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2020年08月07日(金)

「なんとなく」フリーランスで早7年 実績重ねプロフェッショナルに ライター・PRコンサルタント 井澤梓

経営ハッカー編集部
「なんとなく」フリーランスで早7年 実績重ねプロフェッショナルに  ライター・PRコンサルタント 井澤梓

会社員を経て2013年に独立し、現在はフリーランスのライター・PRコンサルタントとして活躍している井澤梓さん。独立後、未経験の領域にも挑戦しながら、持ち前のコミュニケーション力を生かして、着実に実績を積み上げています。バックオフィスにおいては、独立当初から会計freeeを使い、ご自身で経理作業を行いながら、請求書作成機能やレポート機能も有効活用されています。

今回、freee株式会社 個人事業部でマーケティングを担当する横手がインタビュアーとなり、井澤さんにフリーランスとして働き始めたきっかけや普段の働き方、経理業務など、フリーランスとしての本音について、お話をうかがいました。
 

なんとなく始めたフリーランス、「経験」のある仕事を軸に「好きな事」にも挑戦し事業領域を拡大

—— freee横手:まずは、フリーランスとして働きはじめたきっかけを教えてください。

井澤さん :実は、もともとフリーランスになろうと意気込んでいたわけではなかったんです。

新卒で金融機関に入社し、地方配属から東京に転勤になりました。もともと、スタートアップに転職したいと思っていてたまたま出会ったのが立ち上げフェーズのビズリーチです。そこで新規事業の立ち上げを営業として経験させてもらいました。もともと自分でなんでもやってみたいタイプだったので、大手とは全く違って知名度も会員もクライアントも何もない環境から開拓していく事業づくりはとても楽しかったです。

その後3年ほどして退職し、転職を考えてた時に、知り合いの会社を手伝ってと誘われ、とりあえずやってみることに。そのうちに、他の仕事の相談もいただくようになり、お金も回り始め「このまま生きていけるのでは?」という流れで、フリーランスになりました。なので、なろうとしてなったという感じではないです!

よく「フリーランスってどうやってなるんですか?」と聞かれますが、「会社を辞めてみたらなれるよ」といつも言ってます。なんとかなるよ、と(笑)。
 

—— もう一度転職する選択肢もあったと思いますが、フリーランスにした決め手はなんですか?

ちょっと迷いましたが、何かあってもどこかの会社に会社員で戻ることはできると思い、一度フリーランスとして働くことにしました。2、3年経過したころ、経済面でも働き方の面でも安定してきたので、そのままフリーランスとして本腰を入れることを決意しました。

—— はじめからPRコンサルタントやライターとしてお仕事を受けていたのですか?

最初に手伝い始めた会社では営業とか商品企画ですね。そのあと、もともと興味があったPRもやらせてもらうように。そこでPRのおもしろさに気付きました。フリーランスとしては営業よりもPRのほうが、案件の探しやすさやクライアントとの関わりやすさもあり、自分にもあっているように思ったので、経験も積んだところでPRを軸に働き始めました。

ライター業については、もともと書くことが好きだったのと、PRをやっている中で、取材される側だけでなく、取材する側の気持ちになれたらさらに成果があがるのではないかと思い、始めました。
 

—— ライティングのお仕事は未経験だったと思いますが、どのようにきっかけを掴んだのですか?

知り合いの会社のオウンドメディアでの執筆がスタートです。やりたいことを口に出してみるのは大事だなと思いましたね。お金がもらえるような文章が書けるとも思っていなかったのですが、いただいたお仕事が伝播して、次の仕事依頼がくるようになり、今は大手メディアでも書かせてもらえるようになりました。
 

—— 具体的に、どのように経験を積み上げていったのですか?

書く力は一部にしか過ぎません。準備や興味や聞く力の方が大事で、取材の場が盛り上がると気に入ってもらえたり、「ここまで聞き出してもらえたのは初めてだから別案件でもお願いしたい」と言われたりすることもあります。

PRとしてメディアの知り合いがもともと多かったので、声をかけていただくことも。また、SNSで手がけた仕事について発信するようにしているので、似たジャンルの媒体で書けば、ここでも書けるでしょう、という風につながっていきました。顔見知りからの仕事依頼であっても、きっかけはSNSということが多々あります。

誰もが知っている媒体での実績が出来た時は、信頼もつくし親も喜んでくれるし嬉しかったですね。ライターを名乗る人はたくさんいるので、実績やコミュニケーションで活動を広げていくことが重要です。
 

—— PR・ライティング以外に、フリーランスとして挑戦した領域はありますか?

営業をやっていたので、クライアントの提供するサービスを売りたくなっちゃいます(笑)。もともとPRでお手伝いしていた企業に代理店プログラムがあると聞いて契約し、営業したことも。導入事例のプレスリリースが書きやすくてよかったです。幅広いジャンルの個人や企業と接点があるので、せっかくなら多方面でハブになれたらと思っています。
 

—— 会社だと他の会社の商材を売るなどは、どうしてもハードルがあると思いますが、フリーランスだからこそ自由に取り組むことができるのですね。

一人で煮詰まりがちなフリーランス、新しい出会いを刺激に。

—— 会社員と比較したときに、フリーランスならではの悩みはありますか?

目的を持ちづらくなることですかね。クライアントの仕事に寄り添っていると、途中で「自分が本当にやりたいことはなんだろう」と思ったりします。
 

—— スタートアップのときは、その悩みはなかったのでしょうか?

毎日必死でしたからね。スタートアップは1から参加していたので、自分が関わった商品がかたちになったり、サイトの画面が変わったり、お客さんが増えたりと、ひとつひとつが自分ごととして受け止められます。

外部から関わるフリーランスだと、入り込みたくても限界もあるので、そこが悩みどころですね。
 

—— 働き方についてもお聞きします。普段はどんな環境でお仕事されているのですか。

フリーランスとして働き始めて気づいたのが、私、直角でないと仕事ができない(笑)。
 

—— 直角ですか(笑)。

家だとローテーブルなのですが、それだと集中できません。
 

—— 確かに、姿勢は大事ですよね。

家でもやろうと思えばできるんでしょうけど……。カフェや、お酒を飲みながら仕事することもあります。
 

—— 飲みながらですか!そのほうが集中できたり、リラックスできたりするのでしょうか。

楽しみながら仕事しているうちに、いつの間にか終わっている、なんてこともあります。
 

—— それはいいですね。飲みながら対応するのに適した仕事の種類はありますか。考える仕事は飲まないほうがいい、とか。

打ち合わせや飲みの場での会話の中でヒントをもらうことがあり、その合間でライティングすることで筆が進むことはあります。「今日は一日中書くぞ!」と意気込むよりも、仕事のジャンルを混在させたほうが、はかどるかもしれません。

どうしても煮詰まってしまうこともあるので、新しい出会いがよい循環になっている気がします。

経理業務はすべて自分で。収益レポートでモチベーション向上。

—— バックオフィスについても聞かせてください。

会計freeeは6、7年使っています。フリーランスになりたてのころ、経理作業や確定申告に苦労したのですが、どんどん楽になっていますね。
 

—— freeeの創業が2012年なので、だいぶ初期から使っていただいているのですね。使い始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

同じITのスタートアップ業界のサービスだったし、身近に感じていました。なんとなくフリーランスになり、続けるとも思っていなかったので、手軽に始められるものがよかったということも理由です。当時、そのほかの会計ソフトだと大掛かりな法人向けのイメージがありました。

—— 入力作業はどのように行っていますか?

最初の頃は、レシートをこまめに入力していました。時間はあるけれど、執筆など集中が必要な業務に向かう気になれないときに、無心でレシート入力することで、仕事をしている気分を保っていました(笑)。
 

—— その気持ち、すごくわかります。時間がもったいない感じをどれだけ心理的に減らせるかということですよね。

その方法で入力が追いつかなくなってきたので、やがて、レシートや領収書をためて、エクセル入力後に会計freeeにインポートするようになりました。最近は税理士へ依頼することも勧められますが、今のところ自力でできているのでしばらくはこのままでいるつもりです。
 

—— 会計freeeのスマートフォンアプリでは、日々のレシート情報が写真を撮るだけで簡単に取り込めます。定期的にアップデートを重ねているのですが、お使いになっていますか。

会計freeeと名刺管理アプリの入力を日課にしようと思っていた時期もありますが、挫折してしまいました。会計freeeのアプリも久々にチェックしてみようと思います。
 

—— どんどん進化しているのでぜひ。その他、よく使う機能はありますか?

請求書機能は、もはや、ないと無理です。手軽さもそうですが、会計freee内で請求書を発行すると、収益レポートに反映され、見える化されるのがいいですね。収益レポートは、ただ見ているだけではお金は増えないのに、つい見ちゃう(笑)。
 

—— 見える化できるとうれしいですよね。

フリーランスだと評価や査定がないので、収入は成長の一つの目安になります。確定申告が終わったときに、前年と比較して売上が増えていれば、自分を評価してあげようと思えますね。

—— これからフリーランスになろうとしている人にアドバイスをお願いしたいのですが、バックオフィス周りで何かありますか?

お金まわりのことを考えたくない、悩みたくないという人が多いと思います。なるべく考えずに無心で処理できるツールを使うと、時間がかからずいいですね。

あとは、交渉に見積もりをうまく使うことをおすすめします。いい値で仕事をしているフリーランスの方が意外と多いんじゃないかな。見積もりで基準値をだすと、価格決めがスムーズになりますよ。価格交渉で疲弊したり、不満を持ったまま仕事をするのは不毛なので、見積書の機能をよく利用しています。

小さなころから好きだった本。いつかは自分で出してみたい。

—— 最後に、今後目指したいことを教えてください。

形にこだわっているわけではないので、フリーランスのままでも、どこかの会社に入っても、法人化してもいいと思っていますが、前に進み続けている感覚は持ち続けていたいですね。

フリーランスとしては、単価があがったり、仕事が増えたりすることに喜ぶフェーズは抜けたので、収入や案件の大きさ以外の指標を見つけたいと思っています。

そしていつか、本を出したいです。さまざまなジャンルの記事を書かせてもらいましたが、自分だから書けるものを見つけて、本としてまとまったかたちにしたいです。

小さいころから本が好きでしたが、まさか文章を書くことを仕事にできると思っていませんでした。だから、子どものころの私に言いたいです。「お前は今、文章でお金もらえているぞ!」と。
 

—— 素敵ですね。ぜひ実現していただきたいです。本日はありがとうございました。

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