交際費課税の改正で、具体的になにが変わったのか?
大手企業にはやや大きく、中小は小振りの改正
2014年度の交際費に関する税制改正の特徴を簡単に申し上げれば、大企業はやや大きめ、中小は小振りもしくは企業規模によっては殆ど変化無しと言ってよい改正です。つまり、2014年度の交際費に関する改正は大企業と中小企業で区別された改正となっています。ではどのような点が従来と変わったのか、具体的にご紹介しましょう。
[目次] ■1)大企業向け改正のキーワードは「50%」 ■2)大企業向け改正で外食産業は特需を期待出来る!? ■3)中小企業の改正ポイントは「選択」 ■4)まとめ:インパクトは限られるが日本経済にはプラス
■1)大企業向け改正のキーワードは「50%」
まずは大企業向けの交際費の改正ポイントについてです。 ここでの大企業とは資本金が1億円超の企業と考えて頂いて結構です。さて、改正のポイントですが、従来は交際費の中で「接待飲食費」は大企業の場合損金に出来ませんでした。ところが、2014年度の改正により接待飲食費の50%まで損金算入が可能となった、つまり非課税となったのです。 実は大企業でも接待飲食費は全て課税対象とされていた訳ではありません。例えばゴルフ接待で、ラウンドの途中に昼食会等が行われますが、このゴルフ接待の中でセットになっているランチ代だけを接待交際費から除外するとなれば大変ですよね。それはちゃんと交際費に含んで良かった訳です。では、どんな場合が駄目だったかと言うと高級料亭やレストランと言った飲食点で飲食を振る舞うことを目的とした接待での飲食費は、交際費として認めて貰えなかったということで、今回はそれが50%まで非課税になるということです。
■2)大企業向け改正で外食産業は特需を期待出来る!?
接待飲食費の50%まで経費で落とせることになりましたから、大企業が接待で飲食店を利用しようというモチベーションは高まると考えられますよね。大企業はお金も持っているし授業員も多いですから、外食産業にとっては大きな特需が期待出来そうに思えます。 しかしながら、5千円以下の飲食費については従来から会議費等で処理出来ていましたので、接待飲食費の基準は1人当たり5千円を超える飲食費となるんですね。ということは、5千円を超える高額な飲食を提供している高級店の利用機会は増加するかも知れませんが、外食産業全般への幅広い波及効果まで期待することは難しいと言えそうです。
■3)中小企業の改正ポイントは「選択」
中小企業対象の交際費の改正ポイントです。 中小企業の改正ポイントを一言で申し上げれば「選択」出来るようになったと言うことです。何が選択出来るのかと申しますと「800万円までの損金算入」と「接待飲食費の50%の損金参入」のどちらか「有利」な方」を選択出来るようになったといことです。従来は前者だけだった、即ち800万円までの損金算入が認められていただけで、そのような選択肢はありませんでした。
ではどんな場合ががそれぞれ有理になるか例を挙げますと、まず800万円の接待飲食費なら全額損金参入した方が有利ですし、1,000万円でも50%を選ぶと損金は500万となってしまいますから800万円を選んだ方がまだ有利です。ところが1,700万円となると50%の方を選ぶと850万円まで経費として認めて貰えますので50万円有利になってきます。
これらの例から選択制により中小企業も接待飲食費の損金算入は有利になったように思えます。しかしですね、中小企業で先の例のような1,700万円と言った接待飲食費を使用している企業数はかなり限られると言えます。特に売上規模が1千万から数千万程度の零細企業にとってみれば800万円の接待飲食費でも十分過ぎる基準だと言えますので、新たな選択肢が追加されても実質的には従来と変わらないと言える訳です。
■4)まとめ:インパクトは限られるが日本経済にはプラス
2014年度の交際費課税に関する改正点をまとめますと、大企業が接待飲食費の50%を損金で認めて貰えるようになり、中小企業は800万円までか接待飲食費の50%を損金にするか選択出来るようになったということです。この接待飲食費に関わる改正の波及効果はご紹介した通り、限定的な効果に限られると考えられますが、限定的とは言え景気にはプラスに働くと考えられます。
高級料亭や高級クラブに大企業のお客様が戻ってくれば、それらの店舗が潤うだけでなく例えば食材等を収めている店舗も儲かることになります。また、何より今まで活気がなった店舗に活気が戻るということは明るいニュースとして、冷え込みがちの日本人の消費マインド等も少し上向くことが期待されます。従って我々は今後も税制改正に関心を払い、注意深く見守るようにしましょう。