上場IT企業で取締役を経験した2人がGPであるXTech Venturesとは?
前回は「VCとは?」というお話をさせていただきましたが、今回は具体的にVCを取り上げていただき、起業家の皆様がVCから調達する上で、少しでも参考になればと思っています。
投資ファンドの特徴として、資産が人とお金と投資先と大きく3つありますが、基本的に人に対してお金と投資先がついてくることが多く、人への依存度が激しい業界の一つです。中でもVCは、人への依存度が激しいファンドの一つであり、ファンドによって投資額やアドバイスの内容、支援内容が大きく変わってきます。
そのため、資金調達をする前にキャピタリストのTwitterを見ておくことはオススメです。
VC紹介の1社目として、私が所属しているM&ABASEの関連会社であるXTech Venturesについてご紹介したいと思います。
1.XTech Venturesのファンド概要
XTech Venturesは2018年に、西條晋一氏が創業したXTechとユナイテッド出身の手嶋 浩己氏によって設立された独立系のベンチャーキャピタルです。
設立 | 2018年 |
ファンドサイズ | 1号ファンド:約50億円 |
投資ラウンド | シード〜アーリー |
パートナー | 西條 晋一(GP) 手嶋 浩己(GP) 波多江 直彦(P) |
LP(公表ベース) | みずほフィナンシャルグループ 東京建物 あらた ミクシィ グリーなど |
2.XTech Venturesの投資方針
XTech Venturesのミッションは、「既存産業やIT業界のミドル層の起業をサポートし、多面的な経営支援・IPO支援を行うことで投資先企業の飛躍的成長を目指す」。ポイントは、「既存産業」と「ミドル層」です。
「既存産業」とは、IT業界では無い領域でITの浸透が進んでいない領域をさしています。例えば、金融やヘルスケアなどが代表例であり、金融 × Techで「FinTech」、ヘルスケア × Tech で「HealthTech」などを指しており、こういったこれまでITが浸透しきれていなかった領域で展開しているベンチャー企業に投資をしています。また、LPも既存産業のひとつである金融であるみずほや不動産の東京建物、日用品卸のあらたなどが入っており、こういった企業とともに投資先の支援を行っています。
「ミドル層」とは、投資ラウンドのミドルではなく、既に大企業やIT企業で実績を残された方々が会社をやめて起業された、経営者の年齢がミドルな方々の会社のことをさしています。昨今若手起業家に注目が集まりがちですが、シリコンバレーなどで成功しているのは、ミドル層であるという研究結果をハーバードビジネスビジネスレビューが出しています。ですが現状、日本であるとまだまだミドル層の起業家が少なく、資金も足りていません。こういったミドル起業家への投資を複数行なっています。
3.XTech Venturesのパートナー
XTech Venturesには2人のGeneral Partner(以下GP)と1人のPartner(以下P)で構成されています。
特徴として、GPの2人が元々伊藤忠商事や博報堂などの大企業出身のため大企業についての理解があり、上場IT企業で取締役をつとめ、それぞれが税引前利益で400億円以上をだすような事業作りと投資を行なってきていることです。
そのため、事業を作る視点から経営視点、そして投資家の視点でのアドバイスなど幅広い角度からのアドバイスが可能です。
(GP)西條 晋一
1996年早稲田大学法学部卒業後、伊藤忠商事に入社。2000年サイバーエージェントに入社。サイバーエージェントFX、サイバーエージェント・ベンチャーズ、ジークレスト、米国法人など多くの新規事業、子会社の立ち上げに携わり、複数社の代表取締役を歴任。2004年サイバーエージェントの取締役就任。2008年には専務取締役COOに就任。2013年-2017年コイニー取締役。2013-2017年WiL共同創業者GP。2014-2018年Qrio代表取締役。2017-2018年トライフォート社外取締役。2018年XTechおよびXTech Venturesを創業し代表取締役に就任。
Twitter:https://twitter.com/s_saijo
(GP)手嶋 浩己
1999年一橋大学商学部卒業後、博報堂に入社。2006年インタースパイア(現ユナイテッド株式会社)取締役に就任、2度の経営統合を行い、2012年ユナイテッドの取締役に。ユナイテッド時代は、グループ経営、新規事業立ち上げ、M&A及びPMI、ベンチャー投資(メルカリ、ワンダープラネット、dely、トランスリミット、クラスター等)に携わる。
社外取締役として、メルカリ(2013年~2017年)、Gunosy(2018年~)、ワンダープラネット(2018年~)に就任。
Twitter:https://twitter.com/tessy11
(P)波多江 直彦
2006年慶應義塾大学法学部卒業後、サイバーエージェントに入社。広告代理部門、スマホメディア、オークション事業立ち上げ、子会社役員等を経験。2014年からはサイバーエージェント・ベンチャーズで投資担当。その後、メルカリを経て、XTech Venturesのパートナーに就任。
Twitter:https://twitter.com/nhatae
4.XTech venturesのポートフォリオ(2019年6月時点)
2018年から運用を開始したVCのため、まだEXIT実績はありません。
領域については、XTech領域に投資するということで、特に絞られていませんが現状、D2CやSaaS、人材などに投資をしています。
また、ミドル層起業家に投資するということで、スペースマーケットやCocolive、ADlive、インサイトコア、Subsclifeなどに投資しています。
5.まとめ
VC各社の紹介の一社目としてXTech Venturesをとりあげさせていただきました。事業家と経営者と投資家として成果を残された2人のGPによって運営されている珍しいVCの一つだと思います。
ぜひ、今後とも他のVCについてもインタビューなどを交えながらご紹介させていただければと思います。