派遣社員として起業の資金調達をしたお話
派遣社員は、単に非正規雇用社員というだけではありません。この制度は実は起業して間もない経営者にも利用できる制度なのです。昔で言う出稼ぎという考え方もできるのです。
なぜそのように思うのか、税理士事務所を開業する者の経験談を交えてお話いたします。
経営者、派遣社員になる
私は、税理士事務所を開業しています。しかし、最初から顧問先を沢山抱えているわけではありません。暇だと腐っている場合ではないのです。そこで考えたのが、週2回ぐらい働けるところはないかなということでした。
週5の正社員やパートでは開業した意味を為さず夢をあきらめてしまうことになります。派遣社員として週2回であれば、その時間だけきちんとその業務をこなし時給でお金を稼ぎ、その資金を事務所の経費、宣伝に回すという働き方を実践していました。経営者にも夢の実現のためにもそのような働き方もあることをお伝えしたかったのです。
知り合いの有名企業の取締役と話す機会があったとき、なんと私と同じ事を話していました。
「会社を設立したとき、資金繰りの関係もあり週3日派遣社員として働いていました。会社の事業もあり、週3日派遣会社にて働いて資金を確実に調達することは夢を叶えるうえで必要でした。週3日働くことによりお金の心配は省くことができ、他の曜日を全て事業に専念することができました」
いまでは、有名企業の取締役なので、まさかそんな時代があったとは知らず励みになりました。
こういう働き方ができるのが「派遣社員」のメリットです。
では、派遣社員のメリットは具体的に何か?
派遣社員は正社員として働くよりも休みや就業時間の融通が効き易く、色々な会社で経験を積む事ができます。また、何か自分の目標や事業をされている場合、会社員のように副業禁止規定等一切気にする必要がないこと。
派遣社員に対するニーズは圧倒的に高く、求人数が多いので、より自分の希望する条件に近いところを探し出せます。 働きたい期間や時間帯を決めて仕事を探すことができ、サービス残業はほとんど無いので計画は立てやすいです。さらに、自分の得意分野やキャリアを活かした業務に就けて、パートやアルバイトとして働くよりも給与水準が高いです。また、組織のしがらみや人間関係などに縛られにくいのもメリット。
要するに、収入も自己責任である以上、就業内容、副業もすべて自由ということです。 そして、何よりお金を稼ぐことができ本業の夢の実現のために用意できます。
税金はどう計算する?
複数の派遣先で働いている場合、正社員のように年末調整で終了というわけにはいきません。簡単に言えば、1月1日から12月31日までの一年間の収入をすべて合算する作業が確定申告で必要です。
確定申告の仕方を簡単に説明します。
- 派遣会社での、源泉徴収票を集めて、すべて「給与所得」にて合算する。源泉徴収票を紛失してしまった場合は、給与明細でも代用できるのできちんと保管しておく。
- 本業がある場合は、「事業所得」に収入と経費を計上し通常の決算書を作成する。
- 1.と2.を合算して、毎年税務署に確定申告をする。
社会保険は加入すべき?
個人事業をされている方であれば、国民健康保険となり両方に入る必要はありません。その場合、派遣社員での給与は税金(源泉所得税)以外、差引かれず手取り額が増えます。
派遣社員としてのみお仕事をされている方は、社会保険に加入する必要があります。手取額は減るものの、会社が2分の1負担してくれるわけなので、国民健康保険料よりもお得ということになります。(扶養の範囲であれば、社会保険に加入する必要はありません)
ここで、具体的に派遣社員の社会保険について簡単にお伝えしましょう。
健康保険、厚生年金保険、介護保険等の社会保険は、一週間の所定労働時間が通常の労働者(正社員)の概ね4分の3以上勤務し雇用期間が2ヶ月を超える、または2ヶ月を超えることが見込まれる場合には加入する必要があります。
雇用保険は、一週間の所定労働時間が20時間以上であれば入らなくではならず、給与から天引きされてしまうので要注意。なぜ要注意かと言いますと、経営者に関しては退職しても特に「失業保険」はもらえないので払っても余りメリットがないのが私見です。
まとめ
起業した経営者で、今度は事業が軌道に乗り社員もしくはパートを雇用したいと思うことがあるでしょう。
その際に、派遣社員を雇うことを頭にいれてもよいのではないでしょうか? 派遣社員を雇う際は、社会保険の負担は派遣会社です。ある程度、実務経験や知識がある人材を期間で区切って確保でき、繁忙期のみ等で済むので余剰人員を抱える必要が無いことがメリットです。