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2019年03月08日(金)

個人事業主が法人成りすべきか否かの判断ポイントは?

経営ハッカー編集部
個人事業主が法人成りすべきか否かの判断ポイントは?

個人事業主としてスタートしたけれど、途中から法人に変えことを検討している方も多いのではないでしょうか。ですが、個人事業主と法人は行っている事業が同じでも税金や社会からの見られ方の面で大きく異なります。

個人事業主が法人成りをすべきかどうかを判断するポイントと、個人事業主と法人成りのそれぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。 

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個人事業主/法人の行政的な観点からの違いは?

個人事業主と法人では、行政からの扱いとしてはどのように違うのでしょうか?まずは法人についてですが、法律に従って「株式会社」「有限会社」などの法人格を持っている組織のこととなります。法人格を持つと、契約や納税などは全て法人の区分けで行うこととなります。

一方、個人の場合はあくまで個人のままとなり、弁護士事務所や税理士事務所の責任者であっても、法人格を持っていなければ全て個人事業主となります。この場合契約や納税などは個人の区分けで行うこととなります。この区分けの違いにより、課される税金の種類や税率が異なってきます。

また、法人の場合守るべき法律や会計方法、手続きなどが個人の時に比べて簡易的でコストも抑えるため、今の事業であまり規模をかえずに運用することを重視している場合には個人事業主の方が比較的メリットが多い場合があります。

一方、責任の観点から見ると個人事業主は「無限責任」、法人成りをした事業主は「有限責任」となっています。万が一倒産した場合、個人事業主の場合は追っている負債を全て個人で賄う必要があり、時には個人の資産を処分してでも返済する必要があります。一方、法人の場合は事業と個人は別れているため、原則的には負債に対する責任を持ちません。たた、融資を受ける場合は連帯保証として事業主個人を求められることが多く、その場合は事実上個人が会社の負債の責任を持っていることになります。

個人事業主/法人の税務的な観点からの違いは?

個人事業主が法人化すべきか、それともあくまで個人事業主として事業を行っていくかの観点の1つに、税務的な観点からの違いがあります。大きく違いが出るのは、個人事業主での所得税と法人での法人税の部分ですが、どちらの形態を取るかによって、収めるべき税金の種類が異なってくるため、税金の種類についても説明します。

【個人事業主の場合】

納めるべき税金は大きく4つの種類となります。それぞれ「所得税」「住民税」「個人事業税」「消費税」となり、内容は下記の通りです。

所得税:

1年間での所得の大きさに対してかかる税金のことです。所得の金額によってそれぞれ税率が定められており、5%~45%とかなりの幅があります。

住民税:

1月1日の時点での住所の場所によって収める場所は変わりますが、住んでいる市町村に収める税金のことです。前年の所得の大きさに合わせて課税される「所得割」と自治体によって課税の大きさが異なる「均等割」の2つの合算となります。

個人事業税:

所得税や消費税とは全く別物として都道府県に対して収める税金となります。税金の金額は収入から必要経費・専従者給与・事業主控除などの控除引いたものに、税率をかけ合わせて金額となります。税率は営んでいる事業によって変わり、3%~5%となっています。

消費税:

サービスや物の取引の際に発生する税金で、現時点で8%になっています。

【法人化した場合】

法人化した場合も厳密にはかなりの種類の税金の種類がありますが、主に4つで「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「消費税」となります。 消費税は個人事業主での内容と同じになるため、それ以外については下記となります。

法人税:

法人税は国に収める「法人税」と地方に収める「地方法人税」があります。「法人税」については、会社の利益から損金を引いた金額を所得金額とした時、所得金額に法人税率をかけあわせたものとなります。税率については所得金額が800万以下の場合は15%、800万を超える場合は23.4%となっています。「地方法人税」については「法人税」の金額に4.4%をかけ合わせた金額となり、どちらも支払うことが必要となります。

法人事業税:

国ではなく自治体に納める税金となり、住所がある場所によって金額が異なります。計算方法としては所得金額に税率をかけ合わせた数値となります。税率は所得の大きさによって異なります。

法人住民税:

法人事業税と同じく、自治体に収める税金となるため住所によって金額が異なります。個人事業主の住民税と同じように所得割と均等割があります。 どちらの方が税金の面で得をするかについては様々な考え方がありますが、大きく違うのは個人事業主では所得税がかかり、法人では法人税がかかるという点です。所得税は所得の大きさに応じて課税される税率が変わってきますが、法人税の場合は一定の所得金額を超えると税率が一定になります。ただ、法人の場合は利益が出なかったとしても法人税の均等割の金額は課税されます。その点、個人事業主の場合利益がでなければ所得税の収めはありません。 また、経費として認められる範囲が違う点も大きな違いとなります。法人の場合の方が経費として認められる範囲が広く有利に働く場合があります。そのため、規模を拡大し売上・利益を上げていく想定で事業を行っている場合、法人にしておいた方が税金面で得になるケースがあります。現在自分が行っている事業は、どこまでの成長を視野にいれているのかで判断すると良いでしょう。

個人事業主/法人の信用面・手続き面の違いは?

法人と個人事業主では、取引先からすると信用面の違いも出てきます。個人事業主は法人と比べて開業するためのハードルが低い分、主に資金面において信用度が低くなりがちです。法人の場合取引先を選ぶ際に与信という考え方がありますが、個人を相手に取引をする場合一定の金額までしか取引をしない、もしくは個人とは取引をしないという考えの会社もあります。自分が行っている事業のジャンルと取引金額を考えた際、取引先の傾向としてどういった傾向が多いのかなどは事前に把握した上で決めた方が良いでしょう。 また、手続き面でも大きな違いがあります。個人事業主の場合、開業届けを提出していれば大きな手続きは無く事業を始めることができ、確定申告の手続き程度となります。一方、法人の場合、まず登記が必要となり6~25万円の費用も必要となります。また、定款の作成といった手続きも必要となります。事業運営している中でも守るべき法律も多く手続きも多いため、個人事業主と比べると手続き面の負担があると言えます。 税金面と手続き面を合わせて考えた場合、法人の場合は登記の際に手続き面が多少複雑で事業運営上の手続きも多いものの、利益を伸ばしてくことを考えれば税金面で有利に働く点が多い一方、個人事業主の場合は開業には手続きと費用の負担は少なく始めやすいものの、税金面で有利に働く点が少ないということとなります。

個人事業主/法人成りのメリットとデメリット

このように個人事業主と法人成りを見る観点によってメリットとデメリットが変わってきます。あらためてメリット・デメリットをまとめてみましょう。

法人成りのメリット

有限責任にできる: 法人と個人を分けて考えるため、負債を負った時の責任を有限にできます。ただ、事業主が連帯保証に入っている場合は実質無限責任になることもあります。事業を伸ばす場合、節税になる:事業での利益にもよりますが、ゆくゆくは事業を伸ばす予定がある場合、節税することができます。

信用力がある: 与信や基盤の安定面で個人事業主よりも信用力が増します。会社によっては法人でないと取引できないケースもあり大きなメリットとなります。

法人成りのデメリット

赤字でも税金がかかる: 法人住民税の均等割りのおよそ7万円が赤字であってもかかります。個人事業主の場合は利益がでなければ税負担はありません。

手続きの量が多く複雑: 登記に始まり事業運営上必要な手続きが多くあります。

個人事業主を継続するメリット

利益が出なければ税負担は無い: 赤字であれば所得税・住民税の負担が無いため、赤字の状態でも支払いが発生することを防げます。

手続きが簡単: 現状の事業のまま規模を変えずに運営していくのであれば、手続き面が少ないことは大きなメリットになります。

個人事業主を継続するデメリット

経費として計上できる項目が少ない: 法人に比べて経費として計上できる項目が少なくなります。例えば自宅の家賃ですが、個人事業主の場合は使用している割合に応じて経費として計上する形となります。一方法人の場合は契約を個人から法人に変え社宅とすれば、社宅として給与から引かれる分を経費として計上できます。

信用力が無い: 個人の場合はどうしても基盤の安定性の面で信用が落ちてしまいます。それにより取引できない会社も出てくる可能性があります。

メリット・デメリットと事業の将来を加味して判断を

個人事業主と法人成りには良い点も悪い点も両方があります。自分の事業を今後伸ばしていきたいのか、それとも維持できれば良いのかを考えて選ぶ必要があります。節税のメリットや信用度など全体を見ながら判断していくことが必要です。

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