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2017年02月09日(木)

好きが高じて趣味が仕事に! ~世界屈指の電気街AKIBAで自転車屋を開業した2人の趣味人~

経営ハッカー編集部
好きが高じて趣味が仕事に! ~世界屈指の電気街AKIBAで自転車屋を開業した2人の趣味人~

電気街として有名すぎる秋葉原。パソコンやガジェット、アニメ等、様々な文化が入り乱れるユニークな街にラモーンバイクスはあります。2016年4月に誕生したお店なので、創業して1年未満の新しいお店です。

自転車をもっと速く・楽しく・カッコよく」をモットーに、自由な発想でロードバイク・MTB・クロスバイクにピストとジャンルに囚われず、最高の一台を一緒に造り上げてくれる自由な雰囲気が特徴的。

代表の中塚さんと店長の村田さんに、2人でタッグを組んで起業を決意した経緯、感じた不安、開業のための準備等をお訊きしました。

IMG_8995※代表の中塚さん(左)と店長の村田さん(右)

――― どうして秋葉原で自転車ショップを?

秋葉原って電子部品、家電製品、アマチュア無線機、鉄道模型、パソコン、ジャンク品って感じのガジェットもあれば、音楽、車やバイクのカスタム、萌え系、アニメ・ゲーム・同人誌関連、さらには外国人や修学旅行生…等、何でもアリな街ですよね。

世界有数の電気街でありつつ、世界的な観光地。このサブカルの聖地的な空気といいますか、混沌としている雰囲気が好きで、「何をしても受け入れてくれる懐の深さが秋葉原にはある!」と勝手に思って、開業を決めたんです。

――― お店の雰囲気が不思議……最新エアロバイクの横にツーリング系クロモリが吊るされているし、ブランドも知る人ぞ知る的なマニアックなチョイス

代表の僕(中塚さん)はツーリング系に強く、店長(村田さん)はレース系の最新ロードバイクに詳しいので、二人の得意分野がブレンドされた結果ですね。ただ単に珍しいバイクを置いたってわけじゃなく、「広くは知られていないけど、実は素晴らしいブランド」を紹介したいので、結果的にマニアックなチョイスのように見えているかもしれないです。

――― 秋葉原で開業してみて、ビジネスは軌道に乗った?

2016年4月にオープンしてまだ1年も起っていない事もあり、まだまだ軌道に乗ったとは正直言えません。ですが、もともと「メンテナンスを依頼できる場所が無くて困っている方」や、「しっかりと拘りのあるバイクや部品を扱うと良いだろう」との予想はしていました。予想通りに修理等で持ち込まれる方にたくさんご来店いただいてます。

自転車って、メンテナンスが前提の機材です。買っておしまいではなく、消耗品は定期的に交換する必要があるし、数年に1回はオーバーホールしたほうがいい。面倒見ないとバイクは劣化してしまいます。ただ、自動車のようにな車検制度がないので、ほったらかしって人も多いんですよ。

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――― メンテナンスのことまで事前に考えて買う人は少数派ですかね

少数派でしょうね。自転車屋は都内だけで1,000店舗以上あるって言われてて、誰でも気軽に買えるのが良さ。でも、買ってから困るのも自転車でして。シンプルな設計なので、自力で簡単にメンテできるように見えますが、しっかりと調整できている人はあまりいない。くたびれてきたバイクの修理ができず、適当なお店も見当たらず、途方に暮れることがあるんです。

本来の性能が発揮されていないバイクの修理に困って、うちに訪れるとか、酷い場合は、気付いていなかったけど何となく消耗品の交換に来て、点検してみてから危険な状態に気付く…みたいなパターンですね。そういった”メンテナンス難民”的な方々の駆け込み寺にもなっているような気がします。

――― 修理や部品交換って、手間がかかる割りに儲けが出ないので嫌がるショップもありますよね

お店の方針によるので何が正しくて、何が間違っているかは何とも言えないですけど、僕は「お客さんが不憫だな」と。そういう自転車ユーザーさんのフォローもしっかりしていきたいなと開業前から考えていていました。自分も自転車乗りなので、何に困るかはよくわかります。なにより、スポーツバイクって買ってからの方が長いし、安全に楽しく乗るのが一番じゃないですか。全部自分でできる人ばかりじゃないですからね。

自分がユーザーだったときに欲しかったサービスを提供する、ラモーンバイクスはそういうお店にしようって決めていました。まだまだこれからですけどね。

――― 開業前にはどんな準備を?

開業前は自転車で海外を旅してました。一時帰国を差し引いたら、合計で1年くらいかな。

16586507_800372066783173_1072505203_o※中塚さんの装備がすごい!(アメリカ・モニュメントバレーにて)

なんとなく、好きな自転車を仕事にしたいって気持ちがありました。帰国後は経営に関することは自営業を営む実家を手伝いながら、自転車に関することはいくつかの自転車ショップの手伝いをして、修行を積みました。同時に開業資金も貯金しましたね。

「ツーリング系バイクメインのショップにしよう」って考えてはいたものの、それだけだとなにか物足りない気もして、いろんな知人に相談しました。で、そんなタイミングである知人に村田を紹介してもらったんです。

当時、彼とは軽い面識しかなく、まずは会って話をしてみたら……それぞれの想いがうまい具合に重なって、「いっしょに開業しよう」ってなりました(笑)。

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――― 面識があったとはいえ、他人と共同でビジネスって始めるって…思い切りましたね

いろんな運と縁がきれいにつながった結果ですかね…。人のつながりとは、どこでどう結びつくかわからないものだって思います。村田と僕の双方が次の仕事を模索していたタイミングで、目指している方向がたまたま同じだったのがラッキーでした。

さらに、得意分野がそれぞれ違っていたので、互いに補完しあえる関係性だったのも、一緒にやろうって踏み切れた要因です。

――― 開業前に心配したこと、不安だったことは?

最大の不安は、資金的なところですね。ところが、いざ始めてみたら意外になんとかなりました。資金以外の部分でも、事前の心配事のほとんどは杞憂に終わりました。案ずるより産むが易しでしたね…。

しいて言えば、開業資金をもうちょっと多めに確保しておけばよかったかな…くらい。なんとか自力で返済できる程度の借入金の範囲で、スモールに起業したので、そう思えているのかもしれないです。まあ、常に最悪の事態を想定して、安全マージンとって行動しようとする性格。なので、過剰に心配していただけですね。

それと、これは心構えの話ですが、仮に店をたたむことになったとしても、「今の日本にはえり好みしなければ何かしら仕事はあるし、食いっぱぐれることはないだろう」と腹をくくれていました。

――― 初年度で経営が軌道に乗った要因はどこにあると思います?

まず、コンパクトで身の丈に合った規模でスモールに開業したことが挙げられますかね。

もうひとつは、大手と同じことをやっていたらダメなので、大手がやらないことをする、差別化を図る…ですね。

取り扱うブランドもそうだし、細かなパーツにもこだわっています。サーリー、ニールプライド、KOGA、ロックバイクス、MBKといったブランドは、知っている人は知っているが、知らない人もまだ多い。でも、クオリティはがしっかりしている事と、それぞれのブランドの個性が強くストーリーがある。キャラクターが強いんですね。どれも自信をもってオススメできるものばかりです。

――― ラモーンバイクスの差別化ポイントについて、もうちょっと詳しく

自分たちが実際に使ったり、自転車業界のいろんなつながりを駆使して、生のインプレッションを聞いて、信頼のおける商品を勧めるのがこだわり。実際に自分がアメリカ横断したときに使っていたパンクしにくいタイヤとか、色々と試した結果たどり着いた愛用のウェアだとか、あとは仲の良い選手や一般ユーザー問わず話を聞いて、好評の多いアイテムをピックアップしたりも。

ぼくらはレーサーでは無いので、気になったアイテムを実際にJPT(Jプロツアー)選手に試してもらったりもしていますね。カタログの数値を拾い読みして勧めるのではなく、なるべく実体験に基づいてお伝えしています。中には、村田がセレクトした「面白いけどぜんぜん意味が無い」アイテムなんかもありますよ(笑)

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――― ところで、ラモーンバイクスの由来は?1974年結成のアメリカのパンク・ロックバンド、ラモーンズ (Ramones) に影響されて?

いえ、音楽はぜんぜん関係ないです(笑)。ホアキン・ロドリゲスが来日したとき、村田が日本観光をアテンドしたんですが、そのときホアキンに「MURATAって名前は発音しにくい。だからお前をラモーンと呼ぶ」って勝手にあだ名をつけられたのが由来でして。

――― ホアキン・ロドリゲスって、元カチューシャ所属で、今シーズンをもって現役を引退することを発表していて、グランツールでステージ通算14勝を飾っている37歳のベテランの、あのホアキン・ロドリゲス?

そうです。店の壁にも2015年のツールドフランスでユイの壁を制した時にチームが用意した山岳賞ジャージが飾ってありますよ。コレは、2度目の来日の際に焼き肉を食べに行った時にもらったそうです。

IMG_8978※ホアキン・ロドリゲスから贈呈された貴重なジャージ(村田さんに向けたメッセージ入り)

ホアキンなどエース級の選手は、開発も担っているので、オリジナルやワンオフのパーツを使っている事があります。こういったスペシャルアイテムやウェアなどは、性能や機能という面でも学ぶところが多い。カッコイイだけでなく商品選択の指標にも、カスタマイズの見本にもなりますね。この、むちゃくちゃ軽量で剛性の高い、カーボンで底が補強されたサドルなんかは良い例ですね。

IMG_8973※ホアキン・ロドリゲスが実際に使用したサドル。「プリト(小さな葉巻)」は彼の愛称

――― 開業前の不安は杞憂だったとのことですが、開業後に思い知らされた苦労は?

経理関係の業務です。経営者として数字の管理も重要な業務なので、サボってはいけないのはわかっているんですけど、本音はもっと本業に注力したい…ですね。freeeを使っているのでかなり助かっているのは間違いないです。ただ、今月が初の決算月なので、それを乗り切るのが大変。数字との格闘はまだしばらく続きそうです(苦笑)。

――― お店の認知はどうやってやっているんですか?

ウェブサイトとブログで情報発信しているのが功を奏しています。そのおかげで、検索経由で知っていただくことが増えました。あとは、Twitter、Facebook、インスタグラム等のソーシャルメディアも活用していますよ。リスティング広告を使うこともしましたが、それに頼らなくてもよさそうです。

――― では最後に…村田さんと中塚さんの関係って、なんて呼べばいいですか?共同経営者?共同創業者?

どうなんでしょう?そんな大げさな感じではないような。ビジネスパートナー…なのかな。その辺の関係性はハッキリ決まっていなくて、混とんとしたままでよしとします。秋葉原だけに(笑)。

――― ラモーンバイクスに幸あれ!

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店舗情報

人事労務freee

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