収入印紙で損しない「非課税対象の拡大」と「消費税アップ」ポイント
収入印紙で損しない「消費税アップ」と「非課税対象の拡大」から見る印紙税ポイント
まとまった支払の時についてまわるのが収入印紙付の領収証です。まだ「収入印紙を貼るのは3万円から」と思ってはいませんか? 最近改正された印紙税法によって非課税の範囲が広がりました。また、5%から8%に改定された消費税との関係も気になるところです。収入印紙と領収書の関係を改めておさらいしてみましょう。
[目次] ■1)なぜ収入印紙を貼らなくてはいけないの? ■2)収入印紙を貼らなければならないのはどんな文書? ■3)非課税の文書があるってホント? ■4)非課税範囲の改定 ■5)印紙税も払いすぎたら戻ってくる ■6)「請求書」と書かれているから貼らなくてもいい? ■7)複数の課税対象が含まれている場合 ■8)課税対象は消費税込?
■1)なぜ収入印紙を貼らなくてはいけないの?
まとまった金額の商品を販売してうっかり貼り忘れそうになる収入印紙。わざわざ領収書に貼らなくてもよさそうなものですが、収入印紙が貼られたちゃんとした文書があることで法律上の売買関係をわかりやすくする狙いがあるようです。国としては経済取引に必要不可欠な文書に印紙税を課すやりかたはたばこ税などと同様取りやすいため安定的な納税につながります。
■2)収入印紙を貼らなければならないのはどんな文書?
印紙税法には課税文書と非課税文書にわけられており、収入印紙が必要になるのは20種類の課税文書です。 主な課税文書には次のようなものがあります。
1号文書:不動産関係の契約にまつわる文書。不動産の譲渡契約書や 2号文書:請負関係の契約書 3号文書:手形関係(約束手形や為替手形) 4号文書:株式関係(株券や社債券など) 6号文書:定款関係の文書 7号文書:継続的な取引における基本的な契約書 17号文書:金銭または有価証券の受取書
日常生活の中で圧倒的に目にする機会が多いのは17号文書です。 「金銭または有価証券の受取書」と書いてあると難しそうですが、いわゆるお店でもらう領収書のことです。
■3)非課税の文書があるってホント?
印紙税が課税されない物を非課税文書と言います。これは、あくまで印紙税法上の課税文書の中の例外的な物を指す物です。最も目にする機会が大きいのが17号の領収書のケース。領収書の中でも5万円未満の少額であれば収入印紙が貼られていませんよね? こういう条件付で収入印紙を貼らなくても良い物を非課税文書と呼びます。
■4)非課税範囲の改定
「5万円未満」と聞いて「3万円未満の間違いでは?」と思った方。領収書の課税範囲は平成26年4月1日から5万円未満に拡大されました。印紙税に関しては若干税負担が軽くなったというわけです。ただし、ややこしいのが同じ日から消費税が8%にアップしたため、領収書の金額の切り分けで頭を悩ませたお店も多かったようです。
■5)印紙税も払いすぎたら戻ってくる
もし前と同じ感覚で収入印紙を貼っていたらどうすればいいのでしょうか? 3万円を超しているからと5万円未満の場合でも200円の収入印紙を貼ってしまっていたとしても、誤納税をしていたことを証明できれば還付金として後から受け取ることができます。もし、誤って収入印紙を貼っていても安心して手続きを取りましょう。
■6)「請求書」と書かれているから貼らなくてもいい?
印紙税が掛かるかどうかは該当する文書の内容が課税の対象かどうかで判断されます。 たとえば、「請求書」と書かれてある文書のなかで、お金の受け渡しをしたことがわかるように領収書と同じような内容が記載されていたとしましょう。この場合は文書全体は請求書ですが、実質的には領収書の内容も含まれているので収入印紙を貼らなければなりません。
■7)複数の課税対象が含まれている場合
同じ課税文書の中にたとえば1号文書と15号文書の内容が含まれていた場合は、二重に印紙税を負担しなければならないのでしょうか? もしそうなれば印紙税はかなりの額に膨らむこともあります。解くに不動産関係や工事関連の文書でこうしたケースが置きやすいですが、どちらの文書の性格が強いかを判断して一方の課税文書として収入印紙を貼れば大丈夫です。
■8)課税対象は消費税込?
いわゆる税込価格と税抜価格が両方とも明記されている場合なら、消費税や地方消費税は課税対象外となり本体価格で印紙税を判断することができます。
■まとめ
お店のレジで領収書を渡すときでも、単純に5万円未満のルールを覚えておけばいいというのでは対応できないケースも出てきました。とくに、消費税額が明記されているかどうか、本体価格と消費税額が明確に分けて書かれている場合は5万円以上の金額でも収入印紙を貼らなくても済むこともあるので、注意したいところです。収入印紙を貼るのは割と面倒な作業ではありますが、もし貼り間違えていても後から還付できるというのは覚えておきたいポイントです。