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2016年06月22日(水)

中小企業診断士とはどのような資格なのか?中小企業診断士に聞いてみた

経営ハッカー編集部
中小企業診断士とはどのような資格なのか?中小企業診断士に聞いてみた

中小企業診断士

「中小企業診断士という資格を聞いたことはあるけど、実体はよくわからない」という人は多いのではないでしょうか。中小企業診断士の有資格者に、中小企業診断士とその業務内容についてわかりやすく教えてもらいました。

中小企業診断士って、そもそもどんな人?

中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。が、診断・助言と言われてもイマイチしっくりきませんよね。

個人的には、中小企業診断士ほど業務内容の説明をするのが難しい資格はないと思っています。なぜなら、国が認める唯一の「経営コンサルタント」としての国家資格であるものの、そもそも独占業務が存在しない資格だからです。ちなみに独占業務とは、公認会計士であれば「監査業務」、税理士であれば「税務業務」といった、その資格を持っていないと遂行できない業務のことです。

<参考記事> 税理士と公認会計士はどちらの試験が難しいですか? (税理士と公認会計士の違い)

そのため、中小企業診断士の業務は非常に幅広く、会社経営に携わるもの全般と考えていただいてよいでしょう。

中小企業診断士の試験制度は?できる業務は?

中小企業診断士を説明する上で、資格取得までの資格試験制度を説明したほうがイメージがつきやすいです。簡単に説明すると……

<一次試験>

会社経営に関わる幅広い知識(経営学、財務・会計、経営法務、経済学、運営管理、経営情報システム、中小企業政策)が問われるマークシート形式の筆記試験

<二次試験>

事例問題の課題解決を行う論述、その後に口述試験(面接)を受ける

<実務補習>

実際に中小企業を訪問して企業診断を行う実務補習 ※他にも資格取得の方法はありますが、最もオーソドックスなケースを案内しています。

これを全て通過した人が中小企業診断士となります。中小企業診断士とは、「会社経営に関わる幅広い知識を持ち、実際の中小企業の現場を知っている専門家」だと言えます。

中小企業診断士の仕事は、公的支援機関(中小企業診断協会、商工会議所など)から依頼される仕事と民間企業での仕事があります。具体的な業務内容は、セミナー・講演、企業に対する助言・指導・アドバイスといった経営相談、事業診断、事業計画策定、経営顧問など様々あります。

中小企業診断士の中には、経営コンサルタントとして独立する方もいますが、中小企業診断士の資格保有者の大半が企業に勤めている企業内診断士です。独立されている方の中には、公認会計士や税理士、社会保険労務士等の他の資格を共に保有されている方も多く、中小企業に対して様々なアプローチをしている方もいます。

中小企業診断士に相談するのって、どんなとき?

ざっくり言ってしまうと、「社長が誰かに相談したくなったとき」です。社長とは、会社において孤独な存在です。誰かに相談をしたくても、(内容的に)社員に相談できないことも多々あります。

そんな社長の心の拠り所となるのが、中小企業診断士なのです。金融機関の方や税理士さんがこの役割を担っていることも多いですが、さらに踏み込んだ経営の相談に乗れるのが中小企業診断士です。

中小企業を支援する立場である金融機関の方や税理士さんが、中小企業診断士の資格を保有されていらっしゃるケースが多いのは、こういった側面もあります。なお、中小企業診断士を見つけたい場合、商工会議所が開催する無料相談会が便利です。気軽に相談に乗ってくれます。

参考リンク:日本商工会議所 

どうやって自分のビジネスや課題にマッチした人を見つければいいの?

基本的に紹介経由です。中小企業診断士同士がつながりを持っているため、中小企業診断士に「この分野に詳しい方知りませんか?」と尋ねれば、希望する方を紹介してくださるものです。

中小企業診断士は独占業務がないこともあり、士業の中でも珍しく同じ資格保有者同士が協業することが多いのです。ITに詳しい中小企業診断士、海外展開に詳しい中小企業診断士、財務分野に詳しい中小企業診断士等、中小企業診断士には各々専門性があり、互いに補完しあって中小企業を支援しています。

中小企業診断士同士の紹介はごく普通のことであり、それぞれの専門性を理解しているため、企業にマッチした中小企業診断士を見つけることができます。

中小企業診断士を紹介する窓口としては、中小企業診断協会HPや中小企業庁が運営しているミラサポといったサイトがあります。

中小企業診断士が支援する「中小企業」の定義って?

中小企業診断士は、文字通り中小企業の支援を行います。中小企業基本法が定めている中小企業の定義ですが、資本金又は従業員が、次の業種ごとに定める額又は人数以下の会社又は個人になります。

  • 製造業その他:3億円 or 300人
  • 卸売業:1億円 or 100人
  • 小売業:5千万円 or 50人
  • サービス業:5千万円 or 100人

そのため、日本に存在する企業のうち約99.7%もが中小企業に該当します。上場しているような大企業以外は、ほぼ中小企業と思っていただいて構いません。(そもそも大企業にも企業内診断士がいるため、資格としての汎用性の高さは言わずもがなです)

中小企業診断士は、経営相談として設立前の方の相談に乗ることもありますし、創業100年を超える老舗企業をコンサルティングすることもあります。これから起業する方、起業はしたけど、まだ経営相談に乗ってもらったことがない方は、検討してはいかがでしょうか。

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