会社設立に必要な手続きを総まとめ
会社設立に立ちはだかる壁を乗り越える方法
自分の夢を叶える方法として「会社設立」を選んだ方、すでに個人事業として営んでいて会社設立のメリットに魅力を感じて「会社設立」を選んだ方に、まず立ちはだかる壁が「会社設立に必要な手続き」です。
この記事では、会社形態として一般的な「株式会社」の設立に必要な手続きについて説明します。
〈参考〉株式会社設立のメリット9つを、公認会計士に聞いてみた
1)外部の手続きの「前」にすること
会社設立の手続きでは、外部(公証人役場、法務局)に向けた手続きが必要ですが、その前にすることがあります。これは、設立した会社がしっかりと成長するための大事な手続きです。
「会社を設立するのはなぜなのか?」を考える
あなたが会社を設立する理由はなんでしょうか?
①「自分の夢を叶えたい!」 ②「事業規模をもっと大きくしたい!」 ③「税金の負担を減らしたい!」 ④「事業とプライベートをしっかりと分けたい!」 ⑤「築いてきた事業を自分が引退した後も残したい!!」
当てはまるものはありましたか?
先ほどの質問は、私が会社設立の依頼を受けた時に依頼者に質問する項目です。一般的に①〜③だけを考えている人が多いですが、④、⑤もしっかりと考えなければならない理由です。
なぜならば、一般的に個人事業者に比べ、株式会社は「信用力が高い」と言われていますが、その理由の一つに④のことが挙げられますし、⑤については、せっかく起業して従業員、取引先とともに築いてきた事業を将来、円滑に承継するため、という理由になります。
「設立する会社の名前」を決める
人が生まれた時に名前が付けられるのと同じように、設立する会社にも名前が必要です。このあと説明する「定款」で会社の名前を「商号」として定めたり、印鑑作成を依頼したりするため、名前は早めに決める必要があります。とはいうものの、子供と同じようにしっかりと、そしてじっくりと考える時間が必要でしょう。
「設立する会社の事業目的」を決める
会社の事業目的をしっかりと、じっくりと考える必要があります。「定款」で会社のルールをいろいろと定めますが、その中で会社の「事業目的」 について、分かりやすく具体的な表現で記載します。
定款に記載した事業目的について、会社設立登記の後で追加するときには、定款変更の手続きが必要となりますので、将来行う予定の事業についても定款に記載しておきましょう。
「設立する会社で使用する印鑑」を準備する
今後、会社として取引先との契約、請求書や領収書の発行、銀行口座の開設などで使用する印鑑を作ります。実は、会社設立の手続きで法務局に提出する資料でも使用しますので、「設立する会社で使用する印鑑」は会社設立前に必要です。
「設立に必要な費用」を準備する。
専門家に依頼せずに自分自身で設立する場合であっても、公証人役場、法務局に支払う費用として、最低でも約20万円が必要となりますので準備しましょう。 〈参考〉会社設立ガイド|かんたんに会社設立するための無料ガイド
2)定款を作成し、公証人役場で認証を受ける
株式会社は会社法に基づいて設立するので、会社法が定めるルールに従わなければなりません。
「目的」、「商号」、「本店の所在地」、「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」、「発起人の氏名又は名称及び住所」については、定款に絶対に記載します。記載しなければ、定款全体が無効となりますのでご注意ください。
定款の作成後、公証人役場で認証を受けますが、認証を受ける事前予約とともに、定款の内容について事前に確認してもらうため、FAX・メールなどで公証人役場担当者に送信します。
3)法務局に設立登記を申請する
定款認証を受けるだけでは会社設立の手続きは完了していません。法務局に設立登記を申請し、登記されたときに会社設立の手続きは全て完了します。中小企業として会社設立する一般的な「取締役会を設置しない株式会社の発起設立」の場合、設立申請時に必要な書類は、以下のとおりです。
・登記申請書 ・定款謄本 ・発起人の同意書 ・設立時代表取締役を選定したことを証する書面 ・設立時取締役の就任承諾書 ・印鑑証明書 ・本人確認証明書 ・払込みを証する書面
4)会社設立が完了した「後」にすること
上記3)の手続きまでで、会社設立は完了です。しかし、会社設立をしたことによってやらなければならない必要な手続きがあります。主なものは、以下のとおりです。
特に、最寄りの税務署に提出する「青色申告の承認申請書」は期限までに提出しなければ、税務のメリット(青色欠損金の繰越控除・繰戻還付、特別償却・特別控除、少額減価償却資産の取得原価の損金算入の特例など)が受けられませんのでご注意ください。
税金関連
社会保険、雇用保険関連
5)まとめ
せっかく設立した会社を継続的に成長させていくためには、「(1)外部の手続きの前にすること」の「会社を設立するのはなぜなのか?」について、じっくり考えていくことが、「会社設立」を選んだ方に、まず立ちはだかる壁であります。
一方で、「(2)定款を作成し、公証人役場で認証を受ける」、「(3)法務局に設立登記を申請する」、「(4)会社設立申請後にすること」は、事業を営む上で何度もすることでもないですし、形式的な手続きがほとんどですので、報酬は必要でありますが専門家に代行してもらい、「会社を設立するのはなぜなのか?」について、じっくり考えるための時間を確保することが良いかもしれません。