年末調整|給与所得者が知るべき年末調整を行なう理由と制度の概要
年末調整を行なう理由は所得税の控除にある
今年も年末調整のシーズンが到来しました。年末調整は年末の恒例行事となっていますが、お金が戻ってくるのを楽しみにしている方もおられるかもしれません。とはいえ年末調整を理解しているつもりでも、必要な書類や書き方となると、意外と分からないことって多いものです。
ここでは給与所得者が知っておくべき、年末調整を行なう理由から、年末調整の制度の概要までを、分かりやすくご紹介したいと思います。年末になって慌てないためにも、十分前もって準備するようにしましょう。
[目次] ■1)年末調整を行なう理由 ■2)年末調整の制度の概要 ■3)年末調整の各種控除の種類
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■1)年末調整を行なう理由
そもそも年末調整とは、何のことでしょうか?年末調整とは、給与所得を受けている人が、毎月の給料から天引きされている所得税の金額を、年末になって過不足を清算する手続きのことです。年末になると所得税額が確定するので、所得税を多く払いすぎていれば差額が戻ってきますし、不足していれば追加で所得税を支払うことになります。つまり年末調整を行う理由は、この所得税金額の調整をするためなのです。
年末調整において重要なのは、各個人の生活事情に応じて所得税の控除が受けられるという点です。扶養家族がいたり生命保険料などを支払っていたりすると、年末調整を受けることで各個人の事情を考慮して所得税額を控除してもらえるのです。そのため年末調整では、所得税控除の対象を証明するための書類を提出する必要があります。
■2)年末調整の制度の概要
年末調整では、「平成〇〇年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と、「平成〇〇年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」の、2枚の書類に記入して提出する必要があります。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書類は、扶養している家族に関して申告を行ない、個々の状況に応じて税金を軽減してもらうための申告書です。「給与所得者の保険料控除申告書兼 配偶者特別控除申告書」の書類では、年末調整で控除される保険について申告します。
給与所得者であれば誰でも、所得税を納める必要があります。所得税を一年分まとめて納めるのは高額で負担が大きいために、会社が毎月の給与から天引きしてくれているのです。そのため一年の終わりに、所得税額が確定してから金額の過不足を調整する必要が生じるのです。勤務先で年末調整をすることで、確定申告をする必要がなくなり、会社員にとっては申告の手間を省くことができます。
一年間の給料が103万円を超えない場合には、所得税を納める必要がないため、年末調整をすることで源泉徴収された税金が戻ってきます。また年間の給料が2000万円を超えている場合や、ダブルワークで年末調整ができなかった場合には、確定申告が必要となります。勤務先の年末調整に間に合わなかった時にも、個人で確定申告をすることで、税金の還付金を受けることができます。
■3)年末調整の各種控除の種類
年末調整では、個々の家族の事情に応じて、所得税の控除を受けることができます。ここでは、各種控除の要件と控除額などをご紹介します。
1.給与所得控除:給与所得者が受けられる控除で、控除額は最低でも65万円。
2.配偶者控除:配偶者の所得が年間38万円未満で受けられる控除で、控除額は38万から48万円。
3.扶養控除:所得税法上の扶養者がいる人が受けられる控除で、控除額は38万から58万円。
4.基礎控除:条件に関係なく受けられる控除で、控除額は38万円。
5.障害者控除:納税者、配偶者、扶養者が障害者の場合に受けられる控除で、控除額は最低27万円。
6.寡婦(寡夫)控除:納税者が寡婦(寡夫)の場合に受けられる控除で、控除額は最低27万円。
7.勤労学生控除:納税者が勤労学生の場合に受けられる控除で、控除額は27万円。
8.配偶者特別控除:配偶者の所得が年間38万円以上で76万未満の場合に受けられる控除で、控除額は3万から38万円。
9.社会保険料控除:社会保険料を支払っている場合に受けられる控除。
10.小規模企業共済等掛金控除:確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者の掛金に対して受けられる控除。
11.生命保険料控除:生命保険料に対して受けられる控除。
12.地震保険料控除:地震保険料に対して受けられる控除で、控除額は最高5万円。
13.住宅借入金等特別控除:住宅用ローンに対して受けられる控除。
■年末調整を行なう理由のまとめ
年末調整を行なうことで、給与所得者が源泉徴収された所得税の過不足を調整することができます。所得税を払いすぎていれば戻ってきますし、控除対象の書類を添付することで、所得税の還付を受けることができるのです。このように年末調整をすることで、各家族の生活の事情を考慮してもらうことができ、税金の負担を軽減することができます。
年末調整の書類は分かりにくく思えますが、所得税の過不足を計算するために大切な書類ですから、給与所得者であるならしっかりと理解しておく必要があるでしょう。