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2016年09月26日(月)

名刺を配りまくるだけじゃダメ?賢人に学ぶ人脈術

経営ハッカー編集部
名刺を配りまくるだけじゃダメ?賢人に学ぶ人脈術

pixta_18811724_s こんにちは。安齋(あんざい)慎平と申します。普段はとあるメディア(Web、フリーペーパー)の編集長を務めております。ブロガー歴は12年です。

さて、ビジネスをスケールする上で、外部とのつながりは非常に重要です。人脈を広げることは、経営者・個人事業主にとって必要なことです。特にスタートアップ期には、多くの方からの支援が必要になってくるでしょう。私は(経営者ではないものの)メディアを運営する立場上、人脈に助けられながら日々仕事を進めています。

人脈を広げるというと、異業種交流会に足繁く通って名刺を交換&ばら撒くイメージがあります。しかし、それはあまり意味がありません。異業種交流会でたくさんの人に会って名刺交換をしたにも関わらず、その後の付き合いに繋がったという経験は……あまりない方が多いのではないでしょうか。一流の人は名刺交換をばら撒くようなことはしません。

一流の人の人脈術について調べてみた

ネットにこんな記事がありました。

一流の人は絶対しない!間違った人脈づくりの発想』(ダイヤモンドオンライン)

この記事にもある通り、一流の人は人脈を作るマインドが根本から異なるようです。私たちはつい「この人に会いたい」「この人とつながりたい」と思って名刺交換しがちです。しかし、一流の人は「会いたいと思ってもらえる人になる」ことに時間とエネルギーを費やします。「相手に会いたい」という立場から「会いたい」と思ってもらえる立場になるという、発想の転換が必要になるのです。

人脈に関する一流の人の基本的な考え方を学んだところで、今度は経営者の人脈術に関する名言を見ていくことにしましょう。カリスマバイヤーであった故・藤巻幸夫さんは、「金を稼ぐのではなく人を稼げ!」といっています(カリスマバイヤー&経営者 藤巻幸夫さんの「人脈仕入術」)。人脈づくりのためには時間もお金も手間も惜しまない、藤巻さんの姿勢が伝わってきます。

「ときどき起業家志望の人に、『起業のためには人脈が必要だと思うんですがどうしたらいいんですか?』なんて聞かれることもあるけれど、そういう人には人脈は目的じゃなくて、結果だよというようにしています」と言っているのは、VOYAGE GROUPの宇佐美進典氏(「抜擢される人の人脈力」)。人脈を広げようとしているときは、どうしても人脈が目的になってしまいがち。人脈は良い仕事をした結果としてついてくるものだということを肝に銘じたいものです。

ファーストリテイリング創業者の柳井正氏は『プロフェッショナルマネジャー』という書籍の巻末コメントにおいて、次のようなことを言っています。

「”人脈”といっても、その人が自分を信頼していてくれるという状況にならない限り、人脈があるとはいえない。人脈をつくるには、自分の本業に専念することで信頼してもらうしかない。本業で結果を出せば、全然知らない人でも、訪ねれば会ってくれるし、どんな質問にも答えてくれるものだ」(柳井正『私も多くの失敗から学び、経験し、そしてようやく一勝を挙げた。』|インクワイアリー)。

人脈についてあれこれ考える前に、まずは自分の仕事(=本業)に集中することが大切なのでしょう。本業で信頼を勝ち取ることができれば、人のつながりは自然と広がっていくのだと思われます。

筆者の人脈術

筆者は現在、編集長として@人事というメディアを担当しています。私の媒体では、NewsPicksの佐々木編集長(元・東洋経済オンライン編集長)やライフネット生命の出口治明氏など、これまで各業界の著名人や有名人に寄稿をお願いしてきました。多くの著名人・有名人を起用するために、どのように人脈を広げてきたのか? ここからは私の体験談をもとにお話いたします。

大学時代の筆者

私は大学時代を仙台で過ごしました。しかし、学生の身分ではあるものの、仙台にいながらにして東京の方とのつながりを構築していました。なぜ地方に住んでいながら、東京の人脈を広げることができたのか? それは、私自身が全国規模の学生団体(NPO法人ドットジェイピー)に所属していたからです。ドットジェイピーは、主に「議員インターン(学生が、国会議員や県議会・市議会議員などの下でインターンをするプログラム)」を運営する団体です。

ドットジェイピーは、北は北海道から南は九州まで日本全国に支部を持つ団体でした。普段は支部ごとに活動していますが、半年に一回、全国の学生が東京に集まる「全社会」というイベントがありました。ここでは半期ごとのMVPを発表します。半年間、活動を頑張ってきた同志がここでお互いを褒め称える、そんな場でした。熱い想いを持った仲間が集まっているのですから、自然と人のつながりの輪は広がっていきます。

この他にも、大学4年の頃に就活支援団体を立ち上げるなど、大学時代は多くの組織に参画しました。お陰で大学時代からたくさんの「生きた」人脈(単なる付き合いではなく、信頼で結ばれた人脈のこと)を構築することができたのです。

社会人時代に経験した「異業種交流会の異様さ」

これまで同世代のつながりしか無かった私でしたが、社会人になり、これまで以上に人脈を拡大するチャンスに恵まれます。社会人1~2年目の頃は、ちょうどTwitterやFacebookが人気になり始めた時期。異業種交流会へのお誘いもたくさん届くようになりました。会社外のつながりを求めて、私も頻繁にイベントに参加するようになりました。

始めのうちはたくさんの人に出会い、楽しくイベントに参加していたのですが、次第に異業種交流会自体に”異様さ”を感じるようになりました。目が合ったら「名刺交換しませんか」と話して来る人や、「一緒に何かビジネスができると良いですね」と急に打ち解けようとしてくる人などなど。初対面なのにグイグイ迫ってくる人の多さに呆気に取られてしまいました。

しかも「何か一緒にやりましょう」と言った人に限ってその後何の連絡も無いという…。必死で名刺を配りまくる人や人脈を広げたいのか婚活のために来ているのかわからない人を目にした私は、次第に異業種交流会に参加するのをやめてしまいました。

いま考えてみると、異業種交流会のあの異様さの原因は「自分のテリトリーに勝手に土足で入ってくる」ことにあるのではないかと思います。もちろんイベントの目的が「人脈拡大」にあるのですから、積極的に交流することに間違いはありません。しかし、相手のことを考えずに趣味の話などプライベートな質問まで聞いてきて、ズケズケと足を踏み入れてくるのは、やはり不快な気持ちになってしまいます。自分も相手に不快な気持ちを与えていたかもしれないと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

どうやって有名人とのパイプを持つことができたのか

異業種交流会で人脈を広げるのを諦めた私は、別の方法で人脈を広げるようになります。

まず、自分の中で「私(安齋)と繋がることでどんなメリットがあるのか」を明らかにすることから始めました。これがしっかりと文章化されていないと、せっかく人とつながるチャンスを得られても、単なる知り合いで終わってしまうことでしょう。時間を見つけて「自分の(知識経験等の)長所」、「他者に貢献できるスキル」を棚卸ししておくことをオススメします。

そして著名人のFacebookに直接メッセージを送ります。その方と友達になっていなくても、メッセージを送るのです。私の場合は、記事執筆のお願いを直接Facebookメッセージで送っていました(「メッセージリクエスト」に入ってしまいますが…)。

Facebookのメッセージを直接送る行為は若者だけに許されるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、丁寧な文章で常識的な時間(平日の日中など)に送れば問題ないと思います。現に、私自身も30代です。

返信が無くても良いのです。断られても良いのです。とにかくメッセージを送りまくること。諦めずに送り続ければ、何人かの方が反応してくださり、正式にFacebookの「友達」になることができます。丁寧なメッセージを心がけているおかげで、今まで怒られたり、トラブルになったりしたことは一度もありません。大事なのは「大胆さ」と「度胸」(プラス「常識」)です。どんなビックネームの方でも、怯まず恐れずとにかくメッセージを送ってみることが大切です。

基本はシャイな性格

以上、今までの私の人脈術について書いてきました。

「もともとコニュニケーションスキルが高いから成功したのでは?」とか、「対人能力がない人には人脈を作るのは難しいのでは…」と思う方もいるかもしれません。しかし、私は基本的にはシャイな性格です。人と話すのはむしろ苦手なほうで、極力は人と話さないで生活したいと思っている人間です。

そんな奥手な人間がなぜ交流関係を広めることができたのか。それは、人との付き合いに苦労してきたからこそ、その劣等感をパワーにして「なにくそ!」の精神で自分を変えたいと思ったからです。人との付き合いが広まらなければ、同じ仲間内での付き合いに留まってしまい、視野を広げることはできません。視野を広めなければ、自分の成長はない。そう思った私は、苦手意識を持ちながらも、少しずつアクションを起こすようになり、自分の交流の幅を広げてきました。自分を変えたいという気持ちは、苦手意識を凌駕すると信じています。

まとめ

今では、私とつながりたいと思ってくれる方も増えてきました。SNSを介して1000人以上の方とお会いしましたが、なかでも「この人はすごいな」と思ったのが、手紙を送って下さった方です。

SNS全盛の今、便箋でメッセージを送ってきて下さったのには驚きました。その丁寧な心配りに、「会ってみたいな」と私は心から思ったのでした(その後、その方とは実際にお会いし、今でも交流が続いています)。。手紙でのコミュニケーションが軽視されがちな今だからこそ、あえて手紙を送るというのも、相手の心を動かすのだと実感しました。その手紙は今でも大切に保管しています。

以上、今回は人脈術について掘り下げてみました。この記事を読んだ全ての人のお役に立つことができれば幸いです。

安齋 慎平
仙台在住。ライフハッカー[日本版]、ギズモード・ジャパン、Facebook navi、LIGブログなど様々な媒体で執筆。最近では内閣府広報「Highlighting JAPAN」にて記事を担当した。好きなことは散歩(街歩き)、テレビ鑑賞など。ビールをこよなく愛する。
@人事」編集長

人事労務freee

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