会計の専門家が体験した儲けるために役立つ会計の勉強方法~マネジメントゲームのススメ・後編~
懇親会とマネジメントゲームがどう結び付くの?
懇親会とマネジメントゲームを結びつけて考えることができますか。これが理解できないようでは起業家としてちょっと問題があります。でも、安心してください。その種明かしを後編で行います。どうぞ記事を楽しみにしてください。
他社の経営手法を取り入れるのは難しい
ひとつ質問です。尊敬できる経営者はいますか?
「松下幸之助」 「稲森和夫」 「スティーブン・ジョブス」
などいろいろな実績のある方の名前が思い浮かぶのではないのでしょうか。
尊敬する以上、少なくても経営手法や仕事術に関心があるはずです。もちろん、よいところをチョイスして経営に活かしている人もいることでしょう。
ところが、自社にすべて当てはまるわけではありません。ということは、一部分は参考になっても、経営全般に活かすことは難しいです。「本田宗一郎」と同じ経営手法をすぐに真似できますか。理由は尊敬する経営者の会社と条件が異なるからに他なりません。具体的な相違点次のとおりです。
- 業種・商慣習
- 事業規模
- 人材の質・能力
条件が違えば具体的な経営戦略は変わってきます。経営戦略とは自社の取るべき方向性のことです。現実は自社と同条件の会社は少ないので、意外と他社の経営手法を取り入れるのは簡単ではありません。
懇親会の翌日にマネジメントゲームで大勝ちした
他の人から経営手法を学ぶのにマネジメントゲームは最適です。実は2日間にわたる講義1日目の終了後に開かれる懇親会で実現可能です。実際に参加して、翌日のゲームでは1期から5期のうち4期で大勝ちすることができました。
何といってもマネジメントゲームは手元資金、人材の数、業種、商慣習(ルール)が同じケースが多いです。少なくても大企業と中小企業ほどの大きな差はありません。それでも、参加メンバーで業績がよい人と悪い人はハッキリ数字に表れます。偶然ではなく、ゲームで勝つはいつも同じ人です。懇親会ではもちろん参加どうしの経営手法が話題の中心です。商品・材料の仕入れにウェイトを置く人、設備投資に力を入れる人、顧客満足度や品質アップのために商品力アップを狙う人などバリエーションは豊富です。
私は研修1日目で3期まで赤字です。その成績を見た講師が懇親会への参加を勧めてくれました。テーブル席でマネジメントゲームに熟練した人がちょうど隣だったので、次のような質問をぶつけました。
「ゲーツに勝つコツを教えてください」
ストレートな表現で投げかけると反対に「あなたはどう思う?」と聞かれました。
私は「販売数量より価格を重視します」と答えます。 翌日の4期で実行した結果、大勝ちしました。具体的には設備投資・人材の増員などの供給能力より、顧客満足度と試験研究費に投資して商品力を高めます。販売数量は少ないが、高値で売れたので粗利益を稼ぐことができました。しかも、供給能力に必要な固定費を抑えられたので利益が多額です。
結局、懇親会ではマネジメントゲームに勝つコツを教えてもらえませんでした。むしろ、研修1日目の3期までの間に他の人の経営手法を学習して、質問に答えることにより自分で仮説を立て検証したのです。そのベースは会計データです。
ベンチマーキングが上手な起業家が優秀である
実は他の人の経営手法が学べるのは懇親会だけではありません。学ぶとはよいところを参考にするだけではなく、利用することも含まれます。
4期で勝った後にマネジメントゲームに、税理士の実行したことがとても経営に役立つ要素が含まれています。案の定、その人は5期で大勝ちしました。私と同じメンバーになると分かった瞬間、すぐにメンバー全員の自己資金や何に投資しているのかをチェックします。5期が終わったときに、価格重視の経営戦略が見破れたと悟りました。
マネジメントゲームでは経営資源が限られているので、まんべんなく投資することができません。私の場合は高い価格で売れますが、供給能力の低さが弱点でした。そのチェックした税理士は設備投資に力を入れて、数量勝負で挑みます。買い手がたくさんいたのに、私は売る商品・製品がなく機会損失は計り知れません。反対に税理士は売れるチャンスを見逃さずに、供給能力を活かして入札制度でも競争相手がなくたくさん納品することができました。経営手法は参考にするだけではなく、自社の経営に活かすものです。
会計こそ経営の土台である
「ヒト(人材マネジメント)・モノ(マーケティング)・カネ(会計)」が経営資源といわれますが、経営手法を視覚化できるのは会計だけです。実際に仮説を立て実行し、検証できたのは会計データを分析したことがきっかけでした。つまり、勘だけよりも数値を見た方が経営手法を改善するのに有効だといえます。
その中でもマネジメントゲームは同じ条件で他のメンバーと比較できる点が特徴です。現実の世界や本では、これほど客観的に経営手法を学べません。ぜひ、会計がマーケティングや人事マネジメント(顧客満足度)と密接に関係することを体感してください。
まとめ
全編を総括します。マネジメントゲームは経営シミュレーションゲームです。会計を疎かにする怖さを体感できます。たとえば、安易な値引きは自社の首を絞めるのは全編の利益感度分析で実証済みです。それが自己資金にまで連動していることが体感できます。そして何よりも、本で会計の知識を得るよりも楽しいので継続して勉強ができます。 まさに「継続は力なり」、「好きこそ物の上手なれ」という諺(ことわざ)が当てはまると思います。