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2016年09月21日(水)

仕事ができなくなったらどうする?~就業不能保険とその必要性~

経営ハッカー編集部
仕事ができなくなったらどうする?~就業不能保険とその必要性~

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個人事業主の収入減少リスクとは

 個人事業主は、常に大きな収入減少リスクにさらされています。サラリーマンであれば、失業の場合は失業保険、病気療養などの場合でも給与の何割かが支給されるのが一般的です。これに対し、個人事業主は自らが仕事をできない状況になってしまうと、一気に収入が減少します。場合によっては収入がゼロになってしまい、生活費を賄うことすらできなくなりかねません。

 具体的な収入減少リスクとしては、まず病気が挙げられます。個人事業主の方は、病気になった時の出費を賄えるよう、定期的に貯金をしたり、医療保険に加入したりといった対策をされているかと思います。しかし、これはあくまでも急な支出に備えた対策です。急な収入減少への対策は不十分、という方が少なくないのではないでしょうか。

 また、病気のほかにも、自らが事故に遭ったり、親の介護で仕事の時間が取れなくなったりするリスクがあります。忙しく仕事をしている人ほど、こうしたリスクが見えにくくなっている可能性が高いです。個人事業で多くの収入を得ていたのに、ある日突然収入が急減した。そんなときへの備えとして、就業不能保険が注目を集めつつあります。

就業不能保険とは

 就業保険とは、契約者が長期にわたって就業不能状態になった場合、毎月一定額が支給される保険です。例えば、病気や事故で障害が残り、就業不能状態になってしまった場合、保険契約期間中、あるいは契約に定められた一定年齢まで、毎月給付金を受け取ることができます。家族を養っている個人事業主であれば、給付金を受け取ることによって経済的に家族にかける負担を減らすことができます。

 では、具体的にどのような就業不能保険があるのかを見てみましょう。まず、ネットで手軽に契約できる生命保険会社として注目を集めた、ライフネット生命の就業不能保険をチェックします。

 ライフネット生命では「働く人への保険2」という就業不能保険を提供しています。この保険では、簡単な家事作業などを除き、治療に専念せざるを得なくなった時に給付金が支払われます。支払われる給付金は、契約者が必要性を考えたうえで、10万円~50万円の範囲で選択できます。5万円単位で月あたりの給付額を設定できるので、貯金や医療保険などの保証額も考慮しつつ、自分に合った金額を設定しましょう。

 契約できるのは、20歳以上60歳以下で、安定した勤労所得がある人です。そして、保険契約が満了する年齢は、55歳~70歳の範囲で5歳刻みとなっています。ただし、最低でも10年以上の契約にする必要があるので注意が必要です。

 気になる保険料は年齢など諸条件によって異なりますが、30歳男性が月額20万円の給付を65歳まで希望する場合、3,000円台前半から「働く人への保険2」に加入することができます(就業不能後180日は支給対象外、540日以内は支給額が半額)。

 ライフネット生命のほかには、アフラックが「病気やケガで働けなくなったときの 給与サポート保険」を提供しています。ライフネット生命同様、在宅療養の場合でも給付金を受け取ることができます。30歳男性が月額20万円の給付を希望する場合、保険料は月々4,515円となっています。ライフネット生命よりも一見すると高いのですが、就業不能後60日を過ぎると支給対象になり、当初の支給額が減額されることもありません。

 このように、就業不能保険の中でも、保険料や支給ルールがそれぞれ異なります。そのため、就業不能保険の賢い使い方を把握し、無駄なくリスクに備えられるようにしましょう。  また、ネットで申し込める手軽な就業不能保険が多いことから、ネットで簡単に比較・検討し、すぐに申し込むことができます。仕事の忙しさのあまり、保険契約について長時間検討する必要がない、という個人事業主の方も、スキマ時間を活用してオンラインで手軽に就業不能保険への加入を検討してみましょう。

就業不能保険の賢い使い方

 就業不能保険の賢い使い方について整理します。個人事業主であれば、就業不能保険は必須と考えましょう。そのほかの保険でも急な支出には備えられますが、収入の減少への備えとしては不十分です。資産の配当金などで生活している場合を除き、貯蓄で収入を賄うのも困難です。

特に、比較的若いうちに就業不能になってしまった場合は、子供の教育費がかさむほか、保険金の支払い期間が限られた医療保険などでは支出すらカバーできなくなることがあります。ただし、就業不能保険「だけ」で収入減少を補おうとすると、保険料がかさんでしまいます。医療保険などの保障と合わせて、過度な保障内容にならないようにすることが大切です。

 例えば、月収平均が40万円なら、就業不能保険で備える必要があるのは20万円程度です。というのも、入院中などは医療保険で一定額が保障されるほか、障害が残った場合は障害年金の受給が可能になるからです。もちろん、将来に教育費の支出が増加する見込みがあるなどのライフプランの場合は、少し多めに備えておく必要があります。

しかし、就業不能保険はあくまでもほかの各種保険でカバーできない収入の減少リスクを低減するための商品です。そのため、もともとの収入と全く同じ金額を保障したくなるかもしれませんが、保険料をできるだけ節約するためにも、就業不能保険をかけすぎないように心がけましょう。

まとめ

 個人事業主は、病気や事故で収入が急減するリスクに常にさらされています。会社という組織に属しているサラリーマンと異なり、こうしたリスクに対して個人事業主は弱い立場にあります。とはいえ、個人事業主も配偶者や子どもを養っているケースが少なくありません。就業不能になったからといって妻子が路頭に迷うことは避けるべきです。そのためには、就業不能保険を適切に活用することが求められます。

 ただし、就業不能保険はかけすぎると保険料がかさんでしまいます。医療保険や生命保険などその他の保険にも加入することを考えれば、就業不能保険は、保障される金額が平均収入の半分程度になるような契約をしておけば十分でしょう。

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