国民保険と社会保険の任意継続のどちらがお得?会社を辞める前に知っておきたいお金の話
退職する前にしっかり考えておきたい健康保険
会社を退職していざ自分で起業をしようという方も最近は増えているようです。いきなり起業するのではなく、まずは個人事業主ではじめてみて軌道に乗ってきたら法人化しようという方も多いのではないでしょうか。
このように意気揚々と退職して最初に気になるのは、自分自身の健康保険です。病気してしまって治療費がないという悲しい事態は避けたいものです。
会社を退職すると、これまで会社で加入してきた「社会保険」から「国民健康保険」に切り替わるのが一般的。しかし、国民健康保険に加入するのではなく、社会保険を「任意継続」させることもできるのをご存知だったでしょうか。
そこで気になるのがどちらがお得なのか、ということ。どうせ健康保険に加入するのであればお得な方を選びたいものです。ここでは一般的な考え方と、注意点を説明したいと思います。
1) 社会保険の任意継続制度とは?
保険制度には勤務先を通じて加入する「社会保険制度」と、市町村が運営する「国民健康保険制度」2つがあり、必ずどちらかに加入することが義務付けられています。
ここの中で「任意継続」とは、会社を退職したあとも国民健康保険に加入せず、社会保険に加入し続けることができる制度のこと。この任意継続は、退職した翌日から20日以内に健康保険組合窓口で任意継続の手続きをすれば、その後2年間加入できるものです。ちなみに2年経過後は、国民健康保険に加入することとなります。
2)「任意継続」と「国民健康保険」はどちらがお得か?
・任意継続の保険料
給与明細を手もとに用意してみてください。
給与明細の「控除」という箇所に「健康保険料」という項目があります。これを2倍したものが、ほぼ任意継続した場合の健康保険料になります。なぜ2倍するのかというと、会社員だった頃は健康保険料の半分を会社が負担していたため、退職してしまうと全額自分で支払う必要があるためです。
また任意継続による保険料には上限が設けられており、最大でも3万円程度になります。なお、この保険料は任意継続に加入している間は変わりません。
・国民健康保険の保険料
次に国民健康保険ですが、管轄は市区町村となっており、さらに市区町村ごとに保険料の計算方法がバラバラとなっています。では保険料はわからないかというとそうではなく、市区町村の国民健康保険の窓口に足を運び直接質問してみるか、市区町村によってはホームページで保険料のシミュレーションを行えるようになっている場合もあります。これを活用してみましょう。
ただし、注意点が1点だけあります。それは国民健康保険制度には「扶養」という概念がないということです。
社会保険では自分が加入していれば家族全員分の保険証が自分自身の保険料だけで発行されています。しかし、国民健康保険ではあくまでも一人一人に対して発行されるため、保険料も家族分だけかかってくることになります。配偶者、子供や扶養しなければならない両親がいる場合は、その分保険料が増えるため注意が必要になってきます。
3) まとめ
会社を退職した場合に加入できる保険制度には国民健康保険と、社会保険の任意継続と2種類あることがわかりました。またこれまでの2倍の保険料がかかる社会保険の任意継続の場合と、家族一人一人保険料がかかってくる国民健康保険の場合と計算方法も異なってきます。どちらがいいかは慎重に計算し、事前にシミュレーションする必要があります。
また社会保険の任意継続は、退職した翌日から20日以内に加入しないと二度と加入ができません。20日というと結構日数があるように感じますが、退職していろいろと動いているとあっという間に過ぎてしまうのもよくあることです。
退職してからあわてて国民健康保険と社会保険の任意継続のどちらを選ぶか考えるよりかは、退職前の余裕があるうちに自分なりに計算して慎重に考えておきたいものです。
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