源泉徴収票の見方 | 年末調整時に知っておきたい知識
年末調整が行われると、皆さまのお手元に源泉徴収票が配られることと思います。
この源泉徴収票からどんな情報を読み取れるかご存知ですか? 給料に関係する内容のようだけど、それぞれの数字が何を表しているかは分からないという方も多いと思います。
源泉徴収票は、1年間の収入の情報だけでなく、皆さまの所得税が算定される経緯や所得税の還付金額まで教えてくれる大事な書類です。今回はそんな源泉徴収票の見方についてご紹介いたしましょう。
目次
そもそも源泉徴収票とは?
会社員の方は、自ら確定申告をして所得税を納税する必要がありません。なぜなら、会社があなたの給与から予め「所得税」を天引きして納税しているからなのです。 この仕組みを「源泉徴収」と言います。 この源泉徴収は会社の義務でもあり、会社のことを「源泉徴収義務者」といいます。そして、その源泉徴収の詳細を記載した書面を「源泉徴収票」といいます。 源泉徴収票には、会社が1年間の間に支給した支払金額や、給与所得控除後の金額、さらには所得控除の合計金額などが分かるように記載されています。つまり、源泉徴収票を見れば、会社がどのような根拠で所得税を計算して年末調整をしてくれたのかが一目瞭然というわけなのです。 例えば、扶養親族の人数や生命保険料、地震保険料などの控除については、11月頃に経理に提出しているはずの「扶養控除申告書」や、それに添付した各種保険会社から発行される控除申告書などの情報を基に記載されているはずですので、一度チェックしてみると良いでしょう。
所得税が計算されるしくみ
源泉徴収票の見方を説明する前に、まず所得税がどのように算出されるのかを説明します。
所得税は、1年間の収入金額に調整を加え、その金額に税率を乗じることで求められます。この収入金額に加えられる調整とは、各種の控除のことであり、税率を掛ける前に収入金額から差し引かれます。
では、控除の中でも主なもの3つを見てみましょう。
給与所得控除
まず、給与所得控除です。事業を営んでいる場合は、収入金額から経費を差し引いた残額に税率を掛けることで所得税額が計算されます。会社員の場合もスーツや文房具の購入代など、勤務する上である程度の経費がかかります。
この分の経費を収入金額から差し引くという意味で、給与所得控除が設けられているのです。給与所得控除の金額は、収入金額によって段階的に定められており、収入が多くなるほど控除できる金額も大きくなります。
保険料控除
2つ目は、厚生年金保険料や生命保険料にかかる保険料控除です。1年間で支払った保険料についても、収入金額から控除されます。ただし、生命保険料などは控除できる金額に上限があります。
配偶者控除・扶養控除
3つ目は、配偶者(特別)控除や扶養控除などの扶養している家族にかかる控除です。たとえば、16歳以上19歳未満の扶養親族がいる場合は、38万円の扶養控除を受けることができます。年末調整の前に提出した「扶養控除等申告書」や「配偶者特別控除申告書」は、これらの控除を年末調整に反映させるために使います。
この3つの控除のほか、誰でも一律で38万円が控除される基礎控除や住宅ローン控除などがあります。
源泉徴収票の見方
ここまで、所得税額の計算方法を見てきました。源泉徴収票を見れば、皆さまの収入金額、所得税額、さらにどんな控除が適用されているかを知ることができます。
まず、源泉徴収票の2段目、左から2つ目に「支払金額」という項目があります。これが1年間の収入金額です。そして、同じ段の一番右の項目「源泉徴収税額」に、所得税額が記載されています。これら2つの項目に挟まれている、「給与所得控除後の金額」と「所得控除の額の合計額」という項目によって、所得税が計算される際の控除金額を把握することができます。
「給与所得控除後の金額」は、「支払金額」から給与所得控除を差し引いた残額ですので、「支払金額」との差額を計算すれば給与所得控除の金額が分かります。「所得控除の額の合計額」は給与所得控除以外の各種控除の合計金額です。
どんな控除が適用されているかを知るためには、さらにその下の欄を見てみましょう。たとえば、「控除対象配偶者の有無等」欄で配偶者控除の対象がいるかどうか、「控除対象扶養親族の数」欄で扶養控除の対象がどの種別に何人いるのかを把握することができます。
さらに、「社会保険料等の金額」欄には厚生年金保険料や健康保険料といった、1年間に支払った社会保険料にかかる控除金額、「生命保険料の控除額」欄には1年間に支払った生命保険料にかかる控除金額が記載されています。
還付される所得税額はどうやって分かる?
源泉徴収票に表示してある「源泉徴収税額」は、年末調整後にまとめて支払うものではありません。実は、毎月の給与が支払われる際には、大体の1ヵ月あたりの所得税額が天引きされています。
この1年間で天引きされた所得税額の合計が源泉徴収票上の「源泉徴収税額」よりも多ければ、その差額分だけ還付されることになります。還付される所得税額を知るためには、1月から12月の給与明細に記載されている所得税額を合計し、そこから「源泉徴収税額」を上回っている金額を計算すればいいのです。
もちろん、1年間で納めてきた所得税の合計が年末調整で確定した「源泉徴収税額」より少なかった場合は、還付金を受け取ることはできません。この場合は、差額分の所得税を支払うことになります。通常は、給与などが支給されるときに差し引かれます。
まとめ
普段何気なく受け取っていた源泉徴収票が実はいろいろな情報を教えてくれることがお分かりいただけたと思います。皆さまが支払われている税金がどのようにして計算されたものなのか、この機会に源泉徴収票を少し見てみてはいかがでしょうか。