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2016年09月13日(火)

そのプロジェクト利益出てますか?プロジェクトをビックリ箱にしない採算管理

経営ハッカー編集部
そのプロジェクト利益出てますか?プロジェクトをビックリ箱にしない採算管理

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何らかのプロジェクトを進めていた際、フタを開けたらじつは赤字だった……という話は企業の大小を問わず色々な所で聞きます。もともと利益を出そうと思って始めたプロジェクトが「終わってみたら赤字でした」ではお話になりません。

プロジェクトを締めたら赤字、というプロジェクトをビックリ箱にしないためには、途中の採算管理が非常に重要となります。プロジェクトの採算管理と言うと、お高い業務用ソフトが必要というイメージもありますが、実はお手製のエクセルシートでも、最低限の採算管理は可能です。

プロジェクトの責任者であったり、経営層がそのプロジェクトの採算管理に少し気を配ることができれば、プロジェクトのビックリ箱化を防ぐことができます。

フタを開けたら赤字のプロジェクトって、けっこう存在します

あるプロジェクトを受ける際、戦略的に赤字で受ける場合は別として、基本的には黒字が見込めると考えて受注します。しかしながら、プロジェクトが終わって締めてみたら赤字だった・・・という事態は上場会社から個人事業まで、色々な所で話を聞きます。

プロジェクトが赤字で着地しても、「赤字になりそう」と事前に分かっての赤字であれば、まだ腹を括っているのでやむを得ない面があります。しかし最後の最後まで赤字か黒字かがはっきりせず、着地後にプロジェクトが赤字だったと判明するケースも頻発しています。

問題は、採算管理ができているかどうか。途中で赤字が見えていたら、何らかの手を打つか、腹を括るかしますが、ビックリ箱の場合は、箱を開けてみないと分からない、という恐ろしい世界です。

御社で走っているプロジェクトは問題ないですか?

採算管理の意識の大切さ

赤字になってしまったプロジェクト、何が一番問題かと言えば、最後に着地するまで赤字が分からなかった点。その途中でプロジェクトが赤字になりそう、と分かれば、最後の手段は撤退という手もあります。

ただし、多くの場合でプロジェクトの途中はブラックボックスのままで、最後はビックリ箱を開ける結果となっています。この問題は、プロジェクトの採算管理が全くできていない、という点に帰結します。

現場に採算管理を求めるのは難しい

プロジェクトを進めているのは現場なんだから、現場で何とかしろ、と言いたくなるのは人情ですが、現場ではまず採算管理は厳密にできません。現場は基本的に目の前のプロジェクトの作業をこなすので手が一杯で、プロジェクト全体を見回している余裕はありません。

よってプロジェクトの採算管理を行うべきは、社長であったり経営層。何度も受注プロジェクトの赤字で頭を抱えたことのあるSI会社(業界)の場合は、プロジェクトマネージャーという役職の方も存在しています。

SI会社や上場会社のように、採算管理の専門家を用意することは無理でも、一段上の立場の人間が採算管理の意識を持つことで、プロジェクトがビックリ箱になってしまった、という事態を防ぐことは十分可能です。

簡単な採算管理はエクセルでも可能

プロジェクトの採算管理と言うと、業務系の高額なソフトが必要、と言うイメージもありますが、求められているのは経理レベルで利用できる厳密な採算管理ではありません。よって手作りのエクセルシートでも、充分採算管理に使うことができます。

例えば以下のようなイメージとなります。

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業界やプロジェクトの内容によって修正の必要はありますが、大まかなフレームは上記で十分使えます。簿記2級の知識があれば、工業簿記で習った内容だ、とお気付きになるかもしれませんが、簿記2級の知識は、製造現場だけでなく、案外こういった所で利用できるものなんです。

上記のイメージの中で、売上は顧客から頂くものなので簡単に変わらないとして、問題は「変動費」の部分。「変動費」をどのような計算式で入れていくかは、そのプロジェクトの内容次第なので、若干頭を使う必要があります。人が中心のプロジェクトであれば人件費×日数、外注を使っての作業であれば、外注費×工数等、内容は様々となります。

ただし「変動費」の部分は、厳密に詳細を突き詰めないのであれば、数字化するのに手間がかかりません。社員の人件費は大よそ把握できますし、外注を利用の場合は費用が明確になります(ただし外注の場合、後から追加請求が来る可能性も加味する必要があります)。まずはプロジェクトの状況を把握するのが目的なので、詳細の部分にこだわりすぎると本末転倒になるのでご注意を。

このような形式で、手作りのエクセルシートでアバウトながらも採算管理をしておけば、プロジェクトを締めたら赤字だった、というビックリ箱化の多くを防ぐことができます、

正直、簡単すぎる仕組みで、何だこんなものか、と思われる方もおられるでしょうが、このレベルの採算管理もできていないケースは本当に多く存在しています。要は簡単な内容であれ、採算管理の意識付けをする、ということが一番大切となってきます。

まとめ:プロジェクトを正しく進行させるために

ビジネスにおいては、それまで予想していなかった“ビックリする事態”が発生することが、一番問題となります。そして様々なプロジェクトにおいて、順調に進んでいると思ったら、最後の最後に締めたら赤字でビックリ、という事態が頻繁に発生しています。

しかしながら、プロジェクトをあえてビックリ箱にする必要は全くなくて、きちんと箱の中身を見ながら進めていけば、問題ありませんし、問題が発生すれば途中でアラームは鳴らせます。そうさせないための仕組みが「採算管理」と言えます。

厳密な意味での採算管理は、専門的な学問領域でもあり、やり始めるとキリがありあせん。しかし、そのプロジェクトが黒字なのか、赤字になりそうなのか、というのは、エクセルの簡単なシートでもおおよその把握はできます。

プロジェクトがビックリ箱化しないためにも、採算管理は早い段階から意識的に行い、赤字の芽は早期に摘んで、黒字でプロジェクトを着地させたいものです。

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