年末調整の「続柄」とは?記入ミスが多い理由と続柄の正しい書き方
「給与所得者の扶養控除等申告書」や「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」などの年末調整書類に記載する「あなたとの続柄」の欄は、記入ミスが多い欄といわれています。
それほど難しい言葉とも思えない「あなたとの続柄」がなぜそれほど間違えられてしまうのでしょうか。
続柄とは
「続柄」をもう少し簡単な言葉に直すと「関係」です。
戸籍や住民票など公的な書類ではよく見かける言葉でも、普段の会話で使用することは少ない言葉です。
公的な書類に記載する続柄の多くは家族関係なので、「夫」「妻」「子」「父」「母」などと記載されます。
あまり知られていないことですが、続柄の読み方は「つづきがら」であって、多くの人が正しいと認識している「ぞくがら」ではありません。
あなたとの続柄
「給与所得者の扶養控除等申告書」に記載されている「あなた」とは、「あなたの氏名」の欄に書かれている氏名の人のことです。
続柄が関係のことなので「あなたとの続柄」は「あなたとの関係」と置き換えて考えることができます。
ここで「あなた」の部分が誰なのかがぼやけてしまうと、誰に対する続柄なのかがわからず少し混乱してしまいます。
「あなた」が夫の立場だとして、あなたとの続柄を記入する氏名欄に書かれているのが妻の名前ならば、あなた(夫)との続柄は「妻」です。
“給与の支払を受ける人(給与所得者)が、その給与について扶養控除などの諸控除を受けるために行う手続です”
<引用元>国税庁:[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告
続柄の正しい書き方
続柄には正しい書き方があります。
自分自身のことは「本人」と記載します。
配偶者との続柄
配偶者の場合は、「夫」「妻」と具体的に書くのが基本です。
婚姻関係にない事実婚の夫婦は「内縁関係」となり、届出があれば「夫(未届)」「妻(未届)」と記載できる書類もあります。
娘や息子、孫との続柄
子どもとの続柄は「子」と記載することがほとんどです。
長男・長女のような形で記載する際に気をつけたいのが、次男・次女です。
戸籍上の続柄では「二男」「二女」が正しい形です。
養子縁組している子は「子」ですが、再婚相手の子の場合は「夫の子」「妻の子」です。
内縁関係の夫婦の子は「夫(未届)の子」「妻(未届)の子」「内縁の夫の子」「内縁の妻の子」です。
孫は「子の子」、届出できない事実上の子は「縁故者」です。
子どもの配偶者は「子の夫」「子の妻」です。
親や兄弟との続柄
両親は「父」「母」です。
配偶者の両親は「夫の父」「夫の母」「妻の父」「妻の母」、配偶者の兄弟は「夫の兄」「夫の姉」「夫の弟」「夫の妹」「妻の兄」「妻の弟」「妻の姉」「妻の妹」です。
祖父母との続柄
祖父母の場合は「父の父」「父の母」「母の父」「母の母」です。
おじやおば、いとことの続柄
おじやおばは、「父の兄」「父の弟」「父の姉」「父の妹」「母の兄」「母の弟」「母の姉」「母の妹」で、いとこの子どもなどの遠い親戚は「縁故者」です。
その他の続柄
親族関係にない人の場合は「同居人」です。
年末調整と確定申告の続柄の違い
年末調整の続柄は「あなたとの続柄」で、確定申告の続柄は「世帯主との続柄」です。
誰から見た続柄かによって表記がまったく異なるので注意が必要です。
“会社員や公務員のほとんどの方は勤務先が年末調整をすることで、納税の過不足を調整できます。しかし次のようなケースは払い過ぎた税金が戻ってくる可能性がありますので、確定申告をして納税額を確定してください。”
<引用元>経営ハッカー:確定申告と年末調整の相互の関係を教えて
給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書の続柄
給与所得者の扶養控除等申告書の「あなた」と「世帯主」が同じ人ならば、世帯主の下のあなたとの続柄は「本人」です。
「あなた」が妻の立場で、「世帯主」が夫の立場なら、あなたとの続柄は「夫」になります。
子どもが1人の場合は「子」と記載できますが、2人以上いる場合は「長女」「長男」「二男」「二女」などと記載します。
16歳未満の子どもがいる場合には、用紙の一番下の「16歳未満の扶養親族」の欄に必要事項を記入します。
“この「源泉徴収のしかた」は、会社や商店などで通常行う源泉徴収事務の概要を説明したものです”
<引用元>国税庁:平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた
まとめ
書類上の続柄の考え方そのものはシンプルでも、「父の父」や「子の夫」のような表現には少し違和感を感じるかもしれません。
「給与所得者の扶養控除等申告書」や「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」に間違えずに続柄を記入するポイントは、「あなた」にとって誰の誰なのかという視点を見失わないようにすることです。