アルバイト・パートの所得税と扶養控除についてわかりやすく解説

パートやアルバイトなどの収入がある夫や妻にとって「扶養」は働き方を左右する重要なポイントです。
今回は、扶養控除の基本や扶養の範囲内で働くための条件など、税と扶養についてわかりやすく解説していきます。
所得税と控除
所得税とは
税金に関する苦手意識があるならば、まずは所得税の基本知識から覚えていきましょう。
所得税とは、「収入」から「控除」や「経費」などの金額を差し引いた「所得」に税率をかけて計算した税金のことです。
時給980円で1日5時間、月に12日働いているAさんの場合、月の「収入」は以下のようになります。
時給980円×5時間×12日=収入58,800円
Aさんの収入58,800円から「控除」や「経費」を差し引いた金額がAさんの所得ということになります。
Aさんの年間所得を計算する際に収入から差し引かれる控除は「給与所得控除」「基礎控除」です。
扶養控除の要件
「扶養控除」の対象になるのは以下の要件を満たしている配偶者や子ども、両親をはじめ、兄弟姉妹などその他の親族も扶養親族の範囲に含まれます。
・12月31日時点の年齢が16歳以上
・生計を一にしている
・親族の年間の所得が合計38万円以下(給与以外の所得がないなら103万円以下)
・青色申告もしくは白色申告の事業専従者として給与を受けていない
生計を一にしているというのは、同居か別居かに関係なく家計を共にしているならば認められます。そのため、長期入院やひとり暮らしの学生の生活費、学費などを支払っているならば扶養親族扱いとなります。
年収は103万円以上になると扶養控除の対象から外れます。
特に気をつけたいのがアルバイトをしているひとり暮らしの学生の子どもです。
扶養控除について知らずに多くの金額を稼いでいることが後でわかり、扶養控除が受けられなくなるケースがあるので注意が必要です。
“扶養と一言で言いますが、奥様でしたら「控除対象配偶者」、お子様やご両親でしたら「控除対象扶養親族」と呼び名が分けられています。今回は奥様の場合を具体的に話を進めていきます。”
<引用元>経営ハッカー:アルバイト・パートの扶養控除についてわかりやすく解説
扶養控除のメリット
所得税103万円以内なら非課税
給与所得控除は最低65万円、基礎控除は38万円、これらを合計すると103万円です。
よく耳にする「103万円の壁」とはこのことで、この壁を越えなければ収入から控除を差し引くことで所得は0円となり、所得税は非課税となります。
配偶者控除が適用できる
配偶者の扶養に入っている夫や妻の年間収入が103万円以下ならば、配偶者の収入から「配偶者控除38万円」を差し引くことによって配偶者の納税額を減らすことができます
ただし、配偶者の収入が1,120万円以上になると控除額は段階的に減っていきます。
扶養の範囲内とは
年収103万円以下
夫もしくは妻の扶養の範囲内で働くということは、扶養内で働きたい人の年収を103万円以下におさえるということです。
働く本人は所得税が非課税で、配偶者は配偶者控除を満額適用することができます。
年収103万円以上でも配偶者特別控除がある
年収103万円から年収150万円までなら38万円の「配偶者特別控除」を受けることができるので、実質的には年収103万円の場合と同じ状況です。
年収150万円以上になると、年収201万円まで段階的に控除額が減っていくので、控除を受ける配偶者の所得税が高くなります。
住民税が非課税になるのは年収98万円以下
ただし、住民税の「均等割」は年収98万円、「所得割」は年収100万円を越えると課税対象となるため、年収103万円だとわずかながら住民税が課税されます。
もし所得税も住民税も非課税としたいなら、年収は98万円以内におさえる必要があるのです。
社会保険の「106万円の壁」に注意
混乱しやすいポイントなのが、「所得税の扶養の壁」と「社会保険の扶養の壁」は違うということです。
収入のない夫や妻は配偶者の扶養に入ることで社会保険料を支払う必要がなくなります。
収入があったとしても一定収入まではそのままですが、パートの勤務条件が社会保険の加入要件を満たしている場合は配偶者の扶養を抜けて社会保険に加入しなければなりません。
社会保険料の2つの収入の壁
年収130万円の壁
配偶者の社会保険の扶養に入るためには3つの条件をすべて満たしている必要があります。
・年収130万円以下で労働時間が正社員の3/4以下
・月収10万8,334円以下
・年収が配偶者の年収の半分以下
年収106万円の壁
労働時間が正社員の3/4以上もしくは以下の条件に該当する場合は社会保険に加入します。
・従業員数501名以上の会社に勤務
・従業員500人以下の会社に勤務し、社会保険加入についての労使合意がある
・週の労働時間が20時間以上
・月収88,000円以上
・雇用期間の見込みが1年以上
・学生ではない
“納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。”
<引用元>国税庁:扶養控除
まとめ
所得税、住民税、社会保険と、扶養の基準はいくつも存在するため、それぞれしっかり分けて理解しておく必要があります。
理解があいまいなまま働いていると、思いがけず扶養から外れてしまうこともあるので、自分がどの条件に当てはまるのかについてよく確認しておきましょう。