今だからあえて確認しておきたい消費税の7つの基礎知識
国民的関心が最も高い税金でありながら以外と知られていないことがあるのが「消費税」
消費税は、事業者だけに課せられる税金ではなく、一般個人の消費において広く課税されることから国民的な関心がおそらく最も高い税金と言って良いでしょう。
しかしながら、それ程までに関心が高いのに制度について以外と知られていない事項も少なくありません。例えば消費税が非課税となるものにどのようなものがあるか、スラスラと答えることが出来るでしょうか。
消費税10%引き上げが1年半ほど見送られた今だからこそ、消費税の基礎的知識についてしっかりと確認しておこうではありませんか。 以上のような主旨に基づき、消費税の基礎的知識の中から特に知っておくべきと考えられる7つの知識について皆さんへご紹介して参ります。
[目次] ■1)消費税の基礎の他、非課税や納税免除と言った例外的規定等5つの基礎知識 ■2)消費税の今後を左右する逆進性問題等2つの基礎知識 ■3)国の経済動向を左右する消費税は制度全般を注視するようにしましょう
■1)消費税の基礎の他、非課税や納税免除と言った例外的規定等5つの基礎知識
それでは消費税の定義と共に、非課税取引等例外的規定と言える事項などを中心に基礎知識を5つ紹介します。
1.消費税の基礎
消費税とは、原則として国内で「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け及び役務の提供」した場合と「輸出」ではなく「輸入」の取引を課税対象としている税金制度のことで、ご承知の通りそれらの取引において原則8%が課税されることになります。
2.消費税が「非課税」となる取引例
例えば以下に記す取引は「取引」であっても「非課税」、即ち消費税はかかりません。 ・住宅ローン ・国債や株式等の有価証券の譲渡 ・火葬料や埋葬料 ・社会保険対象となる医療費 ・土地の譲渡や貸付 ・居住用賃貸住宅の賃貸料 ・預貯金の利子 ・商品券やプリペイドカードの譲渡等
3.「不課税取引」と「免税取引」
実は消費税がかからない取引には「非課税(取引)」以外に、「不課税取引」と「免税取引」という言葉もあります。これらに該当する例には次のようなものです。 ・不課税取引 「寄附金」、「香典」、「海外での消費」等 ・免税取引 主に「輸出品」が該当
4.消費税の申告時期
消費税を納税する為に事業者は申告する必要があるのですが、申告時期が「法人」と「個人事業主」によって異なっています。それぞれの時期は下記の通りです。 ・法人 「その法人の決算日以後2ヶ月以内」 つまり法人としての確定申告期限と同様に、消費税申告に限れば申告の延長が認められていないので、この点は注意が必要です。 ・個人事業主 「その年度の3月末日まで」 個人事業主の場合は3月15日の所得税の申告期限と同じでないということを、留意しておいた方が良いでしょう。
5.消費税の納税免除事業者
文字通り消費税の納税が免除される事業者のことです。条件は年間の事業売上が1千万円以下の事業者となります。では、ずっと1千万以下の売上だった事業者が1千万を超えた場合どうなるかと申しますと、翌年ではなく2年後より消費税納税事業者となって消費税の納税を行うことになります。
■2)消費税の今後を左右する逆進性問題等2つの基礎知識
今後の消費税の動向を考える上で知っておく必要がある知識としては、消費税の逆進性に関する問題や軽減税率の2つが挙げられますので、この2項目についてもご紹介します。
6.消費税の逆進性の問題
消費税は所得に応じてではなく、個人消費者の立場では食料や衣服と言った生活必需品の全てに課税されていることから、仮に消費税の支出額が高額所得者より小さくとも、所得に対する負担割合は高くなることになります。つまり低所得者ほど課税負担割合が大きくなってしまう状況を逆進性があると言っており、問題視されています。
7.軽減税率
軽減税率という言葉も良く聞くキーワードですが、平成26年現在では消費税において軽減税率はなく、一律8%となっています。その上で、10%へ消費税率を引き上げた場合、逆進性が更に高まる、即ち低所得者ほど税の負担率が高まる問題を出来るだけ解消することを目的として、生活必需品である食料品を中心に一定品目について税負担率を軽減することが議論されています。
■3)国の経済動向を左右する消費税は制度全般を注視するようにしましょう
消費税は一旦税率アップが見送られたことと1年半後に10%に引き上げられるという事実だけが注目されがちですが、例えばご紹介した軽減税率等も、事業者にも消費者にも大きな経済的影響を与える事項と言えます。
従って大切なことは、税率だけに注目するのではなく「消費税の制度全般」に対して関心を払い、今後も注視し続けることだと言えます。