フリーランスになって感じた8つの不安・デメリット
自由で、時間や仕事のコントロールができるフリーランス。私の周りのフリーランスで、自分含めフリーランスになったことを後悔している人を見たことがありません。フリーランス最高!とまで言っている人も。
しかし、たくさんのメリットがあるで、フリーランスだからこそ感じる不安やデメリットもあります。私が日本で3年、オランダに来てから1年フリーランスを経験して感じたデメリットや不安、そしてその克服方法についてご紹介します。
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『フリーランスになるメリットとは?健康・収入・プライベート面での10の魅力』
【目次】
1.クレジットカードの審査に落ちる
2.お説教されたり、「無理じゃない?」と言われる
3.キャリアプランをすべて自分で立てなければいけない
4.孤独を感じるようになった
5.スキルアップの機会を自分で作らなければいけない
6.意識的につながりを作る必要がある
7.確定申告や経理が面倒
8.周りの人と自分を比べることでの”焦り”?
自分が強くなったとおもう瞬間と、自分流の不安克服術
まとめ
1.クレジットカードの審査に落ちる
まず、クレジットカードの審査に落ちます。これは独立開業する前からずっと周りのフリーランスや起業家の方に言われていました。「会社を辞める前にクレジットカードを作れ」と…。
楽天に在籍していたとき、「楽天カード研修」がありました。知人友人に楽天カードを勧めて最低30人申込みをゲットする、というものです。この話をすると「うわ…なにそれブラック企業じゃん」と100%言われます。私個人としては、楽天カードはめちゃくちゃいいカードだと思っているので抵抗なかったのですが、友達をなくしてしまう人もいたようです。
さて、この研修では色々な方にカードを申し込んでいただきました。その中で、カードの審査に落ちてしまった方がいます。フリーランスと起業家です。年収も会社員よりずっと高く、後者の方に関しては会社も2つも経営しているのにも関わらずです。起業家の方には、申し込む前から「ごめん、たぶん審査落ちるけどいい?」とも言われていました。
これから独立を考えていらっしゃる方は、会社を辞める前にクレジットカードを作っておくことを強くお薦めします。
2.お説教されたり、「無理じゃない?」と言われる
独立を応援してくださる方もたくさんいるのですが、なぜかお説教されることもあります。「独立します」と言ったら、目上の男性の方に「けっきょくお前は何がしたいんだ?」と言われたことがあります。
これは「ホームページ作ったり文章書きます」という事業内容の説明を求められているのではなく、たいてい「人生のことちゃんと考えているのか?」といった意図の質問です。あまり仲が良いわけでもないのに、なぜか説教モードに突入します。「フリーランス=フリーター」だと思われているのかもしれません。
また、IT業界では独立開業はあまり珍しいことではありませんが、違う業界の方と話していると「何の仕事をしているかわからない」と心配されることもあります。私は言われたことはないのですが、なかにはもっとダイレクトに「独立なんて無理じゃない?」と言われるフリーランスもいるようです。
3.キャリアプランをすべて自分で立てなければいけない
ちなみに、「自分は何がしたいのか」という質問は、フリーランスであれば頻繁に自問自答しているのではないでしょうか。いまある仕事がずっとできるとは限らないし、「いまできること」「今後できるようになりたいこと」を定期的に考え、見直さなければなりません。
しかし、自分でキャリアプランを立てることは大変な作業でもあり、楽しい作業でもあります。
フリーランスの場合は、直属の上司や先輩がいません。なので、私は相談できる相手を持つようにしています。また、フリーランス同士の集まりや、同年代の友人たちと集まったときに今後どうしていくかなど、ふんわり聞いて参考にしたりしています。
コンサルタントの赤羽雄二さん著「速さは全てを解決する」では、5歳、10歳、15歳それぞれ上と下に年の離れた相談相手を持つと良いと書いてあります。全ての年齢をカバーすることは難しいですが、仕事やキャリアを考えるときに、年齢にも幅を持たせて相談相手を持つと確かに視野が広まります。
わたしはオランダに行く前に、15歳年の離れた男性の方にアドバイスをいただきました。チャンスがあれば、その方に定期的にご意見を伺うようにしています。そのときは「場所が変われば価値が変わる」と言われ、剣道を活かして何か仕事をしてみようと思うようになりました。
日本では剣道をしていることは珍しいことではなく、仕事にはなりません。しかし、オランダに行けば「続けてきた剣道がきっと役立つはず」と思い、剣道用品の販売をしたり、剣道雑誌での執筆を始めました。また、近々剣道や武道に関する翻訳の仕事も開始することになっています。
4.孤独を感じるようになった
フリーランスのデメリットとしてよく挙げられることに、「フリーランスは孤独を感じやすい」という意見があります。私は基本的に活発なので、お客さんのオフィスにMTGがてら顔を出したり、常駐したりと、そんなに孤独を感じることは日本ではありませんでした。「寂しいってどんな気持ち?」と思っていたくらいです。
しかし、オランダに来て初めて孤独を感じるようになりました。私は現在、日本のお客さんとのリモートワークとオランダでの剣道用品販売やデザイン業で生計を立てています。日本との仕事に関しては、時差が8時間(サマータイムのときは7時間)ありるため、就業時間が合いません。私が始業する頃にみなさん終業を迎えます。オランダの仕事も、頻繁にお客さんと顔を合わせる訳ではなく、剣道用品の販売は試合での出店以外はオンラインでの対応が中心です。
さらに、、日本にいたときは友達から気軽に連絡が来て、「調子はどう?」といった世間話や「遊ぼう」「ご飯いこう」「(剣道の)稽古しよう」といったお誘いもたくさんありましたが、そういったものがほぼゼロになりました。
オランダは18時にはスーパーやお店が閉まり、私が住んでいる北アムステルダムはとても静かになります。人が活動している気配も感じません。静寂のなかで一人で自宅作業をしていると、寂しさみたいなものを感じて「これが孤独か」と生まれて初めて感じました。
しかし、これは裏を返せば仕事や自分のやりたいことに専念できるということです。寂しいけれど、いま我慢して勉強したり仕事を頑張れば、きっと後で返ってくるはずと思って過ごしています。
どうしても集中できないときは、右上を見るようにしています。実業家のけんすうさんが「メンタルが豆腐の人向けの、あまり落ち込まないための工夫」で書いていらっしゃったのですが、人間は右上を見ると未来のことを考えるそうです。
ほんとに効くのかな?と思うかもしれませんが、「このことを考えるのはやめよう」と心にスイッチが入ります。もともと、「考えてもしかたない」と自分でわかっているので、「考えるのをやめよう」と意識するだけで私の場合はずいぶん違います。気持ちの問題なので、「暗いことを考えそうになったら○○をする」と自分のなかで約束事をつくるのも良いかもしれません。
5.スキルアップの機会を自分で作らなければいけない
会社にいるときは、先輩や上司がいろいろなことを教えてくれました。しかし、フリーランスになったら「叱ってくれる方」「教えてくれる方」はほとんどいません。メンター的な方を作っても業務で絡む機会は少ないはずです。このため、スキルアップの機会を自分で作らなければいけません。
対策は、セミナーや勉強会に積極的に参加することです。オランダでは普段利用しているワークスペースで利用者に向けたイベントが開催されています。
また、自分の専門分野だけではなく、「フリーランス」というゆるいくくりのイベントもおすすめです。先日、オランダで活躍するフリーランス美容師、Keiさんのご自宅で日本人フリーランスで集まり食事会をしました。その日のテーマは「丼」。丼ものを食べながら交流しよう、という趣旨です。整体師の方やジャズシンガーの方など、数名が集まって交流しました。職種は違いますが、フリーランス同士で集まることで、知っておくべき税金関係の情報交換ができますし、フリーランス同士だからこそわかる喜びや苦労を共有できます。
6.意識的につながりを作る必要がある
フリーランスになると日々の業務に追われて、人との交流が疎かになりがちです。元同僚のフリーランス仲間と飲み会を企画し、「楽しいし仕事の話までできて良かった」と話しても、次に集まるのが1年後…ということも。
フリーランス同士集まるメリットは、
- お互いの最近の仕事の話が共有できて勉強になる
- 税金の話、オトクな制度の話など、情報交換できる
- その場で仕事の話が決まることがある
などです。
集まると何かしらの有益な情報をえることができるため、意識的に集まり、自分から声がけする必要性を感じています。
7.確定申告や経理が面倒
フリーランスになりたての頃、最も憂鬱だったのが確定申告でした。書籍を2冊を購入し、ネットでもたくさん調べて個人事業主をスタートするにあたって必要な基礎知識を勉強しましたが、経理のパートはさっぱりわかりませんでした。確定申告なんて一人でできるのだろうか…ととても不安でした。
そんなとき、知人のパーソナルトレーナーの方にすすめられたのがfreeeでした。ちなみにこの方もフリーランスです。もともと登録だけはしていたのですが「freeeを使うと確定申告カンタンですよ」と言われて、本格的に利用することに。自分でも実際使ってみましたが、本当にカンタンで驚きました。
領収書の登録や細かい設定作業はあるものの、「さっぱりわからない」という状態から「がんばれば提出できる」と思えるようになったのは大きかったです。初めて確定申告書類をプリントアウトしたときは感動しました。
フリーランスや個人事業主のなかには「忙しいから税理士さんに任せている」という方もいらっしゃいますが、「自分の事業について把握するためにも経理は自分でやってみたほうがいい」という意見もあります。私は後者の考え方が好きなので、自分で確定申告や経理作業をするようにしています。
大変ではあるのですが、自分の活動の流れをお金の動きを見ながら知ることができます。
8.周りの人と自分を比べることでの”焦り”?
とても仕事ができる会社員時代の先輩が、「活躍している先輩や後輩を見ると、すごいと思いつつ自分のできることの小ささと比べて悔しい」とおっしゃっていたことがあります。
私からすると、その先輩もかなり大きな仕事、素晴らしい仕事をしていて、「こんなすごい人でも、そんな風に思うんだ」と驚きました。確かに自分も、周りのフリーランスと自分を比べて、焦ったり少し不安に思うことがたまにあります。
ただ、「悔しい」と感じることはとてもポジティブではないでしょうか。そしてこの手の不安に対する対策は、「とにかく目の前の仕事に全力投球すること」。自分と周りを比べて悲しい気持ちになるだけではなく、努力するきっかけになると捉えるようにしています。
自分が強くなったとおもう瞬間と、自分流の不安克服術
フリーランスになってから最も不安を感じたのが、オランダに移住してすぐ、42度の高熱を出して寝込んだときです。このときは、病院への行き方もわからないし友達もいないし、本気で「この国で死ぬかもしれない」と思いました。また、フリーランスビザの申請前だったので、「寝込んでいる場合じゃないのに……」とすごく不安でした。
病気にしろなんにしろ、「どうなるかわからない」、「はっきりしない」状況はすごく不安です。
とてもささやかな克服方法なのですが…おすすめは日記を書くことです。そんなに長くなくてもいいので、「その日あった良いこと」「その日の反省」を書きます。仕事の進捗や、日常のささやかな嬉しいこと(日本の小学生の友達から手紙が来た、など)も書きます。
- 日があいてもいい
- 短くてもいい
- 箇条書きで出来事の記録だけでもいい
できるだけ毎日書くことがポイントです。日記を書くと、自分は少しずつ前に進んでいる実感がありますし、振り返った時に「このときはこの仕事をしていた」「この仕事にどれくらいの時間をかけていた」などがわかります。
1年前は熱を出して寝込んでいて、友達もいなかったのに、今は剣道の友人たちに誘ってもらってヨーロッパの他の国に出稽古にも行くようになりました。仕事もなんだかんだ続けて頑張ってます。本当にささやかなのですが、私はそれがすごく嬉しくて、自分で自分に「頑張ったな!!!」って言ってあげたくなります。
まとめ
楽しくて自由なフリーランスですが、上記のようなデメリットや不安もあります。
ただ、解決できないものではないですし、個人的にはメリットのほうがずっと大きいと思っています。
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