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2017年12月08日(金)

就業規則を作成するために必要な3つのコツ

経営ハッカー編集部
就業規則を作成するために必要な3つのコツ

社員が会社内で秩序を持って働くためのルールでもある就業規則。最近良く聞く「副業」についても会社としてのルール定めているのが就業規則となります。

ただ、会社としてのルールを決めれば良いというだけはなく、労働基準法で定められている範囲など外せないポイントもいくつかあります。ここでは就業規則を作るためのコツを3つ紹介します。

就業規則は何のためにあるのか?

常時10人以上の労働者を雇用する企業の場合、就業規則を作成する義務が発生します。作成した就業規則は労働基準監督署へ提出することが労働基準法により義務づけられているため、届け出を怠った場合は罰則が適用されます。そもそも就業規則とは、服務規律や待遇など、職場のルールを定めた契約書です。

こうしたルールは、社長や役員の頭の中にあるだけでは意味がありません。従業員に認識されていなければ、せっかく作成しても使い物にならなくなってしまいます。そのため、就業規則は労働者と雇用契約を結ぶ際、文書または口頭で内容を説明する必要があります。しかし、雇用期間が長くなれば、後に労働条件が変わる可能性があります。口頭で説明した場合は聞き違いや解釈の違いが起きることもあるでしょう。

雇用主と従業員の間に誤解や摩擦が生じることのないよう、就業規則は全従業員がいつでも見られる場所に掲示したり、規則を記載した書面を交付したりなどして、周知徹底しなければいけません。

もしも就業規則が定められていなかったら、サービス残業や長時間労働による過労死やうつ、セクハラ、パワハラなどのトラブルを助長してしまう危険もあります。従業員の間に企業に対する不信感が生まれれば、モチベーションや作業効率も次第に低下していくでしょう。最悪の場合、退職してしまう可能性もあります。

逆に、どれだけ従業員のことを考えて就業規則を見直したとしても、周知されていなければその制度はないに等しいと言えるでしょう。就業規則は職場環境を良くしたり従業員の労働意欲を高めたりするだけでなく、トラブルを防止するためにも必要なのです。

さらに、就業規則は一度作成すればそれで終わりというものではありません。経営状況の変化や法律の改定により、変更する必要が生じる場合があります。また、助成金を受給する際、申請時に就業規則の提出を求められるケースも多いです。助成金の利用を考えている企業であれば、従業員が10名未満であったとしても就業規則を作成しておくべきです。

ただし、助成金に合致した内容でなければ受給はできません。そのような場合、すでに就業規則を作成していたとしても、必要な内容を後から加筆する必要があります。

コツその1・まずは適用範囲を決める

就業規則は、インターネットからテンプレートをダウンロードすれば自分で作成できます。 しかし、十分な知識がないまま就業規則を作ってしまうと、労働基準法に違反する内容になってしまったり、助成金を受給するには不十分な内容に仕上がってしまったりするリスクがあります。このようなミスを避けるためにも、社会保険労務士に依頼したほうが無難です。

ただし、社労士に依頼すれば自動的に就業規則ができあがるというわけではありません。依頼する前に、企業側でもある程度準備を整えておく必要があります。

まずは、就業規則を適用する範囲を決めましょう。企業の規模や雇用システムによっては、正社員だけでなくパートタイマーやアルバイト、契約社員や嘱託社員など、さまざまな区分が存在します。就業規則は正社員用、パートタイマー用というように、区分ごとに作成する必要があるのです。

万が一、区分に関係なく、ひとつの就業規則を全社員に適用してしまったら、アルバイトやパートタイマーにも正社員の就業規則が適用されることになってしまいます。賞与や退職金、休暇の支給日数などの区別もなくなるので、雇用形態により差をつけたいと考えている企業側にとっては避けたい事態です。なぜ待遇が同じなのに雇用形態の区分されているのかと、従業員も混乱してしまいます。このような混乱をなくすためにも、就業規則を作成する際はまず社員の区分や定義を明確にしていきましょう。

コツその2・従業員の合意を得る

就業規則の内容は、社長や役員の独断で決められるものではありません。就業規則を作成したり内容を変更したりする際は、従業員の過半数代表者から意見を聞かなければいけないと労働基準法により定められています。

さらに、賃金や退職金の支給率を下げる等、従業員にとって労働条件の悪化につながるような内容を決定する場合は、意見を聞くだけでなく同意を得る必要があるのです。

万が一、同意を得ずに一方的に労働条件を変更したとしても、法的に認められなければ変更前の条件で給与を支払わなければいけません。訴訟などのトラブルのリスクを避けるためにも、就業規則を作成する際には必ず従業員の同意を得たうえで、記録に残しておきましょう。記録をおろそかにしてしまうと、社員から「同意していない」という申し出があった際に、提示する証拠がなくなってしまいます。

また、就業規則を作成する際には、同時に労働契約書も準備しておきましょう。就業規則の内容を十分に説明したうえで、従業員ひとりひとりに労働契約書を作成し契約を締結すれば、合意を得たという証拠になります。作成時だけでなく、就業規則の内容を大幅に変更する場合も、労働契約書を作成しておいたほうが安心です。会社の信用に関わる問題なので、くれぐれも慎重な対応を心がけてください。

コツその3・ハラスメント対策を考える

企業が考えなければいけないのは、給与や休暇などの待遇面だけではありません。ハラスメントを未然に防ぐための対策も求められています。企業のハラスメント対策は法律で定められているため、企業側がまったく対策をしていない状態で被害者に訴えられると、多額の損害賠償責任が問われる可能性があります。

ハラスメントは加害者に自覚がない場合も多く、対応が難しい問題です。就業規則でハラスメントが起きた場合の処分や罰則を定めると同時に、どのような行為がハラスメントにあたるのか、企業と従業員がともに知識をつける必要があります。自覚なく行われるハラスメントを防ぐために社員研修を実施し、積極的に教育を行っている企業もあります。

また、予防策だけでなく、ハラスメントが発生してしまった場合の対策や対処法についても決定しておくべきでしょう。被害者が相談しやすいように、第三者機関に依頼して相談窓口を設けるのもひとつの方法です。また、ハラスメントが発覚した場合、どのような定めにおいて処分を行うのかも明確にしておきましょう。

信頼できる社労士を選ぶポイントとは?

就業規則を作る準備が整ったら、いよいよ社労士に依頼をします。どのような基準で相談する社労士を選べば良いか…ですが、無料相談を受け付けている事務所もあるので、まずは電話やメール、ホームページの問い合わせフォームなどから問い合わせてみましょう。ホームページがあれば、経験年数や実績にも注目してください。

経験だけでは本当に信頼できるかは判断できないので、基準のひとつとして考えておきましょう。問い合わせ時の対応も、信頼できる社労士かを判断する大きなポイントです。料金がはっきりとわからないうちから契約を急かしてくるような場合は注意してください。

面談時には就業規則を作る目的や会社の状況などを確認されます。このときに親身になって話を聞いてくれるか、疑問や不安な点にもきちんと答えてくれるかなどもチェックしましょう。

また、助成金の受給を検討している場合は、その旨を忘れずに社労士へ伝えてください。助成金の申請には就業規則の提出が求められますが、支給要件を満たす内容でなければ支給されません。ただし、助成金についてはまったく取り扱っていない社労士もいるので、積極的に取り組んでくれる社労士を選びましょう。依頼後に後悔しないためにも、信頼できる社労士を慎重に見極めてください。

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