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2017年02月23日(木)

【パラグアイで起業した日本人】~まさに奇跡!私が見つけたパラグアイへの道~(第3話)

経営ハッカー編集部
【パラグアイで起業した日本人】~まさに奇跡!私が見つけたパラグアイへの道~(第3話)

19歳に思い描いた、起業という夢がどんどんと現実になり始めました。私は一度決めたら行動するのは早いのですが、その行方はあれよあれよとパラグアイへ向かっていく事になります。

私を作った様々な経験、そして恩師の言葉たちによって、海外に飛び出してみようと思った私に、どんな事が起きるのでしょうか?

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現実味を帯びてきた起業

そうして会社を退職した私ですが、いよいよ起業するという夢が見えてきました。ではどこでなにをしようか?私には資本もなければ誰よりも勝っている得意なものも存在しませんでした。また、絶対に勝てると思えるビジネスモデルもありませんでした。

日本で一旗上げるにはあまりにも総合的な力が不足していると自分自身を分析した結果、私が目をつけたのはBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)のいずれかの国に出ようと考えました。なぜかというと、私は様々な文献を読んでみて、日本という国には力のある人が山のように存在し、彼らも切磋琢磨している。彼らと真っ向から勝負する事は無理だろうと感じたのです。 ※BRICs:2000年代以降著しい経済発展を遂げるブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国の総称

一方でアジアを回り、日本よりも経済的に劣る国がある事も知っていました。であれば日本で培った経営・経済に関する知識と、様々なビジネスモデルを海外で展開すればよいのではないか?と考えたからです。そして私はその中からブラジルを選択しました。理由はその他の国に対するイメージが悪く、長く住む気にはとてもなれなかったからです。

そうして、ブラジルを目指す事になるわけですが、当時はブラジルについて日本語で書いてある情報が少なく、どうやって取っ掛かりを作ればよいのかわかりませんでした。

ですから思い切って行ってみることにした訳です。私の人生2度目の一人旅がはじまりました。しかし、今回は観光地を回る事が主ではありませんから、一つの国に腰を落ち着けて南米の雰囲気や習慣を理解する事が重要であると思いました。

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ボリビアからブラジルへ

私がまず訪れた国は南米のボリビアという国です。「ブラジルじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、単純にボリビアに行くほうが航空券が安く、ブラジルビザを日本で取るのも面倒だったからです。

それからもう一つの理由は、言語です。私は海外で一旗上げようと考えましたが特に南米の言語を操れるわけではありません。その為、スペイン語かポルトガル語を勉強しようと考えていました。

「ブラジルはポルトガル語だから、勉強するのはポルトガル語なのでは?」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、私は絶対にブラジルで起業をしようと考えていたわけではないのです。BRICsの中ではブラジルが良いが、別にブラジル周辺の国でもいい。と考えていたましたから、結局、勉強したのはスペイン語でした。なぜならポルトガル語は勉強してもブラジルでしか使えないが、スペイン語であれば使える国が多く、場所の選択肢が増えるだろうと考えたからです。

いずれにしてもボリビアに来た私は3ヶ月間、日本語教師のボランティアをしながらスペイン語と南米について学んでいきました。

ボリビアでの3ヶ月間を終えて、ブラジルへ飛行機で飛ぼうとしているある日、とんでも無い事が起こりました。航空会社がストライキを起こしたのです。さすがに振り替えの飛行機が用意されるだろうとのん気に構えていた私ですがいよいよ、渡伯(ブラジル)の日が近づいても一向にストライキは収まらず、振り替えの飛行機も用意されてはいません。

チケットを買っているのに飛行機に乗れない事が本当にあるのか。としみじみ感じました。それがわかってしまえば、飛ばない飛行機を待っていてもしかたありません。私は、過去に旅した経験からチケットを捨て、陸路でブラジルを目指す事にしました。

ボリビアからパラグアイへ

当初の予定ではブラジルのサンパウロから旅を始めて、パラグアイ側に向けていけるところまで行こう。という予定を立てていたのですが、その計画は崩れさり、ボリビア~パラグアイを抜けてブラジルに行く計画に変更しました。つまり、私はこの時点で始めてパラグアイを通る事にしたのです。

ちなみに、この時に私は一冊の本を持っていました。それは父が移民をしていた時の記録を書いた本で、私がボリビアに発つ少し前に完成し、その本を2冊ほど持っていたのです。

暇な時に何度も読み返してはいましたが、いざパラグアイに入るので再度、読み返してみると、父が移民していた国にいくのか。となんとも言えない、懐かしさに似たような気持ちになりました。

ボリビアから国境を越えて、パラグアイの首都アスンシオンへ移動します。父はその昔、パラグアイのエンカルナシオンという町で働いていた事があると本に書いてあったので出来れば寄ってみたいと思っていたのですが、私はブラジルのサンパウロから日本へ帰国する飛行機のチケットを持っていてフライトの期日が決まっていた事と、なるべくブラジルをたくさん見てみたいという理由から一直線にブラジルを目指す事にしました。

次に立ち寄ったのはイグアス移住地という場所です。ここのペンションに泊まり、ブラジルに向かう情報収集をしようと思いました。

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父の知り合い!?偶然が偶然を生んだ奇跡

そこで私の人生を左右する出来事が起こります。ペンションのオーナーと話していると移民者の話になりました。私は父から聞きかじった情報と本を読んで得た情報で父の話をしました。すると、オーナーは言いました。「あなたのお父さんの名前はなんていうの?」私が答えると「僕は君のお父さんを知っているよ」といわれました。

この広い広い世界で、他ならぬ海外で、父の知り合いに会うなど、どれほどの確率でしょうか?そして、本当に偶然とはいえそんな事が起こりうる状況にある人は日本に何人いるでしょうか?

私は驚愕するとともに、中々信用する事ができませんでした。あまりに自身の身に起きたことが荒唐無稽だったからです。すると、そのオーナーは誰かに連絡を取りました。相手の男性も父を知っているようで話はすぐにつき、ペンションまで迎えに来てくれる事になりました。

迎えに来てくれたその方の奥さんに連れられて、私は国境の町シウダーデルエステに向かいました。ついてみるとちょうど、学校の体育館の竣工式を行っているところで、食事をいただき、父の話を聞きました。思い出ばなしや父の古い話を聞いていると本当に父がパラグアイに居た事、そして遠い昔に父がこの人達と行動を共にしていた事が実感できました。

もちろん、その後に父に連絡を取ってみると、確かにその人物は知り合いだと言うのです。そしてその人は、自分の本にも出てくると話しました。

さらにその人は、父と同じ県の出身者で父と同じ船でパラグアイを目指し、行動を共にしていた人物だとわかりました。 ものすごい偶然です。もしも私が起業するという夢を追いかけなかったら、南米に向かおうと思わなければ、飛行機がストライキを起こさなければ、イグアス移住地に行かなければ、本を持っていなければ、この出会いはなかったのです。

この不思議な巡りあわせから、私は「パラグアイで起業してみよう」と思うようになりました。都合の良い事に私が当初狙っていた通り、パラグアイはまだ後進国ですし、日本に比べれば物価も驚くほど安い。

さらに南米のへそと呼ばれるパラグアイは周りをブラジル、アルゼンチン、ボリビアに囲まれた内陸国で、将来的な展望からみてもかなりの経済成長が見込める国だと感じました。そんな事からこれからの国、パラグアイで父が果たせなかった成功という夢を今度は私が挑戦してみようと心に決めました。

起業に至るまで、まとめ

このような背景から、私はパラグアイという国で起業をする事になりました。19歳の頃に見た夢は私自身の成長と共に成長し、姿・形を変えながら現実のものになっていきました。不思議な事にどんな職種でやっていきたいか。という事は常日頃、悩んでいましたが起業する夢を諦めた事はただの一度もありません。

どんな壁に当たっても、どんなに批判されようと、諦めろと言われようと、もはやする事が当然という気持ちでした。起業家というものについて、少し続けます。私は自分の周りに「将来は社長になりたい」といっている人はいましたが「起業を夢見ている」という人はいなかったので自分だけの意見ですが、起業家になる人達は少なからず、同じような性質を持っていると思います。

つまり、自分の核たる信念をもっていたり、核たる自信があったりということです。根拠がある人もいれば、ない人もいるでしょうが、少なくとも私は、信念を曲げる事なく19歳に抱いた夢を今も追いかけているというわけです。

このようにして、浪人生になって初めて直面した「勉強をする理由」を考える為に自分と向き合った結果。私は「起業家になるんだ!」という「夢」を見つけました。

しかし、それは本当の本当に夢の欠片という表現がぴったりとくる小さな一歩でした。その夢の欠片は就職して社会人になり、経営について勉強し、本を読み、南米を旅して、パラグアイで偶然とも呼べる出会いがあって、骨組みが組まれて肉付けされました。

人生を変える出会いと言うのは行動していればいつかは、誰にでもやってくるものなのかもしれません。私自身、この選択が正しいか正しくないかはまだわかりません。けれど後悔しない人生なのは間違いないでしょう。

これまで書いたお話は、もちろん私の実体験。小説ではありません。幼少期から、高校生、大学生、社会人、そしてボリビアからパラグアイへ。人の人生に降りかかる出来事は偶然であり、必然なのかもしれません。しかし、皆さんも覚えておいてください。私は特別な人ではありません。自分の夢に向かって一歩を踏み出せば、きっとあなたにも起こりうることなのです。

続く

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松田 秀篤
2000年、高校卒業後、私立専修大学に入学、会計学を学ぶ。その後、人材育成を主な目的とする経営コンサルティング会社、ビジネスコンサルタントに営業として入社。行動心理学、経営学、マーケティングなど「ヒトや組織」について学ぶ。リーマンショックをきっかけに同社を退職後、かねてから夢見ていた起業をに向けて動き出す新天地パラグアイにて翻訳、ライター、立ち上げコンサル業などを行う。現在は、組織の土台作りに奮闘中。

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