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2016年12月06日(火)

マイナンバーの個人番号が必要になる場面とは

経営ハッカー編集部
マイナンバーの個人番号が必要になる場面とは

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マイナンバーの個人番号は国民それぞれに付されています。「なんでマイナンバー制度が始まったの?」、「マイナンバーはもらったものの、それがいつ、どういう場面で必要なのかが分からない」という方は多いのではないでしょうか。

今回は、マイナンバーの意義とマイナンバーが必要となる場面について解説します。

1.個人番号のそもそもの意義

マイナンバー制度は、住民票を有するすべての居住者に一人一つの番号(個人番号)を与え、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認する目的で創設されました。

行政システムは従来、「縦割り行政」と呼ばれるように、横の連携がほとんどなされていませんでした。そのため、給与額が社会保険の算定のものと税金計算で用いられるものとが異なっていたり、個人情報が社会保険におけるものと税におけるものとが異なっていたりしました。

かつての「消えた年金」問題でも、届出の名前が「『斎』藤」か「『齋』藤」か、といった文字の些細な違いにより発生した情報の管理問題だったのです。また、個人情報の確認作業においても、膨大なコストがかかっていました。

こういった事情から、文字ではなく数字による国民の個人情報管理システムとして個人番号が考案されたのでした。

2.マイナンバーが必要となる場面

マイナンバーは大きく分けて、個人に付される個人番号と、会社など組織の付される法人番号の二つがあります。マイナンバーが必要となるのは現時点では、税金、社会保障、医療、金融機関での手続きです。ここでは個人番号についてお伝えします。具体的には次のようになります。

(1)税金

税金でマイナンバーが必要となる場面は、源泉所得税関連を中心にあらゆる所得の届出、申告書、証明書に必要となります。なお、贈与税・相続税の申告書については、納税者側のプライバシー保護の観点から、記載不要となりました。主なものは次の通りです。

①年末調整 ・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:納税者本人(給与所得者)及び控除対象配偶者・扶養親族それぞれの個人番号 ※平成29年1月1日以後については、給与等を支払う法人側がマイナンバーに関する帳簿などを保管している場合には記載不要 ※給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書、給与所得者の住宅借入金等当区別控除申告書については記載不要 ついては、給与等を支払う法人側がマイナンバーに関する帳簿などを保管している場合には不要

②確定申告書 ・第一表:納税者本人の個人番号 ・第二表:控除対象配偶者・扶養親族・事業専従者の個人番号 ※なお、2017年度税制改正では、これまで医療費控除に領収書の添付が必要だったのが、マイナンバー制度の活用により添付が不要になる見込みです。ただし、納税者自身による領主書保管は必要となります。

③届出関係:納税者本人の個人番号の記載 ・個人事業の開業・廃業等届出書:納税者本人の個人番号の記載 ・青色申告承認申請書:納税者本人の個人番号の記載が必要 ・青色事業専従者給与に関する届出(変更)書:納税者及び専従者それぞれの個人番号 ・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書:事業開設者本人の個人番号が必要 ※源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書や減価償却の届出書その他一定の書類については、法人のみ番号が必要で、個人事業主の場合には不要

④住民税 ・特別徴収にかかる給与所得者異動届出書(2017年1月1日以降) この他、退職所得や公的年金に関する書類についても個人番号の記載が必要となります。

(2)社会保障

社会保障関係については、特に入社・退社時、給付金請求時に必要となります。主なものは次の通りです。

【2017年1月以降必要になるもの】 ・健康保険厚生年金保険資格取得届、健康保険厚生年金保険資格喪失届 ・健康保険被扶養者届 ・国民年金第三号被保険者関係届

【2016年1月以降必要になるもの】 ・雇用保険被保険者資格取得届、雇用保険被保険者資格喪失届 ・高年齢雇用継続給付受給資格確認票、(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書 ・育児休業給付受給資格確認票、(初回)育児休業給付金支給申請書 ・介護休業給付金支給申請書 ・傷害補償給付支給請求書 ・遺族補償年金支給請求書 ・遺族補償年金・遺族年金転給等請求書 ・傷病の状態等に関する届 ・障害給付支給請求書 ・遺族年金支給請求書 ・年金たる保険給付の受給権者の住所・氏名・年金の払渡金融機関等変更届出書

(3)金融機関

2018年から銀行や証券会社などの金融機関での口座開設の際に、個人番号が必要とされる予定です。しかし実際には、口座開設時に個人番号の記載を要求してくる金融機関も2016年現在、存在しています。

3.今後の見通し

個人番号は今後、医療分野や災害対策分野においても活用されていく模様です。しかし、その一方、企業などといった組織での番号管理の負担や事務手続きの煩雑さ、そして漏洩に対する懸念が取りざたされています。政府・行政でも、こういった事情を鑑み、制度開始当初は、個人番号記載を税や社会保障などすべての書類に義務付ける予定でしたが、個人番号を記載した帳簿を保管することにより記載省略OKとするなど、一部緩和傾向にあります。

間違いや漏洩を防ぎつつ、行政システムが効率化し、国民の誰もが恩恵を享受できるマイナンバー制度となることを期待したいところです。

2000年、中央大学法学部法律学科卒業。12年に税理士登録。外国人の国内の起業支援経験あり。現在、会計や税金に関するWeb記事執筆を中心に活動している。税金や金銭、経済的DVに絡む心理についても独自に研究しセラピーを行う。共著に「海外資産の税金のキホン」(税務経理協会、信成国際税理士法人・著)がある。

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