのバックオフィスの課題を支援し、ケーススタディとして蓄積してきました。課題を抽出するヒアリング、打ち手を導き出す提案にもノウハウがあります。その集大成をプロフェッショナルサービスに投入しているのです。
     
    また、プロフェッショナルサービスはコンサルティングのように短期で終了するモデルではありません。freeeはお客さまと中長期を見据えた関係性を結び、進化を続けるプロダクトを長く使っていただける点に価値を見出しています。息長く伴走しつつ、時代に応じたきめ細かいサービスを届けられればと考えています。
     
    ──freeeがアセットとして築き上げてきた会計・人事プロダクトとのワンストップソリューション、外部プロフェッショナルとのパイプも大きな武器になりそうです。
     
    町の税理士からシステム会社、業務改善を手がけるコンサルタントまで、多様なつながりを持ってサービスを提供してきました。そのつながりを惜しみなくお客さまにブリッジしていければと考えています。その統合が高レベルのサービス提供に結実するでしょう。また、会計や人事労務freeeのAPI連携により、プロフェッショナルサービスもワンストップソリューションとして展開できる余地もあります。提供を続けながら、サービスをブラッシュアップしていければ。
     
    ──新サービスの可能性を含め、今後の展望をお聞かせください。
     
    コロナ禍を経て、トラブルや危機は前触れもなく突発的に訪れるものだ、という学びを得ました。パンデミックだけではなく震災、気候変動など不確定なファクターが目白押しです。トラブル、困りごとにどう備えていくか。あらためて思いを巡らせた経営者も多いでしょう。
     
    これまで、中小企業の困りごとは顧問税理士が対応してきたのが現実です。freeeは中小企業に特化したプロダクトを提供しながら、「会計システムで困りごとがあったらfreeeに聞いてみよう」というレベルの市民権を得てきました。
     
    今後、プロフェッショナルサービスによって「経営の困りごとはfreeeに相談しよう」という意識を導き出せれば、かなりのインパクトを持つでしょう。私たちが提供するプロフェッショナルサービスには、それだけの可能性があります。
     
    (取材・文:佐々木正孝 撮影:北村渉 編集:杉山大祐 / ノオト)
     

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