退職したらまずやるべき「健康保険の切り替え」について解説
独立などで会社を退職する場合になったとき、様々な手続きを自力で行う必要が出てきます。抜け漏れなどがあると、必要なサービスが受けられなくなってしまうこともあるでしょう。一般的に、会社員は社会保険に加入してますが、退職のタイミングで国民健康保険に切り替える場合が多いでしょう。今回は、健康保険の切り替えについて紹介していきます。
1)社会保険と国民健康保険の違い
まず、社会保険と国民健康保険の違いについて解説します。社会保険は、会社員の方が、勤務先を経由して加入するもので、健康保険と厚生年金のことを指します。これに対して、個人事業主の場合は、国民健康保険と国民年金に加入するのが一般的です。ですから、退職した場合には、会社で加入していた健康保険の対象から外れてしまうため、国民健康保険への変更手続きをする必要があるのです。
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2)切り替えそのものは自動的に行われる
国民健康保険への切り替えそのものは、実は自動的に行われます。国民健康保険は社会保険制度に加入しない場合には必ず加入しなければならないという決まりがあるからです。ですから、退職をした場合、退職日の翌日にはもうすでに国民健康保険への切り替えが完了していることになります。
3)切り替えの手続きについて
国民健康保険へ切り替える場合は、社会保険の喪失日、つまり退職日の翌日以降に住んでいる市区町村の役所に行き、手続きを行う必要があります。会社を退職すると、その翌日に社会保険の健康保険の資格を失います。転職先がすでに決まっていて、退職翌日に就職するのであれば、社会保険資格を取得するので国民健康保険に加入する必要はありません。ただし、1日でもいずれの社会保険に属していない日があると、社会保険の切り替え手続きをおこない、国民健康保険に加入せねばなりません。
手続きには、身分証明者や印鑑などのほかに、退職が証明できる書類が必要になります。国民健康保険は各市町村が運営しており、住所のある市町村役場で加入手続きをします。退職が証明できる書類ですが、離職票や社会保険の資格を喪失したことを示す証明書などが挙げられます。さらに、手続きは退職した日から2週間以内におこないましょう。
また、手続きに退職したことが確認できる書類(離職届等)も求められます。国民健康保険に加入後、就職して社会保険の資格を取得したら脱退の手続きをおこなう必要があります。なお、加入時も脱退時も申請に必要な書類のほか、本人確認書類(免許証等)が必要となります。
4)任意継続に切り替える場合は
社会保険の資格がなくても、喪失日の前日まで60日以上の被保険者期間があり、喪失日から20日以内に申請をすると「任意継続被保険者」として仕事をしていたころとほぼ同様の保険給付を2年間にわたって受けられます。ただし、傷病手当金や出産手当金は、支給の対象外ではあります。
任意継続被保険者になると、2年間は国民健康保険への加入、もしくは健康保険の扶養者になるために資格を失うことは認められません。また、保険料を1日でも滞納してしまうと資格を失ってしまいます。
国民健康保険へ切り替えをするほかに、社会人時代に加入していた健康保険の任意継続に切り替えるという方法もあります。「協会けんぽ」の任意継続の場合、退職日から20日以内に手続きを行う必要がありますが、こちらは年金事務所にて、「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」などの書類の提出が必要になります。また、健康保険組合などの健康保険の場合は、それぞれ任意継続の仕方が違う場合があるので、問合せて確認しましょう。
任意継続と国民健康保険では内容に大きな差はなく、どちらが安いかは前職での収入や居住する市町村、扶養家族の人数で変わります。直近の収入や条件から保険料を算出し、比較検討されてはいかがでしょうか。
扶養家族がいる場合、切り替え手続きの際に注意が必要です。国民健康保険には「扶養」という概念がないので、家族の人数によって金額が大きく変わりえます。任意継続においては条件を満たせば、扶養家族として追加料金なしで保険証を作れます。
まとめ
退職をした場合、国民健康保険への切り替えを行うか、社会保険を継続させるのかの選択が必要になります。サービスなどはそれほど変わりがなく、支払う金額によって決めるのが妥当だといえますが、扶養している人数や収入などによって保険料はまちまちです。一度自分の保険料がどうなるのか確認して選択したほうが良いでしょう。