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2018年06月22日(金)

「俺はフリーランスになる!」だけど住宅ローンどうするの?

経営ハッカー編集部
「俺はフリーランスになる!」だけど住宅ローンどうするの?

フリーライター(元東京国税局職員)の小林義崇です。

2018年7月に公務員を辞め独立した私ですが、独立するに当たって、いくつか判断に迷ったことがありました。たとえば、「住宅ローンはどうする」「社会保険はどうなる」といった問題……。

今回の記事では、こうした問題について私が迷った点や対処した方法を、家族のリアクションも含めご紹介します。

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「フリーランスになったら引っ越せばいい」は通用せず

公務員を辞めて独立するときに、私や家族にとって最も不安の大きかった点が、やはりお金の問題です。当面は退職金で生活できる見通しでしたが、せいぜい1年間暮らせる程度の余裕しかありませんでしたので、早めに対処をしなくてはなりません。

もちろん、公務員時代の給料なみの収入を得ることができれば一番良いのですが、いきなりは難しい。だとすると、収入の低下に合わせて生活レベルを下げるほかないと考えていました。

そこで、最初に目をつけたのが、支出のなかでも大きな「住宅費」です。私の場合、約10年前にマンションを35年ローンで購入していたので、これは差し当たって何とかしたい支出です。

そこで、「フリーランスならどこでも仕事できるので、引っ越せばいい」と考え、多少都心から離れてもいいので、今住んでいる物件を売って安い賃貸物件に移ろうとしたのですが、これは家族の猛反対にあいました……。

妻や子どもには、10年間にわたって育んできた地域の人間関係があるので、気軽に引っ越しができるはずがなかったのです。子どもにとって転校は一大事ですしね。職場の人間関係が中心で、地域のつながりがほとんどなかった私とはわけが違います。

ということで、引っ越しプランは早々に諦めることになりました。ただ、今実感しているのは、「めいっぱいローンを組んでおかなくて良かったな」ということです。マンションを購入した当時、都心に住むことも考えていたのですが、あえて埼玉でリーズナブルなマンションを購入していたので、そこは良い判断だったと思います。通勤電車に耐えて良かった。


国民健康保険料はおそろしく高額だった

会社員や公務員を辞めて独立すると、通常は公的保険の種類が変わり、国民健康保険になります。しかし私の場合、公務員時代の健康保険を最長2年間にわたり任意継続することもできたので、どちらかを選ぶ必要がありました。

どちらが得なのか調べたところ、「任意継続した場合、支払う保険料が2倍になる」ということを知りました。会社員であれば健康保険の保険料の半分を会社が負担しているように、公務員も保険料の半分は国が負担してくれているのですが、退職してしまうと全額自己負担になるので、結果的に支払いが2倍になってしまうのです。

私の場合、それまで月額2万円程度支払っていた保険料が、月額4万円程度になる計算。「それは厳しい」と思い、国民健康保険の方を試算すると驚きの結果が。なんと、国民健康保険にすると、月額5万円程度にもなってしまうのです。任意継続で2倍になった保険料よりもさらに高いとは、どれだけ高いのか……。

ということで、最終的に公務員時代の健康保険を任意継続することになりました。2倍の保険料は痛い出費ですが、日本では、「国民皆保険制度」として、誰もが何らかの公的保険に加入する仕組みとなっているため、こればかりはやむを得ません。

ちなみに、保険料が2倍になることについて、妻は怪訝そうな顔をしていたので、「その代わりに独立して国民年金になると、年金の支払は減るから」と言って納得してもらいました。もっとも、年金の支払額が減るということは、将来の受取額も減ることとイコールなのですが、そこはあえて説明せず……(笑)。

ただ、健康保険の継続と国民健康保険のどちらが有利かは人によって異なります。健康保険は家族の人数は影響せず、一方の国民健康保険は家族の人数に応じて増えるので、収入や家族状況によっては国民健康保険の方が有利になるケースもあるでしょう。

また、住む場所によって国民健康保険の計算方法は異なりますので、会社員や公務員からフリーランスになる方は、しっかりと試算して判断した方が良いと思います。


自宅は気楽だけれど、外にオフィスが欲しい

フリーランスになって以来、なかなか結論を出せずにいたのが、「どこで仕事をしたらいいのか」という問題でした。とりあえず独立当初から今まで、基本的に自宅の部屋で仕事をしているのですが、いくつか問題点を感じています。

まずひとつは、やはり家族がいると仕事に集中しにくいという点。私は息子が3人いて、上の2人は小学生なので、よく友達を連れてきますし、どうしても騒がしくなります。私自身、家にいる安心感からつい昼寝をしたり、ダラダラしてしまうこともありました。

そこで、集中したいときにはカフェや図書館も利用していました。しかし、ああいう場所は短時間なら居心地は良いのですが、何時間も座ってられないんですよね……。空調が効きすぎていたり、店内が混みすぎていたりするのも気になりました。いつも席があるわけではない、ということも地味にストレスです。

さらに、私がずっと家にいるというのは、妻にとっては面倒でしかないことも問題でしょう。「亭主元気で留守が良い」という言葉もありますが、これは真理なのかもしれません。昼食を2人分作るのも大変ですし、ママ友も気軽に呼べなくなりますからね……。

ということで、私は2018年6月から新たにコワーキングスペースを借り、主な仕事場とすることにしました。たまたま自宅の近所でオープン予定の場所を見つけたので、さっそく連絡を取って入居することにしました。オープン前で入居者の数にもまだ余裕があり、席が必ずある点も嬉しいところです。壁面も塗りたて。

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ということで、とりとめもなく書きましたが、私は結局、引っ越しをすることはできず、健康保険の支払いも増えてしまったので、正直、そこまで支出を減らすことはできていません。そこで、今は思考を切り替えて収入を増やす方向に力を入れています

コワーキングスペースでは、仕事に集中できるメリットはもちろんですが、地域のフリーランスの方々が集まるので、ここでお金関係のセミナーやコンサルも行う予定です。ライターとしてお手伝いできることもあるでしょう。今住む場所とのつながりを育てながら、お金の問題もクリアしていければ理想的だと考えています。

1981年生まれ、福岡県北九州市出身。埼玉県八潮市在住のフリーライター 西南学院大学商学部卒。 2004年に東京国税局の国税専門官として採用。以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事する。2014年に上阪徹氏による「ブックライター塾」第1期を受講したことを機に、ライターを目指すことに。2017年7月、東京国税局を辞職し、ライターとして開業。
twitter:小林義崇

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