経営ハッカー | 「経営 × テクノロジー」の最先端を切り拓くメディア
2014年12月10日(水)

あなたの会社はどうなる?選挙後の経済への影響の予測まとめ

経営ハッカー編集部
あなたの会社はどうなる?選挙後の経済への影響の予測まとめ

自民党が勝った場合の経済の動きを大予測!

経済 12月14日の衆議院総選挙の行方は、今のところ誰にもわからないにせよ、大方の予想は現与党の自民党の勝利に終わると見ています。であれば、「民意が自民党を選んだ」という結果になるので、自民党は現在保留案件になっている問題を進めるはずです。それらの政策のうち、経済に直接関わるものについて、どのような影響があるのかをまとめてみました。

[目次] ■1)法人減税でしわ寄せが中小企業に来る!? ■2)消費増税の行き先によっては倒産する企業が激増!? ■3)円安進行で中小企業が息切れする!?

■1)法人減税でしわ寄せが中小企業に来る!?

2014年6月に安倍政権が発表した「骨太の方針」で法人実効税率を数年間で20%台にまで低減するという目標が掲げられています。

現在の税率は約35%。少なくとも5%以上の減税です。財務省のデータによれば法人実効税率を1%下げるのに必要な穴埋め財源は約5000億円、20%台にまで引き下げるのには2.5兆円が必要だと言われています。

穴埋め財源は別として、法人税の引き下げなのだから、中小企業にはいい影響が出るんじゃないかと思われるかもしれません。しかしその逆です。というよりも現状を考えると、損をするのは中小企業だけなのです。

中小企業の7~8割は赤字経営だと言われます。経営者の方ならお分かりかと思いますが、現行法では赤字経営の場合は法人税はなしになっています。そのため法人税を納めているのは黒字企業だけ。つまり法人実効税率の引き下げの恩恵を受けるのは黒字経営のわずかな中小企業、そして大企業だけなのです。

そして政府はこの穴埋め財源の一部を「外形標準課税」の対象拡大によってまかなおうとしています。この課税方法は資本金1億円以上の赤字企業が対象でしたが、これを1億円以下の中小企業にも適応しようという動きになっています。これを実行に移し、法人税収に占める外形標準課税の割合を2分の1に広げると1.5%(7500億円)、8分の5に広げると2.3%(1.15兆円)まで法人実効税率を下げられるというのです。完全に大企業優先の法人税制改革に各中小企業団体は「断固反対」の姿勢を示しています。

※外形標準課税図表 外形標準課税図表

■2)消費増税の行き先によっては倒産する企業が激増!?

7~9月のGDPの一次速報による「マイナス成長」を受けて、本来2015年10月に予定されていた消費増税は、2017年4月まで1年半の延期をすることが発表されました。安倍首相はこの延期について、「2017年4月には景気の如何にかかわらず増税を実行する」という旨の発言をしています。

今年の4月から8%に引き上げられた消費税の影響はすでに各界に大きく出ているはずですが、これがさらに2%引き上げられると倒産する企業や、下手をすれば自殺をする経営者や労働者が急増するとさえ言われています。それもそのはずで、消費税が引き上げられたことで大企業は小売価格の高騰を防ぐために製造元の中小製造業に製品価格の引き下げを要求します。これに対して拒否できるほど実力があるところはまだいいのですが、そんなことをして契約を打ち切られるような企業は、この要求に従わざるを得ません。

しかし当然ながらその中小企業にも消費税の納税義務が発生します。すると「儲けは減るが税額は変わらない」という二重苦にさいなまれるのです。事実、平成20年度の税金滞納額の45.8%は消費税です。支払えない企業がそれだけ多いということですが、さらなる増税で消費税の取り立てに苦しむ経営者が増えるのは間違いありません。

■3)円安進行で中小企業が息切れする!?

日本の場合、【円安⇒景気上昇、円高⇒景気悪化】というのが学校でも教える原則です。これは日本の主要産業が輸出産業だからです。円安になればこれまで100円で売っていたものが、120円、150円と値上がりするわけですから、これがメインの事業だということは100兆円が120兆円、150兆円になるわけです。しかしこのような輸出で利益を出している企業の多くは大企業です。円安になると中小企業はどうなるのでしょう。

資源の乏しい日本では中小企業も加工品を取り扱うことが多くなっています。例えば、鉄を仕入れてそれを部品に加工して大手の製造業に納品する、といったビジネスです。しかしこの鉄の原料である鉄鉱石はどうしても輸入せざるを得ません。そこでネックになるのが円安です。円安になると10ドルで仕入れていたものが12ドル、15ドルになるので、仕入れ値はその分だけ上昇します。

この値上げ分をそのまま製品に転嫁できれば問題はありませんが、そうすると大企業は困ります。そこで「据え置きで頼む」と言うわけですが、そうなると困るのが中小企業。利ザヤがどんどん減っていきます。

【円安進行⇒大企業の景気上昇⇒中小企業の景気上昇】がこれまでの流れでした。しかし海外への生産拠点の移動が目立つ昨今においては、なかなか二つ目の「⇒」の段階に行かないのです。

■安倍政権の「成長戦略」は「(大企業の)成長戦略」

安倍政権の「成長戦略」は1と2を見てもわかるように大企業に特化しています。そのため円安は喜ぶべき事態。それを調整しようという発想はないでしょう。しかし日本の企業の99.7%を占める中小企業を追いつめれば結局は国ごと転覆せざるを得ません。 1にしても2と3にしても、中小企業への配慮がないままに政策が実行されれば取り返しのつかないことになるでしょう。

    関連する事例記事

    • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
      会社設立2020年08月19日経営ハッカー編集部

      【PR】C向け事業でリードを取る。オンリーワンを突き詰めるVCの投資の極意

    • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
      会社設立2019年12月11日経営ハッカー編集部

      4つの会社形態を徹底比較!株式会社と持分会社の違いや会社設立についてわかりやすく解説

    • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
      会社設立2019年12月11日経営ハッカー編集部

      資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説

    • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
      会社設立2019年09月18日経営ハッカー編集部

      会社設立のプロも戸惑うNPO法人設立のプロセスを初心者にもわかるよう解説

    • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
      会社設立2019年09月11日経営ハッカー編集部

      NPO法人とは?20の活動内容と法人設立のための費用・税金・給料などに関する基本知識まとめ

    関連記事一覧