「中食産業」に追い風? 軽減税率の対象品目、基準は店内か店外か
ここ数日で大きく進展があった消費税の軽減税率。対象品目に「加工食品」を含むかが論点とされていましたが、こちらは加工食品・生鮮食品どちらも含むことで合意されました。
続いての論点となっているのが、除外対象になっている「外食」と「加工食品」の線引きをどこで行うのかということです。今回は、軽減税率の適用範囲について紹介します。
1)軽減税率についてのおさらい
まずは、現在合意された消費税の軽減税率に関する情報をおさらいしましょう。2016年4月より10%に上がる消費税に合わせ、生活必需品である食品の税率を8%に据え置く方向で議論されていました。
論点となったのが、先ほど述べた「加工食品」の取り扱い。加工食品を含まない方針を示していた自民党と、加工食品を含む方針の公明党との間で、意見が対立していました。最終的に、自民党が公明党の意見を受け入れ、軽減税率の対象品目は、「加工食品」・「生鮮食品」とすることで合意しました。また、新聞についても、軽減税率が適用されることで合意されています。
2)論点となった「外食」と「加工食品」の線引き
加工食品を含むか含まないかの合意は得られましたが、今度は、外食と加工食品の線引きがあいまいすぎるという指摘が出ております。
自民党の税制調査会が幹部会合で示した内容によると、「外食」とは、飲食店(こちらは食品衛生法によって定義されるようです)が食べる場所を提供する目的でテーブルなどを設置し、その場で飲食することと定義するようです。
3)示された線引き、どのような適用が考えられる?
示された線引きを元に考えると、まず大きな違いが出てくるのは、持ち帰りと店内での飲食による適用税率です。例えば、ファーストフード店を利用する場合、持ち帰りの場合は軽減税率が適用され、消費税は8%となりますが、店内で食べる場合消費税は10%となります。
こうした線引きから、注目を浴びそうなのが、外食と内食の間を取った「中食産業」と呼ばれる市場です。中食の代表例と言われているのが、お惣菜やパン、弁当などです。今まで料理の手間の軽減などにフォーカスしてきた中食産業が、外食が今まで満たしてきたニーズにも手を広げる可能性は大いにあるといえるでしょう。
まとめ
こうした外食と加工食品の線引きですが、店内で食べる場合の割高感に納得が得られないという問題や、持ち帰りと称して外食を提供する飲食店が出る可能性など、問題点も多く指摘されています。難しい問題ではありますが、フェアな方法で外食と加工食品の線引きが行われるように期待したいですね。