現金出納帳が不要な理由~起業したての社長の為の経理業務の効率化~
現金出納帳が不要な理由~起業したての社長の為の経理業務の効率化~
志を持って起業したものの、やりたかった本業以外の関節業務が多過ぎて煩わしさを感じている方も多いのでは無いでしょうか?そこで、皆さん共通で発生する経理業務のお話です。日々の業務で発生する細かい経費はどうされていますか?会社の金庫を用意して、現金を入れて、使う時はそこから出して、現金出納帳に記入していますか?
実は、会社の現金を社長が管理している以上、現金出納帳は必要無いってご存知でしたか?こちらを読んで、関節業務の効率化を検討してみては如何でしょうか。
[目次] ■1)現金支払の管理方法~結論~ ■2)現金出納帳の必要性 ■3)注意点 ■4)まとめ
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■1)現金支払の管理方法~結論~
現金出納帳を使わない場合、入出金の管理はどうするのか、結論は「全て社長の立替金とすれば良い」のです。 文房具や居酒屋での交際費等、支出は全て一旦、社長がポケットマネーから支払い、領収書を溜めていきます。ある程度溜まったら、その領収書から、直接会計上に経費を計上して、同額を会社の社長に対する未払金として溜めていきます。 そして、ある程度溜まったら、会社の預金からその金額を引き出して、社長のポケットに戻せばOKです。
■2)現金出納帳の必要性
では何故、昔から現金出納帳を作りなさいと言う人が多いのでしょうか?現金出納帳を作成する目的は主に以下の2点です。
1)帳簿作成の根拠資料とする為
2)不正を防止する為
これを現代にあてはめると、どうでしょうか?
1)帳簿作成の根拠資料とする為
かつて今に比べて現金取引が多かった頃、支払の為には会社にそれなりの現金を用意しておく必要がありました。また、当然に売上も現金で受け取ることが多く、領収書や請求書が発行されないことも多かったのです。 この場合には、1日で多くの入出金があり、営業終了後に現金残高が合っていることを確認する為には、取引毎の入出金を記録しておく必要があったのです。
現在では、振込や引落による預金取引が主となり、領収書や請求書等の根拠資料が手元に残るようになりました。飲食店等の小売業を除くと、売上を現金で受け取る事も減り、小売業にはレジがあります。 従って、現在は過去とは取引慣習が変化しており、現金出納帳が無くても、預金通帳や領収書等、根拠資料となるものが十分にあるのです。
2)不正を防止する為
ここで言う不正とは、従業員による現金の着服、つまり、会社の現金を従業員が勝手に使ってしまうケースです。上述の通り、現金が大きく動いていた時にはこの可能性が高かったかもしれませんが、今は現金での取引をほとんど無しにすることだって可能です。従業員が会社の経費を立替えた場合には、領収書を持ってきてもらい、給料の振込時に合わせて振り込めば、従業員は会社の現金には一切触れることが無くなり、従って不正の機会が無くなるわけです。少額かつ単発的な従業員の立替金の場合には、社長が現金でその領収書を引き取ることでも足ります。
従って、現在では帳簿作成の根拠資料としては領収書等があり、振込がメインである為不正のリスクも下がった事から、現金出納帳を作成する意義は無くなったと言えるわけです。小売業等の現金売上がある方であっても、現在では簡単かつ安価なレジシステムが存在する為、そちらを用いれば現金出納帳と同じ役割を果たしてくれます。
■3)注意点
現金出納帳を使用しない場合には、以下の点に注意が必要です。
1)会社として保有する現金は常にゼロにすること。
会社の現金取引を社長の立替とする場合には、会計上、会社の現金はゼロとなっている必要があります。なぜならば、現金取引は全て社長経由という位置付けになるので、例えば預金から現金を引き出した場合には、社長の立替の精算と位置付けなければ、後に預金通帳から記帳を行う際に、何目的での引出しかを把握する必要が生し、経理が非常に煩雑になってしまうからです。
2)決算時には、社長の立替を精算すること
社長の立替中は、会計上の未払金(社長に対する)が大きくなってしまいます。これは、本来会社が支払うべき経費を社長が立て替えているだけですので、決算書上で財政状態を適切に表示する為には、会社の預金から精算を行って相殺する必要があります。また、未払金は負債ですので、融資申込時等に金融機関が見る自己資本比率が小さくなり、財務分析上でも不利になってしまいます。さらには、最悪の場合、会社と社長のお金が混同しているとみなされてしまう可能性も否定できませんので、決算日前には資金移動をして精算しておきましょう。
3)現金管理が社長の手を離れた場合
経理を含め、現金の管理を従業員に任せる場合、現金の入出金管理が必要になることが多くなります。これは、経理部の従業員に現金支払を立替えさせることは現実的では無く、毎回社長のポケットから仮払いしていたのでは業務が滞る為、会社に現金を保管して、そこから支払う必要が出てくる為です。この場合、現金の出入りが多く発生することと、上述の不正のリスクが発生する為、現金出納帳が必要となるのです。
■4)まとめ
以上になります。いかがでしょうか?細かい作業の積み重ねでバックオフィスは手間が多くなっています。また、最善の業務フローは、会社の成長に伴い変化します。成長に応じて随時見直しを行う事は大変ですが、各業務が必要とされている目的を捉えると、簡便化出来る作業と見直しが必要になるターニングポイントが見えてくるはずです。是非とも、業務フロー構築の際にお役立て頂けると幸いです。
TEXT = 林 寛之(会計士・税理士) クラウド経理部〜3時間相当分の費用で1ヵ月分の経理業務をアウトソーシング〜
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