決算報告書についてわかりやすく解説
会社では、毎年決算を行いますが、その最終的な手続きとして作成されるのが「決算報告書」と呼ばれる書類になります。今回は、会社の決算に不可欠な決算報告書について説明していきたいと思います。
1)決算報告書とは?
「決算報告書」とは、決算の最終手続として作成される書類を総括する用語であり、例えば、税務決算のみを行っている企業では、貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売費及び一般管理費内訳書、勘定科目内訳書、個別注記表等が決算報告書となります。決算報告書の書類は、決算後の株主総会で報告され、株主総会の承認を受ける必要があります。
2)決算報告書の開示義務
1.税務署への提出
決算報告書は、税務申告書に添付して税務署に提出する必要があります。
2.会社法に基づく決算公告
原則として、株式会社は定時株主総会の終結後に貸借対照表の公告が求められており、会社法上の大会社は損益計算書の公告も求められます(会社法第440条第1項)。
3.株主及び債権者への開示義務
会社法442項に基づき、株主及び債権者は、株式会社の営業時間内であればいつでも、計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書の開示を請求できます。
3)決算報告書を出す意味
1.金融機関の融資の判断材料になります。
企業が金融機関に融資申請すると、金融機関から必ず決算報告書の開示を求められます。金融機関は、提出した決算報告書の内容を判断のうえ、融資するかどうか検討します。
2.取引先の与信判断材料になります。
上場企業等の大手企業は取引を開始する際に与信調査をしますが、決算報告書の開示を求める場合が多く、決算報告書の内容が良いと、多額の与信を獲得でき、企業の成長に繋がります。
3.投資家の出資の判断材料になります。
株式会社が身内以外の外部から出資を募る場合、出資を検討している投資家から決算報告書の開示を求められます。投資家は、決算報告書の内容が良いと投資してくれる可能性が高まります。
4)まとめ
これまでみてきたように、決算報告書は開示義務があるだけでなく、内容が良い場合は積極的に金融機関、取引先、投資家等に開示していくことで、多額の取引や資金調達をすることができ会社の成長に繋がります。そのため、決算報告書は非常に重要な書類であることがわかるのではないでしょうか。