個人事業主と法人の違い | フリーランスの基礎知識
独立して一からスタートしようと考えた場合、働き方は大きく分けて、個人事業主になることと法人として登記を進めることの2種類になります。法人のほうが何となく信頼を得やすいというのは分かるかと思いますが、実はちょっとしたポイントでも個人事業主と法人では異なってくるもの。どちらが良いのかは、これから開業する会社の規模などによります。これから独立する場合、どのような違いがあるのか、3つのポイントから見てみましょう。
1)開業と廃業について
まず、個人事業主と法人の違いは開業と廃業の方法にあります。単純に開業や廃業のしやすさだけで見ると、個人事業主の方に軍配があがります。なぜなら、個人事業主は税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」という届出用紙を出すだけでこと足りるからです。内容もごく簡単で、名前や住所、屋号の他に事業の内容や専従者などを書き込むだけです。特にない場合は、屋号など書かなくても良いものもあります。特に難しい書式ではないため、誰でも個人事業主の届け出を出しやすいといえるでしょう。
次に法人の場合はどうでしょうか。法人の場合は、「登記」を行わなくてはなりません。登記というのは会社の情報を記載したもので、会社の役員の一覧などが掲載されています。さらに、登記の際は会社の基本的な決まりごとである定款も一緒に提出しなくてはなりません。この登記というのは、会社の登録、役員の変更、業務の変更、役員の抹消など項目によって、こと細かに書き方や使用する印鑑、提出する書類などが異なります。面倒な手続きなので、行政書士などに頼むのが一般的となっています。さらに、会社を新規で登録する場合は、全てを含め30万円ほどかかることもあります。このため、まずは個人事業主からスタートする人が多くなっています。
2)経理処理の方法の違い
個人事業主と法人では、会計処理の方法にも違いが見られます。個人事業主の場合は確定申告、法人の場合は決算となり、法人の決算の方が提出するものも多く、複雑です。そのため、確定申告は経営者自身が行うこともありますが、法人の決算の場合は外部の会計・税理士事務所に依頼することがほとんどとなります。
3)税金面から見る違い
所得における税金としては、個人事業主では所得税、法人では法人税が設けられています。特に所得税の場合、2016年1月に年収4000万円の項目が追加されることで、税率は所得によって5~45%まで引き上げられることに。一方法人税は、15~25.5%と所得税よりも税率は低めです。特にボーダーラインとなるのは所得900万円を超えたあたり。900万円までは所得税の税率23%ですが、900万円を超えると所得税は一気に33%まで引きあがります。
所得1000万円以上の見通しで、規模の大きい会社にしようとするのであれば、法人を選択した方がメリットがあるでしょう。他にも、赤字繰り越しや経費の面で、法人を選んだ方が得な場合があります。このように税金面でも違いが見られます。
まとめ
個人事業主や法人は同じ経営者であっても、税金面や形態に違いがあります。一つの目安として、会社の規模の大きさ、収入の大きさを目安にどちらを選択するか考えると良いでしょう。