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2016年06月14日(火)

起業した!開業した!さて、法人口座はどこで、何個作るべき?

経営ハッカー編集部
起業した!開業した!さて、法人口座はどこで、何個作るべき?

法人口座

商取引に於いて、法人口座を持たない会社はありません。いずれかの銀行や信用金庫に口座を開設して、利用します。「現金取引」と言っても、銀行振り込みを利用する場合がほとんどですから、起業・事業と口座開設は切り離して考えることはできません。

起業した人が、経済の血液であるお金を動かすとき、無くてはならないものが、法人口座です。銀行や信用金庫で口座を開設する必要があります。金融機関と一口に言っても、それぞれに経営方針があり、取引先として選ぶ場合に一長一短があります。

ではその法人口座を作るとき、どの金融機関を選ぶと今後の事業がスムーズに進むでしょうか。

1)口座開設の手順について

起業を思い立ったとき、いつかは個人事業から抜け出て、株式会社にしたいと多くの人は思います。事業が順調に波に乗り、周囲からも認められてくると、よりその思いが強くなることでしょう。

会社設立時には、資本金の払い込みが必要になってきます。1円起業というものがもてはやされた時代もありましたが、事業の運営は1円で足りるというわけはないですので、会社の信用という意味でも、それなりの金額は用意しておきたいものです。

まず、税法上会社の資本金としてみなされるためには、公証人による定款の認証を受けることが必要です。定款の認証を受けた後に資本金の払い込みをします。会社としてまだ成立していないため、払い込みの口座は、発起人の個人口座を使うことになります。

その際、払い込み前の残高は0円にしておきましょう。払い込みの口座は、銀行もしくは信用金庫の口座になります。

ちょっと注意したいのがネット銀行です。ネット銀行には通帳がありませんので、払い込み証明書を作るときにひと手間多くかかってしまいます。通帳のある銀行か信用金庫の方が便利でしょう。

2)都市銀行での口座開設の特徴

いわゆるメガバンクに口座を設けると、取引先からの信用が得やすく人気です。しかし、人気の故でしょうか、銀行の規模が大きいからでしょうか、口座開設の審査も厳しいですし、口座が開設されてからも各種手数料が割高であったりします。

融資などは億単位の話しか受け付けてくれないことも多く、審査も金額に見合った厳しいものになります。メガバンクが、起業したばかりの小さな会社の方を向いていないのは事実です。

3)地方銀行での口座開設の特徴

地方銀行には地域経済発展のために貢献するという大義名分があります。そのため都市銀行に比べれば融資の相談にも乗ってくれやすく、取引先がその地域に多い人には使い勝手の良い銀行になります。事業が波に乗って来ると、地方銀行の口座を開設して、得意先の利便を図ることもできます。

さて、ややこしいことに地方銀行には、地方銀行と第二地方銀行があって、地域によっては双方がしのぎを削っています。それぞれの銀行に特有の体質を見極めて口座を開設するといいでしょう。

地方銀行と第二地方銀行を比較した場合、銀行の成り立ち方から言って、地方銀行の方は少々敷居が高い所が多いです。

4)信用金庫での口座開設の特徴

信用金庫は地域密着型の金融機関です。個人商店などをこまめに回って金融事業を行っています。地域の発展に貢献することを基本方針と謳っていることから、起業したばかりの事業主にも、こまめに対応してくれます。

信用金庫自体の取引先の規模があまり大きくないので、その分融資金額も小ぶりになりますが、事業規模が最初から大きい会社は少ないので、最初の口座開設の選択肢として、有力な候補になります。

5)ネット銀行での口座開設の特徴

近年はネット銀行もずいぶん市民権を得てきました。通帳がない、人件費が節約できるなどの理由から、各種手数料がずいぶん割安になっています。振込入金の通知などもメールを活用していて、利用する分に不自由はありません。

しかし、企業からすると、通帳がないことが逆に不便なことがあります。企業は帳簿類を紙面に残しておかなくてはいけないので、ネット銀行での取引はプリントアウトしておかなくてはいけないからです。払い込みの証明も同様に、払い込みの事実の部分をプリントアウトしなくてはなりません。その意味で少々使い勝手が悪いかもしれません。

しかし、ネット販売などを主な事業目的とした起業でしたら、顧客もネット銀行に馴染みが深いのと、顧客の住所地を選ばない利便性があります。

6)どこの銀行を選ぶと良い?

起業を考えている人のタイプにもよりますが、融資を受けるつもりはなく、「口座さえ開設できればよい」、「メガバンクの信用を借りたい」…という考えでしたら、メガバンクで構わないと思います。しかし、審査の厳しさは頭に入れておいた方が良いでしょう。

親切・こまめという点を考えたら、「一緒に考えてくれる」感のある信用金庫が最初のスタートにふさわしいのではと考えます。実際に事業を続けたときのちょっとした資金不足時に、一緒に考えているが故の迅速さも期待できます。

     

7)まとめ 口座はいくつ作ればいい?

個人的な考えを延べさせていただくと、口座は最初は一つで良いと思います。会社としての規模が大きくなってきたときに、できれば、現在の取引銀行の競合先にもう一つ作ると、融資などのときに自社に有利な方を選べます。銀行も営利企業ですので、競争の原理が働きます。

会社が大きくなってゆけば、自然と取引のない銀行の営業マンも訪ねてくるようになってきます。会社の事業内容が複数あるような場合は、事業内容ごとに取引銀行や口座を分けるのも賢い方法です。

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