代表取締役、CEO、会長、社長、代表社員、理事長・・・誰が一体偉いの?何が違うの?
社会人になってまず勉強する名刺交換。名刺を渡す順番からタイミング、緊張していたあの頃。入社して数年、ただの田中から、主任の田中になりました。その後、課長、部長と順調にいけば、ポケモンの進化のごとく、あなたの肩書は変わっていくかもしれません。
今まではメールアドレスと電話番号しかチェックしなかった名刺も、だんだんと人の肩書が気になり始めるころ。結婚式や同窓会では少しでも良い名刺を渡して、また良い名刺を持ち帰りたいものです。
そこで出てくるのが肩書の疑問。代表取締役、代表社員、執行役員、CEO・・・と一体誰が偉いのか、何が違うのか。偉いということしかわからない。という方にご説明しましょう。
社長、会長、英語のCEO、COO等は呼称に過ぎない
まずは、株式会社について。○○株式会社でも、株式会社××でも、「かぶしきがいしゃ」と付くものについてです。
基本中の基本で、株式会社には、取締役とその中から選んだ代表取締役が存在します。これらの役職者が法的地位を有します。法的地位を有するということは、法律が絡む事項、契約や融資、経営上の責任を負っていることを意味します。また取締役会設置会社の場合、監査役が加わります。社内に設置する機関により、法的地位を有する人の構成は変わりますが、こういった役職者を一般的に役員と呼んでいます。
社長、会長は呼称にすぎません。英語のCEO、COO等も呼称です。呼称なので、自分を社長と呼ぼうが、CEOと呼ぼうが構わないですし、会社によっても扱いが違います。
「代表取締役」と「社長」はイコールと考えがちですが、社長は呼称のため、「代表取締役社長」が一般的ではありつつも、「代表取締役会長」、「取締役社長」も存在します。社長より会長の方が偉い、というのは会社内部の慣習によるもので、法的な責任は、代表取締役、取締役(また監査役)の順で追っています。
法律で定められている地位と会社が任意で定めている地位の区別はつきましたでしょうか。
会社における法的な地位を有する役員は?
さて、問題です。下記の中で、会社における法的な地位を有する役員は何人いるでしょう。 ↓↓↓ 会長、代表取締役社長、取締役副社長、取締役専務、取締役常務、監査役、執行役員、本部長、事業部長
答えは、5人です。会長、社長、副社長、専務、常務は呼称であり、また執行役員、本部長、事業部長も会社内で使われる序列を表す呼称です。執行役員は法律に定められた役員ではありません。役員とついていますが、受け取る給料も役員報酬ではなく、新入社員と額は違えども、勘定科目は同じ給与になります。
蛇足ですが、株式会社の組織の形で大会社等に委員会等設置会社があります。その中に執行役という役職がありますが、こちら執行役は法的な地位ですので、執行役員との区別をお忘れなく。
株式会社で説明してきましたが、会社の形態はさまざまです。持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)、医療法人、学校法人、公益法人、一般社団法人、一般財団法人等それぞれの形態で営利、非営利の事業を行っています。
有名な会社であっても株式会社の形をとっていないところはあります。例えば、西友やアマゾン、アップルは、株式会社ではありません。持分会社の1つである合同会社です。よって代表取締役はいないのです。
合同会社は、代表社員と社員で成り立っています。代表社員は、株式会社でいう代表取締役の地位になります。代表社員が代表取締役より下ということではありません。
医療法人や学校法人等にも代表取締役はいません。(一部の株式会社経営のものを除く)理事長が、代表取締役にあたる地位になります。これもどちらが上というものはありません。
紛らわしいですが、一般社団法人、一般財団法人は代表理事が代表取締役に準じます。理事長はいません。どうにかしてほしいくらい紛らわしいですが、法律で定められていますので仕方ありません。
法人には○○株式会社、合同会社××、医療法人△△というように必ずその法人の形態を名称に含めなくてはいけません。まずはついている名称からチェック。取締役や理事とついていれば、その方は法的な責任を負う地位についているということがわかります。
会社は肩書だらけです。日本語の管理職を兼任しようが、英語で言おうが会社の自由。相手に少しでも「おおっ」と思わせ、偉い人がうちの担当になっている、と思わせるのも1つの戦略です。従業員のモチベーションアップにも使われていますし、肩書が上がれば役職手当もつくのが一般的です。しかし、主任とマネージャーどっちが偉いかは、その会社で決めていることですので、名刺からわかるものではありません。英語の肩書であれば、英語辞書を引く方が速いかもしれません。
肩書は会社のカラーを表すもの。日本的経営の会社、外資風の会社、自由を売りにする会社等さまざまです。
逆にいうと、あなたのその名刺にもう少し自由な発想を取り入れても良いのです。フリーランスなら尚更です。さて、肩書はどうしましょう。「ハイパークリエイター」「スーパーエンジニア」「ヘッドオブアドミニストレーター」・・・・・・。これも立派な経営戦略です。