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2014年12月18日(木)

消費税増税の影響と生き残るための方法を考えてみる

経営ハッカー編集部
消費税増税の影響と生き残るための方法を考えてみる

平成28年10月の消費税増税の影響とは!?

低迷 安倍首相が明言した増税の「1年半の延期」。延期した理由は5⇒8%の増税による景気の低迷にあると言われていますが、さらに10%へと引き上げられれば、その影響は拡大すると考えるのが妥当でしょう。

さてこの増税の嵐の中で生き残るにはどうすればいいのでしょうか。

[目次] ■1)消費税の納税状況 ■2)消費税増税の天国と地獄 ■3)消費税増税を「チャンス」に変える ■理想を語らなければ未来はない?

■1)消費税の納税状況

消費税とは誰もが知っているようにお金を使うごとに納めなければならない税金です。税金の分類としては「間接税」と言われ、Aさんがお金を使って消費税を負担した分を、そのお金を受け取ったお店が国に納めるという仕組みで納付されます。

現行の8%の税率の場合、Aさんが1000万円支払うとするとプラス消費税額80万円分、すなわち1080万円をお店に支払う必要があります。そしてその80万円をお店が国に納付するわけです。これが10%になれば納付額は100万円になります。この消費税は中小企業や個人事業主にとってはかなり負担の大きな税金です。

消費税はその原理上、所得が小さいほど負担が大きくなる「逆進性」を持ちます。そのため人件費や設備費でいっぱいいっぱいの中小企業にはかなり負担が大きくなるのです。その証拠に平成20年度の税金滞納額の45.8%が消費税の滞納です。これは増税前のデータですから8%に引き上げられた2014年の滞納はもっと増えるはず。なにしろ日本の企業のうち99%は中小企業で、しかもそのうち7~8割は赤字経営だと言われているほどなのですから。

■2)消費税増税の天国と地獄

消費増税で助かる企業もあります。それは輸出中心の大企業です。自社の買い手が海外企業の場合、消費税輸出免税制度というものがあって、輸出時にかかってくる消費税をそのまま還付してもらえる制度があるのです。消費税増税が実施されると、輸出する際の価格はそのままに、還付されるお金が増えるので、非常に助かるわけですね。

対して中小企業・個人事業主の方は地獄です。特に製造業の場合は、発注先の大企業の意向に従わざるを得ない部分も大きく、大企業が増税に伴う小売価格の上昇を防ぐために下請け先の製品価格の引き下げを要求すれば、そのまま引き下げに応じるケースが多いのです。しかしそれでも消費税はかかってくるので、「引き下げに応じざるを得ない」「消費税額はむしろ増える」という二重苦に苛まれることになります。これに伴って倒産や、場合によっては自殺者の増加を予想する向きも少なくありません。

■3)消費税増税を「チャンス」に変える

確かにこれらの状況を加味して「消費税増税反対!!」と叫ぶのは簡単です。しかし実際問題として、もう消費税の増税は決定し、実行に移されようとしています(5から8への引き上げはもうすでに起きてしまったことです)。

言うのは簡単でも、増税を食い止めるのはかなりの困難と時間を要するでしょう。であればこの増税を「チャンス」に変える方法を考える方が有益ではないでしょうか。これを考えるうえではじめに行うべきは「増税に際して何が起こりうるか」を改めて検討することです。

前回の増税に際して対応策を講じなかった場合は、今まさにその影響下で事業を回しているわけですから、増税前と増税後でどんな変化があったのか、問題が生じたかを反省すれば自ずと次の増税でも何が起こるのかが予測できるでしょう。問題を把握しなければ行き当たりばったりの策しか打てません。まずは敵を知りましょう。

避けられないのが会計・財務システムの変更です。会計ソフトに関しては、もちろん販売元が新しい税制に対応してくれるので問題ありませんが、会計・財務のデータを使って独自に行っているデータ分析などのシステムは、自前で変更しなければなりません。「大変だ」と思うのは当然です。しかしこれを「チャンス」に変えるにはそこから一歩進んで、「せっかく大きくシステムを変えるのだから「無駄なところ」はないか見直そう」という発想にまで至りましょう。

これまで行ってきた手続きに省ける部分はないか、不必要な作業はないかなど、仕事の効率化という視点でシステム変更をみるわけです。また「納税準備預金」を利用するという手もあります。納税額が大きく変わるため、そのための現金の準備も必要になるでしょう。その場合、これを利用すると預金の利息にかかる源泉所得への課税をなしにできます。このように納税手続きそのものを見直すことにより、節税効果も見込めるのです。

他にも取引先との関係をより密接にし、WIN-WINの関係を築いていくことで増税時の価格引き下げ要求にも留保をつけてもらえるようにしたり、仕事の仕方、工場の設備や作業にかかるコストを削減できないかと知恵を絞ったりすれば、この増税の中を生き残れる可能性が上がっていくでしょう。そして生き残ることができれば、それだけの地力がついているという証明になります。

■理想を語らなければ未来はない?

3のような話は理想に過ぎない、という人もいるかもしれません。そんなことを考えている余裕もないんだ、という経営者がほとんどでしょう。 「これでもなんとかかんとかやってきた、もう自力なんて残ってない」と言いたいかもしれません。それでも理想を語らなければ、それは実現されません。

「消費税増税は悪だ」と言って増税がなくなればいいですが、それを前提にしていて本当に増税されれば行き詰るほかないのです。まずは「何が起こりうるのか」、それを考えるところから始めましょう。

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