【初めての法人口座開設】金融機関の審査も厳しくて審査が通らないことも……どれくらい早めに準備が必要?
会社を設立したら、法人口座の開設が必要ですが、各金融機関の審査も厳しく審査が通らなかったという事例が多いので、開設するための事前準備をご紹介します。
◾️目次◾️
- 法人口座は審査が厳しい(開設に要する時間の目安は2週間)
- 個人口座で代替運用するデメリット
- 法人口座は取引が増える前に準備が必要(今から準備が必要)
- 法人口座開設には事前準備が必要
- 法人口座開設で金融機関がチェックするポイント
法人口座は審査が厳しい(開設に要する時間の目安は2週間)
会社を設立したら、まず行いたいことの一つとして「法人口座の開設」があります。
初月から売上がなかったとしても、今後の取引を始める上で、早めに済ませておきたいものです。
なぜなら、法人口座は即開設というわけにはいかず、最低でも開設までに2週間程度はかかります。更に近年は、マネー・ローンダリングのような口座を悪用した行為等が多発しています。そのような行為の防止策として、金融機関の審査が非常に厳しくなっています。
また、多くの銀行へ申請をしたが開設に至らなかったという事例は多いです。
個人口座で代替運用するデメリット
法人口座がなければ会社経営ができないというわけではありません。ただし、個人口座のままでは金融機関は対法人取引とは見なしてくれないため、融資などで金融機関と交渉する際にデメリットになる可能性があります。
相手取引先が大手企業の場合、あるいはコンプライアンス上、個人事業主との取り引きを行っていない企業の場合、法人口座がないがために取り引きが行えない事態にもなりえます。
相手が個人事業主だと最初から認識してくれれば、個人口座である理由も含めてお付き合いいただけるかもしれませんが、相手が法人なのに個人口座に振り込みをすることには抵抗があるでしょう。「もしかして脱税……?」と訝しがられても不思議ではありません。
法人として経営をしているにもかかわらず、キャッシュの流れが個人口座しかない場合は、税務署に目をつけられても仕方がないでしょう。
「法人と個人は別人格である。」ということが法人設立の大前提です。そのため、個人口座でしかキャッシュがやり取りされていないということは、法人と個人を混同しているとみなされる可能性も大です。
法人口座は取引が増える前に準備が必要(今から準備が必要)
銀行口座開設準備って大変ですよね。会社設立後はやるべきことが多く、忙しい仕事の合間に開設の手続きをしなければならないので、なかなか時間が取れなくて開設が遅れてしまった、個人口座で運用していると言うお声を多く聞きます。
会社設立直後に法人口座の開設で手間取ってしまうと、先方との取引が進められず、事業の速度が思わぬところで鈍化してしまいます。せっかくのビジネスチャンスをこのような問題で失ってしまわないよう、できれば会社設立の手続きを始める前に口座開設を予定している銀行に連絡を取って、必要な書類や、その他注意事項をあらかじめ聞いておくようにしましょう。
法人口座開設には事前準備が必要
- 履歴事項全部証明書(会社謄本)
- 印鑑証明書
- 身分証明書
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 株主名簿
- ホームページ
- 事業計画書、パンフレット等、事業内容がわかる書類
履歴事項全部証明書(会社謄本)
会社の謄本と()内に記載してますが、会社謄本には、現在事項証明書、履歴事項証明書、閉鎖事項証明書というものがあります。そして、銀行が必要とする謄本としては、一番情報量の多い履歴事項証明書、中でも履歴事項全部証明書となります。
電話口で会社謄本と言われたら、履歴事項全部証明書を持っていけば問題ないでしょう。意点として、この履歴事項全部証明書は設立直後には取れません。設立からおよそ1週間は見ておいた方が良いでしょう。
事務処理の都合上、どうしても設立直後の発行というものが難しいようです。
ということで、実はこの履歴事項全部証明書の発行も含むと、設立から3週間程度は法人口座がない状態です。法務局へ会社設立登記に行く際、登記完了日が表示されていますので、しっかりメモしておくと良いでしょう。
およそ1週間後の日付が記載されているのではないかと思います。(場所によっては異なることもあり)
※履歴事項全部証明書の取得枚数
いちいち法務局へ出向くのも面倒ですますので、あらかじめ必要な枚数を取っておきましょう。法人口座の開設は複数同時申し込みをおすすめします。
銀行によってはコピーでも良い、というかコピーを取って原本を返してくれる所もありますが、3~5通程取得しておくことをお勧めします。
郵送で各銀行に申し込む可能性もありますし、新規取引先等に見せる可能性もありますので、そういった意味で余計に取得しておいても良いでしょう。
印鑑証明書
法務局へ行ったついでに印鑑証明書を取得しましょう。こちらも同様、いっぺんに各銀行に送る可能性があるなら、3~5通は必要になります。
法人設立届出書、青色申告の承認申請書
こういった書類は、設立から6ヶ月が経過していない等、まだ設立間もない会社が用意する書類です。ゆうちょ銀行や楽天銀行は必要としている書類です。
しかし、これらの書類も必要の有無関係なく提出した方が良いかもしれません。とは言え、「不要です」と断られたのに無理に提出する必要はありません。こちらの書類は必要でしょうかといった具合に提案してみてはいかがでしょうか。
株主名簿
株主名簿は、株主の人数や株券発行の有無に関わらず、会社法に基づき、全ての株式会社が設立時に作成しなければならない書類です。株式の相続や譲渡などがあった場合には、株主名簿の記載情報も適宜更新しなければなりません。もし、株主名簿の整備がなされていない場合には、会社法第976条に基づき、100万円以下の「過料」が科される可能性もあるため注意が必要です。
株主名簿は会社設立後2カ月以内に「法人設立届出書」を税務署に提出する場合や、法人口座の開設、株式会社等の登記申請をする場合に必要となります。なお、会社の登記申請をする際に、株主名簿(正確には「株主リスト」)が提出不要となるケースもあります。
株主名簿の法定様式はないため、事項が記入されていれば、独自のフォーマットで作成することができます。
- 株主の氏名・名称および住所
- 各株主が所有する株式数と株式の種類
- 各株主が株式を取得した日付
なお、株券不発行会社の場合には備考欄を設け、「株券不発行」と記載します。
ホームページ
事業内容を確認する上で金融機関側でのチェックが行いやすいと言う観点から必須かもしれません。今はわりと簡単に作れるようになりましたので、法人口座開設に向けて事前の準備をおすすめしています。
事業計画書、パンフレット等、事業内容がわかる書類
あった方が良いものとして挙げていますが、あらかじめ準備してあるのなら提出しましょう。事業の透明性が開設の近道です。
とある優しい銀行の担当者が「事業の内容がわかるものはありませんか」と訊いてくれたおかげで、書類を作成して無事開設に至ったという経緯も多いようです。どういった事業を行うかが決まっているなら、事前に作っておくべきです。
法人口座開設で金融機関がチェックするポイント
①事務所の場所
金融機関はどこで事業を営んでいるかを重視します。事務所が賃貸事務所であれば、賃貸契約書の提示を求められることも普通です。
バーチャルオフィスやそもそも登記場所が他の都道府県であるなど、事務所の住所がわかりにくい場合は、法人口座開設を断られる可能性があります。
②会社の事業目的
「あれもできるこれもできる」と定款に主業務以外の事業目的を多く書くと、金融機関に不信感を持たれてしまう場合があります。
重要なことは、金融機関に対して実業を明らかにすることです。そのため、営業資料や事業計画書、ホームページなど事業実態が明確にわかる資料を用意しておきましょう。
③資本金の額
会社法上では1円株式会社の設立は可能ですが、会社経営を行うには非現実的ですし、対外的な信用力も圧倒的に低いと思われてしまうようです。もちろん金融機関も例外ではなく、資本金の額が低すぎると法人口座開設を断られることがあります。
また、金融機関によっては「法人口座開設の資本金最低額が設定されている」場合もあるため、事前に確認しておくと良いかもしれません。最低でも100万円ほどご準備いただくのが開設に至りやすいようです。
④固定回線の有無
「固定回線なんてなくてもいいや~。携帯電話があるし」と一般家庭や個人事業主の考えで法人口座を申し込むと、断られる可能性が高くなるようです。法人口座開設で重要なことは、その会社がちゃんと存在していて実業を営んでいるかどうかです。
「固定回線の有無」が法人口座開設要件の1つに設定されている金融機関もあります。
法人口座開設の注意点やポイント、必要なものは、金融機関によって変わる場合があります。会社案内、ホームページ、事業計画書などの準備等で煩わしいかと思うかもしれません。
ただ、会社を設立し社長になるということは、ご自身で作られた会社が市場と取り引きを行うということなので、社会的な信用が大事です。
会社を設立して最初に金融機関へ事業内容のプレゼンや自分のプレゼンを第三者目線で見てもらえる素晴らしい機会をもらえたと、前向きに考えていただけたら幸いです。
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